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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol⑧ 基本戦略STP:ポジショニング

同質なニーズを持つ集団を決めてペルソナを描いた後に!
Vol⑥のセグメンテーションでお伝えしたのは、市場環境分析で、自社の強みが活かせて、競合に勝てる、「同じニーズを持つ集団=細分化」を発見するとお伝えした。
Vol⑦では、セグメンテーションを行えば、その市場細分化した中で狙う同質なニーズを持つ集団には、どんなターゲットが居るのか、「ニーズと買う時の理由であるKBF」を明確に記して、ニーズに加えて代表的な属性を整理して、仮想人物を描くペルソナの作成をお伝えした。
今回のポジショニングでは、上記で策定したターゲットに、自社製品・ブランドの価値をどのように表すのか?がテーマである。

ポジショニングとは?
マーケティングの大家フィリップ・コトラー先生や、様々な卓越したマーケターは、「マーケティングで一番重要な要素はポジショニング」と言うほど、とても重要に考えている。
その重要なポジショニングを一言で表すならば「顧客から見た時の優位点(優位性)」であり、言い換えれば「顧客に対して行う価値ある印象創り」と解釈できる。
例えばクルマメーカーのブランドを例に取ってお話ししてみよう。(※図①)

メーカー名(コーポレートブランド)で「〇〇と言えば?」と言う問いに対し、顧客が即座に印象が応えられるメーカー、「トヨタ・メルセデス・BMW・ボルボ」は、ポジショニングが明確になっている。しかもこのポジショニングは顧客にとって魅力的に映る(優位性を持つ)印象である。
この中で唯一印象が明確でないメーカーがアメリカの「GM」である。日本の顧客に「GMはどんな印象ですか?」と聞いても明確な印象が出てこない。これではクルマを買おうと思った時に、必然的に「GM」は検討対象にならない。
「BMW」の印象を聞くと、「走りのBMW」とか、マニアであれば「ストレート6(直列6気筒エンジン)が走りを楽しくする」、「ドライビングプレジャー」など、皆が「走りの楽しさ」と言う印象を想起している。その顧客に価値を与える印象が「駆け抜ける喜び!」と言う広告コミュニケーションのキャッチフレーズとなり伝えられ、顧客に対するBMWのポジショニングを明確化し、更には継続的なコミュニケーションを通じて、ブランディングを成功させている。

どのようにポジショニングするのか?
「顧客から見た時の優位点(優位性)」、言い換えれば「顧客に対して行う価値ある印象創り」を一歩踏み込んで解説すると、自社製品やブランドを顧客ニーズ(不の字)に合わせ、自社の独自性と競合との違いを踏まえながら、顧客の記憶の中に優位に、且つユニークに位置づけること。その結果として市場で勝つポジションを獲得することと整理出来る。その整理に使うフレークワーク(型)が、「ポジショニングマップ」である。縦軸と横軸で記した図の中に、自社と競合を照らし合わせ、自社の強みが最も活かせるポジショニング、つまり価値ある印象を探すフレームワークである。

ポジショニングマップの軸は「KBF(key buying factor)」で作成する
ポジショニングマップの軸探しであるが、何を元に作成するのか、、?これも明快なルールがある。それは同質なニーズを持つターゲットが、モノやサービスを購入する際に重要視する要素、購入する際の主な要因、つまり「KBF(key buying factor)」を軸として作成する。

自社の強みが出せる軸を設定してポジショニングを行う
KBFは市場環境分析の「市場環境(市場と顧客)」の中で、当該製品のKBFを先ずは整理し、全てのKBFを抽出する。その上で狙う市場セグメントに居るターゲットが、何をKBFにしているのか優先順位を付けて整理する。その上で優先順位の高い順番から縦軸と横軸を取り、その上で自社と他社を位置付けて勝てるポジショニングを策定する。

KBFとニーズの混同はくれぐれも注意!
KBFの抽出であるが、良くある間違いが「ニーズとKBF」の混同である。例えばマッサージチェアを買う時のKBFを考えた場合、例えば思い浮かぶ項目として「心地よくなりたい、辛い肩の凝りをほぐしたい、デザインを気にする、価格が安いのがいい、部屋に置けるサイズの大きさがいい・アフターサービス・・等々」と出た場合、最初の「A:心地よくなりたい」、そして「B:辛い肩の凝りをほぐしたい」はニーズであり、しかも異なるニーズを持つAとBと言う集団、つまりセグメントでありターゲットである。
セグメンテーションとターゲティングで、先ずはAかBを決めた後に、Aのターゲットで購入意思がある顧客が、いざ購入する際に何がKBFなのか?その優先順位は何か?を抽出整理して、例えば「大きさ・価格・デザイン・アフターサービス」と言ったKBFが導かれたなら、先ずは「大きさと価格」で軸を取り、ポジショニングマップを作って整理してみる。

ポジショニングは一発では決まらない場合は多々ある!
上記のようにポジショニングマップを作成しても、一発で決まらない場合は多々ある。一つ作って同じ位置に他社が複数居る場合は、更にもう一つ別の軸で作成して差別化をするとか、あるいは自社に有利なポジショニングが取れない場合には、軸を変えて改めて自社の強みを出す軸を発見するとか、いくつかポジショニングマップを作成してみる。
何度行っても自社のポジショニングが取れない場合には、決めたセグメンテーションがそもそも間違っていたことも往々にしてあり、その場合には再度、自社が勝てるセグメンテーションを行う。整合性が取れないのに無理にその先に進めても、ビジネスが成功する確率はどんどん下がるわけで、そこは慎重に見極めて冷静な判断が求められる。
いずれにしてもマーケティングの中でも重要なSTP、そしてその中でのポジショニングが決まれば、戦略の骨子は策定されて、その先の4Pがおおよそ見えてくると言っても過言ではない。

※次号Vol⑨は、「基本戦略STP:レスポンスを得るキモは、知れば知るほどSTP」と題して、STP策定がレスポンスに大きな影響を与える理由と、そのセオリーをお伝えする。

※次号Vol⑧は、「基本戦略STP:ポジショニング」と題して、狙ったターゲットに対して、自社製品の魅力付けをどう行うのか。ブランディングの観点も取り入れながら、ポジショニングのセオリーをお伝えする。

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