サブスクリプション型ドレスレンタル
フォーマルなドレスやタキシードは、値段もそれなりに高価なものも多く、また数年に一度くらいしか着ないという方が多いと思います。こちらでは、高校最後の年もしくは卒業1年前の年の学年度末に、プロムと呼ばれるフォーマルなダンスパーティが各校で催されます。これは高校生活において重要なイベントの一つとして位置付けられており、特に女性はとてもおしゃれなドレスを着ていきます。プロムの参加費用自体100ドルを超える学校も少なくなく、これにドレスやタキシードなどの購入費用を考慮すると、一つのイベントに要する費用は莫大になり、親にとってもかなりの負担となります。
このような時に役立つものの一つとして、ドレスなどのレンタルがあり、有名なところとしてRent the Runwayがあります。
2009年に創業したRent the Runwayは、ハーバードビジネススクールの在学生が、”クローゼット イン ザ クラウド”のコンセプトのもと、数千ドルもかかるデザイナードレスをイベント用に安価でレンタルするというビジネスプランをもとに、まずは学生がその場でドレスを試着してレンタルできるポップアップショップをハーバード大学のキャンパスに設置したのが始まりです。その後、数ヶ月間かけ、創業者たちおよび数人のコアチームメンバーと多数のインターンとともに、Eコマースウェブサイトを立ち上げ、今に至っています。
現在では、700以上のさまざまなサイズのイベント用の衣服に加えて、日常服、子供服、およびデザイナーのネックレス、イヤリング、ハンドバッグなどのアクセサリーもレンタルカタログ (= クローゼット イン ザ クラウド)に掲載されています。また、レンタルのサブスクリプションという独特のメンバーシップ制も採用しています。併せて、ニューヨークを皮切りに全米5ヶ所で独立型店舗もオープンしましたが、サブスクリプション型Eコマースに重点を置くために、これらの店舗は2020年に閉鎖されています。ここでは、パンデミックの影響も少なからずあったと思われます。
Rent the Runwayの利用方法は、プランに応じた月額料金を支払うことによりレンタルの都度費用がかからないサブスクリプション型メンバーシップ、メンバーでなくても誰でも利用可能な4日間または8日間のワンタイムレンタル、買取、の大きく3種類あります。レンタルしたドレスなどは、ドライクリーニングされ、再利用可能なガーメントバッグに入れられ配送されます。
また、リターン方法は、送付されてきたガーメントバッグに入れ、大手百貨店のノーズストロームなどに設置されているドロップ オフ ボックスへのリターン、リターン用配送レベルを貼ってUPSショップに持っていく、もしくは都市によっては自宅やオフィスまで集荷に来てくれる、などが選べます。
ちなみに、Rent the Runwayは1時間あたり2,000アイテムものクリーニングを行なっており、世界でもおそらく最大のドライクリーニング事業者でもあるそうです。
JECCICA客員講師 渡辺泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。