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TemuやSHEINに対抗できる国内EC事業者の販売戦略とは?

昨今のニュースでも度々取り上げられるTemuとSHEIN。世界的に利用者を急激に増やしていますが、アクセス解析サービスで調べる限り、楽天市場を利用するユーザーの多くもTemuやSHEINを利用しており、大手モールの売上への影響も大きくなりつつあります。SHEINは、主にファッション系のアパレル商材、Temuは、ファッションだけではなく、雑貨や小物、家電など幅広く取り扱っていますので、モール出店者にとって、これらの商材を取り扱っているショップも影響を受けているのではないでしょうか。

そもそも私が起業した2010年と言えば、楽天市場に出店しているショップの多くが、まだAmazonにも出品していませんでしたが、Amazonは、1商品からFBAを利用して販売できるため、個人が副業で、中国から商品を輸入して、販売する出品者が急増。あっという間に出品者の数も流通総額も楽天市場を抜き去る結果となりました。

その後、中国の出品者が急増し、日本国内にてAmazonメインで中国輸入の商品を販売する出品者は、価格競争に苦戦し、楽天市場やYahoo!ショッピングに出店するという流れも増える結果に。肖像権の侵害やPSEマークがない、在庫をもたない転売(せどり)などの商品が増えることで、モール側の取り締まりも厳しくなり、ここ数年では、楽天市場とYahoo!ショッピングの出店者の伸びは鈍化しています。
すなわち楽天市場やYahoo!ショッピングの品揃えも増えていないという状況になります。そんな中、楽天市場やYahoo!ショッピングで人気の商品をChrome拡張機能の画像検索などで調べてみると、多くの商品が1688などの中国卸サイトで仕入れた商品が販売されているのがわかります。

そのような商品を販売している出店者は多いのですが、売れている商品ページの特徴は、卸サイトの画像などの素材をそのまま利用せず、実際の着用画像を利用し、ショップ独自の世界観で比較されない商品ページを作成するなど、たくさんの努力もみられます。TemuやSHEINが、日本での勢力を拡大しても、同じ仕入れ商品であれば、「商品+ショップのブランド+モデル」などの組み合わせで、比較されにくくすることは可能ですが、商品自体は同じであるため、OEMでタグを付け替え、オリジナルのカラバリを追加するなど、工夫することも必要になってくるかもしれません。しかし、これでも商品自体のオリジナル性が高まるわけではありませんので、いつかが限界に達してしまうかもしれません。

では、TemuやSHEINが日本での勢力を拡大してくる中、国内EC事業者としては、何ができるのでしょうか?日本製の商品に切り替えるのは、円安で物価高の時代ですので、無理がありますね。

弊社が運営しているECマスターズクラブでは、楽天市場などに出店している2,500社以上の企業をサポートさせていただいておりますが、中国輸入の商品を販売している企業も多くいらっしゃいます。10商品未満のSKUにて、先程述べましたOEMなどブランディングを強化して、楽天市場のRSLを駆使して、たった1〜2名で、月商数千万円〜億を売るという会員様もいらっしゃいます。
そして、その中でも中国輸入を活用して、TemuやSHEINには真似できない販売方法で業績を伸ばされている事例も存在します。例えば、「商品+サービス」という事例。主なサービスは、加工であり、名入れなど商品への文字入れが多いようです。更に、誕生日や出産祝い、入学祝い、内祝い、クリスマスプレゼントなど、ギフト需要も取り込み、「商品+サービス+ギフト」になると、指定した日付への発送が求められ、TemuやSHEINには対応できない商材になります。
もともと楽天市場のような出店形式のショップでは、ラッピングなど店舗別のギフトで差別化することが一般的であり、AmazonのFBAで対応される簡易的なラッピングでは満足できないお客様に評価されているという現状がありますので、そこに文字入れなど、手間はかかりますが、ギフトという高単価が求められるニーズに絞ることができれば、TemuやSHEINに脅威を感じるどころか、1688など中国から仕入れる商品を利用して、永続的に顧客のニーズを満たし、売上を伸ばすことができるのではないでしょうか。

また、楽天市場やYahoo!ショッピングのプラットフォーマーには、Amazonと意識しすぎて、配送スピードだけを求めることなく、名入れギフトのような、数日かけて一手間かけて自社配送でしか対応できない事業者の商品が日の目を浴びる仕組みも検討していただきたいと思います。特に、楽天市場においては、送付先リストや複数送付先の注文などがスマートフォンにも対応しておらず、日本独自の文化であるお中元、お歳暮での法人利用において、企業名での注文など、非常に厳しいユーザビリティのままとなっています。

Yahoo!ショッピングでは、有料のVIPスタンプサービスが提供されたように、楽天市場でも、購入したショップの判別が用意になり、ショップの購入回数に応じて、ポイント倍率が増えたり、クーポンが提供されるなどの仕組みを提供することで、TemuやSHEINに勝てるECモールとして成長できるのではないでしょうか。

最後に、余談ですが…2年で47都道府県を訪れるほど出張しているわけですが、楽天経済圏にいる筆者も楽天トラベルでホテルを予約すると、チェックイン時に「おかえりなさいませ」と2年ぶりの宿泊に気付かされることもあります。販売者視点ではなく、注文者視点で考えると、普段利用しているサイトでの店舗毎の利用回数が用意に把握できるなど、物販も宿泊予約もまだまだできることがありそうですね。

清水 将平

JECCICA 参事 特別講師 清水将平

日本ECサービス株式会社 代表取締役

日本最大級の楽天ショップ向け会員サポートサービス「ECマスターズクラブ」を運営。
日本全国47都道府県の1,500ショップに対して、質問数無制限のフォーラム、毎日配信される音声解説付きサポートレター、週2回のライブ配信、4,000名が利用するChrome拡張機能など30を超えるツールなどを提供。
2019年のセミナー開催実績は、年間70回以上、参加者3,000名を超える。


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