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売上が上がる 「ECサイトのためのスマホ対応マニュアル」⑧

JECCICA客員講師 宮松 利博

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「ポクポクポク・・・チーン!」人工知能の波がやってきた

2016年3月、グーグルの人工知能「アルファ碁(Go)」が、囲碁プロ棋士9段に勝利しました。

「人工知能が囲碁のプロ棋士に勝つのは10年先」と言われていたので、一気に未来へ近づいたことになります。

勝因は、人工知能も「ひらめき」に近い能力を持っていたことです。

一休さんの「ポクポクポク・・・チーン」です。

過去の経験をもとに、まったく新しい答えを出す、というこのしくみは「ディープラーニング(深層学習)」システムと呼ばれています。

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囲碁という分野で、人間が敗北したディープラーニングのしくみは、人間の脳のしくみに似ています。

人間のニューロン(神経回路)とシナプス(結合部位)が集合した「ニューラルネットワーク(神経回路網)」に似た構造を、深く(ディープ)何層にも重ねて、多くの学習(ラーニング)から、自分で正解を導く力を身につけてゆきます。

※図は、構造をわかりやすくするために、多少デフォルメしています。

 

人工知能がスマホで接客

この「ディープラーニング」のしくみは、Google以外にも、Facebookやマイクロソフト、LINEまでが採用し始めています。

たとえば、Facebook社が4/13に開催したF8という定例の開発者会議では、メッセンジャー上で人工知能がユーザの好みの割り出しながら接客し、商品を提案し、決済までを完了させる、というデモンストレーションが披露されました。

国内でも、LINEが同様に、チャットAIという人工知能機能を発表。

messengerf8

linerobo

 

まだディープラーニングとまでは行きませんが、マンション探しなどサービスを提供する「SUUMO」では、人工知能が24時間対応するコンシュルジュ機能「スミヨ」さんを実装しています。興味の有る方は一度触れて見られると良いと思います。

 

しくみを使いこなすシナリオづくりが重要

さらにGoogleは、誰もがディープラーニングの開発者になれるように、自社のディープラーニング・システムを無料公開したり、オンライン講座を行ったりしています。

自社のECサイトで人工知能機能が稼働する日もそう遠くはないでしょう。

しかし重要なことは、我々人工知能を使う側が、どのようなシナリオを用意すべきかを考えておく必要があります。

例えば、

  • いつもお客様から頂くご質問やご相談とその回答
  • お客様と複数回やりとりしないと正解に至らないケース
  • お客様が購入完了までに体験する複数種類のコンバージョン

などの整理と洗い出しは重要でしょう。

例えば、「このようなご質問をいただいたなら、いきなり購入をおすすめするのではなく、商品の詳細説明ページを見て頂いたほうが購入に繋げやすい」などです。

こうしたシナリオをある程度設計しておかないと、単純に機械任せにしているだけでは「ツールを導入したが成果が出ない」ということになりかねません。アルファ碁も相当な勉強量をこなしています。

全自動を謳うロボットもありますが、まだまだ人間にしかわからない領域を教えてあげる必要はありそうです。

 

人工知能を使わないコンシュルジュ機能も

実は、こうしたシナリオがしっかりと用意できていれば、人工知能とまでゆかずとも、自動コンシュルジュ機能をすぐに達成することも可能です。高知県のサッカーゴールショップ、ファンタジスタゴールさんの「5秒でわかるサッカーゴール選び」がそれです。

ファンタジスタゴールのコンシュルジュ機能。

初めての訪問者でも数秒で必要なサッカーゴールが見つかるシナリオになっている。いくつかの質問に答えてゆくだけで、数多くの商品の中から、数秒以内に、お客様が必要としているサッカーゴールを的確に提示することができます。

弊社も機能開発でお手伝いさせていただいたのですが、この機能自体はシンプルな構造ですが、やはりオーナーの方が日々のお客様対応で、どういったシナリオが必要なのかをしっかりとお持ちでいらっしゃったので、すぐに成果が現れた事例と言えます。

 

スマホ集客も徐々にトレンドが変化している

スマホ化が進むにつれて、検索広告の反応が徐々に薄まりはじめ、ニュース上に表示されるバナーからの集客が成果を上げています。

たとえば、Yahooスマホトップのニュース一覧などに表示されるこうした広告です。

yahoofeed

この例では、他社と少し異なる漫画のコンテンツなどを使うことで、ニュースをしっかり読みたいユーザの邪魔をせず、興味のあるユーザにだけ来訪してもらうことができています。

こうしたスマホのニュースフィード上に表示される広告を「インフィード広告」と呼び、Yahoo以外にも「グノシー」「スマートニュース」「NewsPicks」などが人気です。

また2016年の6月リリース予定となっていますが、鳴り物入りで新規参入してくるのが、「LINEフィード広告」です。

なお各ニュース媒体には、それぞれ読者の特性もあるため、自社の対象ユーザとマッチするかどうかは見極めておく必要があります。

 

インフィード+人工知能広告3社

さらに、インフィード広告に人工知能機能を加えたサービスは、スマホ売上を押し上げています。弊社でも数年前から導入してクライアント様に高い成果をご提供できている広告サービスをご紹介します。

・ CRITEO社

とにかく、掲載面の質が良く、人工知能の学習精度も高いため、リマーケティング広告に革命的成果をもたらしたサービスと言っても良いでしょう。

 

・ ソネット・メディア・ネットワークス株式会社「Logicad」

人工知能「VALIS-Engine」の精度と掲載面から、国内屈指の安定度を誇る人工知能広告といってよいでしょう。

 

・ 株式会社プレイド「KARTE」

完全人工知能というよりも自動・手動半々で、成果を出し始めている「ウェブ接客ツール」です。国内ではKARTEが大手ですね。まだコンバージョンに至っていないユーザに対して、キャンペーンページへの誘導や、サイト外でもLINEなどを使ってコミュニケーションをとってもらうことができます。

 

 

JESSICA NEWS Vol.36 掲載

JECCICA客員講師 宮松 利博miyamatsu

1992年から営業畑のかたわら、独学で顧客満足向上システムを開発し1997年に売却。1998年に開発プロデュースしたモバイル端末向けアプリがヒット、1999年にアクセス解析ツールを開発し、2000年からEC数社を立ち上げ、年商20億円などの急成長で、2006年に株式上場。同時に保有株を売却、渡米しシリコンバレーなど海外の次世代eコマースの運営現場を研究しながら、スマホやソーシャルメディアによる新たなマーケティング手法を確立。2011年にウェブ制作・マーケティング会社、ISSUNを設立。先細りしつつある従来のマーケティング手法を改善しながら「心の通うオンラインマーケティング」で収益向上のコンサルティング事業を行っている。

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