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今年のホリデーシーズン

例年この時期になりますと、家の外ではハロウィーンの飾り付けが行われ、パーティーの企画などで話題が盛り上がりますが、今年はパンデミックの影響でいまいち盛り上がりに欠ける感があります。郡や市からも、”トリックor トリート”をする際はマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保は当然のこと、今年は極力”トリックor トリート”を控えるようにも言われております。こうなると、コスチュームやお菓子の販売にも影響がでることは言うまでもありません。ハロウィーンからスタートしてクリスマスまでの約2ヶ月間は、小売業界にとって最大の繁忙期なのですが、今年のホリデーシーズンの様相は例年とは異なりそうです。

11月のサンクスギビングデーやブラックフライデーの大幅な割引商品を求めて、店外での超長蛇の列や店内での殺到といった毎年見る光景は、今年は多分ほとんどないと思われます。Walmartは、7月下旬に早々と今年のサンクスギビングデーは閉店することを発表しました。もともとは、サンクスギビングデーは閉店し、ブラックフライデーの早朝から大型割引セールを行う小売が主であったのですが、ブラックフライデーの客足を少しでも早くから獲得しようということから、深夜もしくは前日のサンクスギビングデーの夕方から開店するところが主流になっていました。Walmartも1980年代後半からサンクスギビングデーに店舗を開いていましたので、今年の閉店は実に30年以上ぶりのこととなるそうです。とはいえ、元来実店舗での買い物が主であったブラックフライデーセールの売上はこの数年間で確実にオンラインに移行しておりますので、前日の閉店が直接売上減少につながるということはないと思われます。

日用家庭用品、大工用品販売のHome Depotは、毎年行ってきたブラックフライデーの大型割引セールをやめ、11月から12月までの2ヶ月間、継続して割引セールを実施することを発表しています。パンデミックを考慮し、安全維持の優先による判断のようです。実店舗、オンライン同様に割引を受けられますが、モバイルアプリのユーザーはいくつかの割引に対し独占的に早期アクセスできるメリットがあるようです。

ところで、今回のパンデミックで大きく変化したことの一つとして、オンラインで注文して店舗のすぐ外で商品をピックアップする”カーブサイドピックアップ”のインフラ構築を急速に進めた小売が多かったことが挙げられます。今までも何度かご紹介したことがありますが、消費者が店舗で買い物をすることに制限があることから、多くの小売業者が消費者に商品を迅速にかつ安全に渡す方法としてカーブサイドピックアップを開始しました。Digital Commerce 360によりますと、Digital Commerce 360 Top 500にランクされている小売業者の中で、店舗を持つ245の小売業者の43.7パーセントが2020年8月時点でカーブサイドの受け渡しを提供しています。2019年末時点では6.9パーセントでしたので、いかに急速にカーブサイドピックアップの採用が進んでいるかよくわかります。また、同じくDigital Commerce 360による利用者への調査でも、消費者の17パーセントが3月のパンデミック以降初めてカーブサイドピックアップを利用し、利用者全体の30パーセント以上がそのサービスに満足しております。このことから、今年のホリデーシーズンはカーブサイドピックアップがトレンドとなる可能性もあります。事実、大手百貨店のMacy’sも、パンデミックにより新たにカーブサイドピックアップサービスを提供し、今年のホリデーシーズンでの売上増を期待しています。


小型百貨店Kohl’sのカーブサイドピックアップ場所、
最近はこのようなスペースを各所で見かけます。

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。


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