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2023年のECはどうなるか。間違いなく越境が増えます。

こんにちは、恩蔵です。
今回のテーマは2023年のECはどうなるかですが、間違いなく越境ECが増えますというか増えなければならない環境にあります。

その前にデータとして日本の立ち位置を振り返ってみましょう。経産省が2022年8月に公開した2021年総合データの抜粋です。
BtoC市場に絞ると直近の「国内EC市場規模」は20兆6,900億円超えで、物販分野のみで13兆2,800億円超えです。「EC化率」は瞬間13%という指標が出た気がしましたが年間でまとめると8.78%でした。※ちなみにBtoB市場のEC化率は35.6%

「EC化率とは」全ての商取引の中でECの市場規模が占める割合のこと。EC化率が低いということは電話や対面を含めた実店舗の売買が主流という意味です。

BtoC市場の日本のEC化率は8.78%、世界のEC化率は19.6%です。

世界で最もGDPが大きい米国のEC化率は約13%。世界の19.6%と比べると低い水準に見えますが、中国が44%という圧倒的に高いEC化率を誇っているからです。

金額でいうと米国のEC市場は約96兆4,700億円、トップランカーを突き進み今後も更なる成長を期待されている中国のEC市場は約275兆7,300億円です。数値通り中国の市場規模はとてつもなく大きく、スマホ需要と共に主要都市以外のEC利用が増えていくと予想されています。米国もプラットフォーマー側の商品拡大や機能改善、また国土が広い影響を受け、EC化率と共に市場規模も爆速成長することが予想されています。

EC化率の他に、「国別のEC市場規模 = EC世界ランキング」という指標もあります。
中国・米国・イギリスに続いて日本は世界第4位です。4位なんだって思われる方も多いかも知れませんが、中国(52.1%)と米国(19%)の市場規模が世界で71.1%ものシェアを占めています。上位たった2か国で世界の71.1%のシェアです。これは凄過ぎます。ちなみにイギリスで4.8%、日本は3%です。

世界に対する日本の市場シェアはたった3%。ですが世界4位。世界的に見ても日本の市場規模は大きいです。野村総研の予測では、2025年の国内EC市場規模は27.8兆円、EC化率は11.9%になると言われているのでEC化は日本だけが低いわけではないです、でも高いわけでもない。

市場規模を成長させる上で直近の大きな課題と言われている「物流」については、置き配や個人業者の参入でエンドユーザーに配達する方法の多角化が進んでいる通り、物流業界がサボっているわけではありません。近年の値上げトレンドで色々言われてしまっていますが昨今の世界情勢を注意深く見ながら企業存続や従業員満足度向上のためにとてつもない努力をしています。

タダでモノは送れないのです。送料無料は当たり前ではなく誰かが苦労した結果です。物流業界もコロナ前とは全く世界が変わりました。物流側とサービス側双方で協力しながら配送コストやリード期間の改善など、更に買いやすい送りやすい世界を創っていくことが求めらます。

業界の世界が変わったといえば、2006年のiPhone登場から世界中で閲覧や購買方法が変わりました。PCメインからスマホメインになり、より簡単により直感的に購買体験が可能になりました。日本においてはガラケー成熟期はPCとの割合は半々だったと思います。通販サイトによってはまだまだPCが優勢でした。ただこの10年、私の体感値でもWEBよりもいかにスマホでよく見せられるかが重要となりました。自動生成機能もありますがよりカスタマイズされた魅せ方を求める時代になりました。
企業H.Pや通販サイトどちらもスマホファーストの時代です。自社やお取引先数十社の購入データをみてもPC1割:スマホ9割利用がほとんです。ちなみに当社のH.PやECサイトは開発時点からスマホで魅せることだけに注力し、WEBは逆に自動生成です。
PCがなくても、どこでも簡単に便利に購買体験が可能になった現在、EC界としての可能性は無限になりました。

ただ逆の観点で見ると、EC市場の競争がより激しくなります。ほとんど戦国時代です。
今までは先駆者メリットがありましたが、テクノロジーや経験値の蓄積と共に後発企業や新サービスの勢いが凄まじく、もはや先駆者や後発などの区別がなくなってきています。日本においても国内競争がより激しくなります。顧客争奪戦です。日本は高齢化が進み、購入する層が限られてきて、GDPも低迷する予想が出ている中、どう他社と差別化していくか。

お財布は1つです。その1つを皆で奪い合うか、それともお財布自体を増やすか。

EC市場は拡大してもいかに効率的に顧客を集めるか、そして増やすかが重要となります。

そこで越境ECを私は提案します。

「越境EC」とは、国や地域をまたいだオンラインショッピングのことで主に、
①海外の顧客がインターネットを介して日本のECサイトで買い物をすること
②日本国内から海外へ向けて商品を販売すること
の2つを指します。

越境ECは、「自社で運営する越境ECサイト」「海外のECモールに出店」「代行販売型越境EC」「保税区を活用した越境EC(主に中国)」という大きく4つのタイプがあり、まだまだブルーオーシャンな世界。しかし早く動かないと間違いなく遅れを取るのが越境ECです。上記のように販売方法が複数あり貿易も関わるので知見が貯まるのにすごく時間がかかるからです。

ここからは僕の主観というか体験値なのですが、15年前から少なからず貿易に携わってきて、現在起業している当社Maddlerのサービスは初めから日本人向けの越境ECで、日本人がまだ見たことがない世界中に散らばる素敵なモノを日本の方々に旬な情報と共に紹介していくというサービスを主軸に展開しています。日本唯一のECサービスを展開しているので僕らも初めてなことだらけだったのですが、世界中から日本へモノを輸入するには高い貿易ノウハウが必要になり同時に国内外の物流機能も充実させなければなりません。
その貿易ノウハウや機能が蓄積し始めた頃、その知見を活かして逆に日本から世界へモノを送れないかという相談が今年1年で相当数増えてきてました。
輸入と輸出では脳みそが違います。同じ国際輸送ですが似て非なる領域なのでやるべきかも含めて苦悩しました。ただ、当社は営業拠点の1つとして先駆けて米国に100%子会社を設立しており、その子会社を使って米国への「輸入代行業」というサービスを立ち上げることになり、ここの稼働が一番大きくなります。冒頭の「②日本国内から海外へ向けて商品を販売すること」のBtoB上の起点になる必要不可欠な業務です。業界最大手がこの領域でTV CMを大々的に打っていたことから市場規模の大きさと期待値が垣間見れます。

もう始める人は始めてます。
ここは先駆者メリットがまだまだあります。

海外の顧客を獲得でき、お財布自体が増えます。
全てが新規獲得で、世界は日本の何十倍ものお財布の量です。

海外の顧客を対象にすると日本よりもライバルが少ないかもしれません。レッドオーシャンよりも海外というブルーオーシャンで戦う方がビジネスを拡大できるかもしれない。インバウンドで爆買いされることからわかるように、日本製品の人気は未だ健在で世界中から求められています。つい先日、職人さんが丁寧に編んだ京都の畳と、江戸切子、そしてノコギリを米国と欧州のECモールから求められて輸出しました。越境ECを利用して日本製品を購入したい人々は、世界中に数多くいます。

越境のデメリットとして輸送コストとタイムラグの件が取り立たされますが、欲しい人は絶対に待ってくれます。コスト改善をした上での物流費なら海外ユーザーは納得してくれます。数年前に日本制作のカーパーツを米国eBayで越境販売していた時は商品の特性もありますが、半年も待ってくれる人が大半でした。また、貿易費用含めると定価以上の価格になってしまうのにも関わらずこっちにはないからと納得してくれるユーザーがほとんどでした。

その他として事前にお伝えしておく点は、法律や規制が国ごとに異なるので販売できるモノと輸出できるモノの確認が事前に必要になります。そして国をまたいだビジネスなので国内以上に紛失・盗難が発生する可能性が高く、船便の場合は数年に一度は海賊にあったりします。

最後に日本・米国・中国間の越境EC市場規模です。
日本:約3,170億円
米国:約1兆5,570億円
中国:約3兆6,650億円

世界の越境ECの市場規模は米国と中国が飛び抜けて大きく、日本の越境EC市場規模は中国の10分の1、米国の5分の1です。日本には大きなポテンシャルがありますがそれがまだまだ開花していない状態なのです。

経産省が発表している2020年の世界の越境EC市場規模は、推測値で9,123億米ドルです。
2027年までには4兆8,561億米ドルに達すると予想され、年平均成長率は約127%です。
国としても越境ECの将来性を期待していますし、早くに越境ECに取り組むことで企業側の知見も増え、将来において大きな利益を生む可能性があると僕は思います。

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

JECCICA客員講師 恩蔵 優(おんぞう まさる)

1976年生まれ、神奈川県出身、日本大学法学部卒業。起業やIPOを複数経験し、スタートアップから大企業まで第一線で戦い抜いてきながら小規模ながら個人投資家としての側面も持ち合わせる。


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