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もしかしてECの壁を築いているのはアナタ?店頭運営型EC「カエルブログ」から見る新しいEC

JECCICA客員教授 村石 怜菜

村石さん

こんにちは。私は、WEB・ECのコンサルティング企業「株式会社パルコ・シティ」で、数々の小売・専門店企業やショッピングセンター(以下SC)の「ECコンサルティング」や「オムニチャネル推進」をお手伝いしています。

今回は、私どものサービスの中でも特にお問い合わせが多い、店頭運営型EC「カエルブログ®」について、私が興味深く感じている3つの点を挙げ、そこから「今後のECの在り方」や「ECコンサルタントの在り方」について考えてみたいと思います。

 

3つの興味深い点

  1. 想像以上!スタッフのリテラシー
  2. リアル店舗の接客力は想像以上!
  3. マーケティング?ネット広告?そんなのは不要

本題に入る前に、カエルブログ®の仕組みについて簡単に説明しましょう。

カエルブログとは、主にSC向けの店頭運営型のECプラットフォームです。

通常、SCが運営するECでは、“SCが”ECサイトを構築・運営し、“SCが”商品を仕入れ、その販売主体として、ささげ業務や商品登録、受注、発送、カスタマーサービス等を行います。

それに対し店頭運営型ECのカエルブログ®では、SCはECの通常業務にほとんど関与せず、ECに必要な業務は、すべて“SCに出店しているテナント店頭のショップスタッフ”が行います。SC内のテナントそれぞれがECを運営する、それがカエルブログ®です。

2014年、親会社パルコが運営する「PARCO」でスタートし、2015年には鹿児島中央駅前の「アミュプラザ鹿児島」、大阪枚方の「くずはモール」へ導入され、新しい“SCのECのカタチ”として広がっています。

1.想像以上!スタッフのリテラシー

導入を検討中の企業様からよくいただく質問が、「ショップスタッフにECなんて出来るの?」です。

結論から言うと、安心してください、十分に出来ます。

特にECに詳しい方や、実際にEC事業に携わっている方は、「ショップスタッフになんてさせられない!」と発想しがちですが、実際は“使いやすい管理画面”と“基本的な部分の研修”さえあれば、ショップスタップの皆さんは難なくECを運営できます。

リテラシーが高いショップスタッフは、TwitterやInstagramを活用して集客したり、お客様から電話でお問い合わせがあった商品をその場で商品登録して販売したり、様々なテクニックを自身で編み出し、自店の来店や売上に繋げるケースも少なくありません。

 

2.リアル店舗の接客力は想像以上!

通常のEC運営では、効率化が求められがちです。

ささげ業務は流れ作業になり、お問い合わせは極力減らしたいと考えるようになり、効率化という名のオートメーション化・マニュアル化のもと、お客様に自社の商品を販売・お届けしている/お客様に満足していただくという意識が希薄になりがちではないでしょうか。

毎日店頭に立ち、自社製品に触れ、接客を行うショップスタッフが運営するカエルブログ®では、この点が大きく異なります。

ショップスタッフは、自社製品のセールスポイントや、お客様が「欲しい」と思うツボを心得ており、何よりお客様への応対に長けています。

お問い合わせや電話応対に対するアレルギーも少なく、また手間暇を惜しみません。

「このお客様、間違えて注文しちゃったのかな?」と思えば、すぐにお客様へ電話をかけて確認したり、「お礼の気持ちを伝えたい」と思えば、手書きの手紙をしたためて商品に同封したり。

想像以上の「接客力」を発揮しています。

 

3.マーケティング?ネット広告?そんなものは不要

カエルブログ®ではネット広告に多額な予算を投下することを推奨していません。

大手ECモールや自社ECサイトと競合するのではなく、「ショップスタッフによる情報発信で集客する」ことにこそ、価値があると考えているからです。

EC化率は年々伸長していますが、EC単体で事業を伸ばしていくのには限界があります。

圧倒的な力・リソースを持つ店頭の力を活用しない手はありません。

現に、カエルブログ®では小規模自社ECサイト並の売上を上げているショップも現れ始めています。

通常のECでは常識と考えられてきたリスティングなどのネット広告に頼らなくても、ここまでの成果が出せるのです。

これら3つの点に共通して言えるのは、「カエルブログ®の事例には、これまでのECの概念・常識が当てはまらない」ということです。

従来のECでは、ECの専任担当者が、ECサイトを運営し、メルマガ会員を集め、リスティング広告・リマーケティング広告やSEO対策などに多額の予算を投下するのがセオリー・常識でした。

しかし、カエルブログ®の事例を見ると、そのような施策なしでも、ECリテラシーが特別高くない店頭のショップスタッフでも、高い情報発信力と接客力でもって、大きな成果を出すことが可能だということが分かります。

 

ECは、あくまでお客様に提供する「購入手段の一つ」です。

お客様に対する「おもてなしのツールの一つ」です。

 

お客様のオムニチャネル化が進む中、もはやEC事業単体で考えることにあまり意味はなく、無理にネット広告やSEO対策を実施しなくてもよいし、店頭のショップスタッフがECの運営をしてもよいのです。

しかし、ECコンサルタントを自称する人の中には、やれ「大手ECモールに出店しましょう」、やれ「リスティング広告に100万円必要です」、やれ「SEO対策をやりましょう」といった、従来のECのメソッド一辺倒の方も多いことでしょう。

 

本来お客様に提供するサービス(の一つ)のはずであるECが、EC事業部やECコンサルによって特殊化・専門化し、知らずに築いてしまった「ECという壁」を超えられないとしたら、本末転倒です。

この「ECの壁」を自ら取り除くことが、日本のECの発展、ひいてはオムニチャネルの定着への近道でしょう。

 

 

JECCICA NEWS Vol.36 掲載

JECCICA客員教授 村石 怜菜

村石さん

株式会社パルコ・シティのシニア・コンサルタント。接客販売・店舗運営を経験後、ECサイト構築・運用を経験。現在は顧客企業のECコンサルティングやオムニチャネル戦略の実行を支えている。

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