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法人向けコンバージョンで事業を安定化させる

■見出し:「ココが違う」法人向けコンバージョン
あなたがオンラインストアで提供する商品やサービスが個人向けであったとしても、法人向け専用のページを設けるメリットを考えてみましょう。例えば、大口のまとまった注文やその定期的な発注、商品提携、商品提供など、より安定した売り上げを確保できる場合があります。
「そんな事は既にやっているよ」というお店でも、ただやみくもに、「法人の方はこちら」というリンクを設置して、法人専用のお問い合わせフォームを設けているだけだったり、ショッピングカート上で大量注文に対応しているだけ、といった、個人消費者向け事業、つまり、B2C戦略の延長線に過ぎず、B2B戦略のツボがおさえられておらず、もったいないな、と感じる残念なケースがあります。
法人向け事業のウェブ戦略、いわゆるB2BのWEB戦略は、B2Cと大きく異なります。それは、サイトに訪れるのが決定権を持たないユーザの可能性がある、ということ。ユーザは、サイト上の情報を咀嚼して理解し、上司などに報告・相談し、規模によっては稟議書を書いて、主要役員や関係する担当部署などからの承認を得る必要があります。また場合によっては、サービスや商品導入に対する反論や質問に対して、説得・回答する必要もでてきます。このため、「自社が提供するサービス内容を、他人に伝えてもらう」という前提のサイト作りや資料提供をする必要もあります。さらに、競合との比較を勝ち抜く「強み」を明確にしておく必要もあります。つまり、最終コンバージョン(商談や契約)にいたるまでの、長期間にわたる検討期間の「関係性を維持」してもらうための、いわゆる「中間コンバージョン」の設計が重要となってきます。
■本来、カスタマー・ジャーニー・マップはオフラインにまで及ぶ
次に整理しておくべきことは、事業の規模に関わらず、本来は、オンライン・マーケティングだけではなく、オフライン・マーケティングを視野に入れた「カスタマー・ジャーニー・マップ(契約に至るまでの顧客との接点)」を設計して取り組む必要があるということです。
図:B2B向けのカスタマージャーニーマップの例(Lingo社)

https://lingo-group.com/b2b-buyer-journey/

法人向けのオフラインでのカスタマージャーニーマップとは、例えば、東京ビッグサイトなどで開催される業界の見本市への出展、セミナーの開催、担当者のメールアドレスの獲得、ビジネス誌での露出、DM送付、電話営業など、消費者向けの無店舗型オンラインストアではあまり取り組まない、オフラインでの「見込み客との接点作りと維持」が重要になります。
しかし、こうしたB2B戦略をいきなり現在のB2C事業に導入しようとすると作業が一気に増え破綻してしまいがちです。まずはオンラインでのカスタマージャーニーマップだけを考えて、効果的な集客方法やサイトの構造作りから取り組み、社内リソースを整えてから徐々にステップアップして取り組むと、成功しやすいです。

■法人向け事業に効く「3つの基本要素」
B2Bでも、B2C同様にある程度特定のターゲット層を想定したランディングページを複数種設けておく必要があります。そこで今回は、まず最初に作る1ページに必要な要素「3つ」を考えます。
1)法人向けファーストビューのキャッチコピー
2)法人向けの選ばれる理由
3)中間コンバージョンの設置
いくつかのサイトがある中で、最も解りやすく秀逸なのが「はやく言ってよ〜」のTVCMでお馴染みの、法人向けの名刺管理サービスの「Sansan」さんです。

図:Sansanさんのトップページ画像と、1,2,3の構成要素

https://jp.sansan.com/

1)法人向けファーストビューのキャッチコピー
ランディングページのファーストビューを、「最初にみられる情報」と考えてはいけません、これはB2Cと同じです。たとえば今回なら、B2Cページからの「法人向け」というリンク、あるいは、広告、メルマガ、など、なんらかの「事前情報」のあとに着地しているページです。ムダな説明をゼロから長々とするのではなく、シンプルなキャッチコピーとインパクトと印象にのこる象徴的な画像を設置しておきます。
2)法人向けの選ばれる理由
あなたの事業を選んで頂く「3つの選ばれる理由」をまとめておきましょう。
3)中間コンバージョンの設置
法人用の中間コンバージョンの大きな特徴としてはホワイトペーパーがあげられます。中間コンバージョンとは、最終コンバージョン(商談日の確定や契約など)につなげるための、前段階のコンバージョンを指します。ホワイトペーパーとは、通常はPDFで作成された資料で、このPDFをダウンロードしてもらう際にメールアドレスなどの見込み客情報を取得する、という手法です。PDFではなく、ウェブコンテンツでダメなのか、と言うご質問をいただく場合もありますが、PDFであるメリットは「印刷して社内で閲覧してもらえる」という点があります。つまり、ページを閲覧するのは決裁者ではなく、上司からの指示でサービスを探しているケースが多くなります。その後、みつけたサービスを社内プレゼンしたり、その後も社内で稟議を通過させたり、と、デジタル化されていない部署への情報共有が必要です。そういった視点から、あなたの会社を選ぶメリットや他社と比較した際の強みなどを、有益な情報提供と一緒にホワイトペーパーとして公開しておくわけです。そして稟議書と一緒に、参考資料と言う形で添付され決済が得られやすくなる、というわけです。
ホワイトペーパーの事例としては
・当社サービスを導入して成功した〇〇社の事例
・マンガで分かる〇〇〇
・3分でわかる〇〇〇
・2018年版〇〇〇調査レポート
といったホワイトペーパーは人気のようです。
以上、今回は、B2C事業者がB2B事業にWEBで取り組む上で、サイト上で必要な考え方と最低限設置しておくべき「3つの基本要素」をご紹介しました。次回は、さらにここから最終コンバージョンを効率的に増やすための施策や事例をご紹介してゆきます。

JECCICA客員講師

株式会社ISSUN 代表取締役 宮松利博

営業時代に開発した顧客管理システムで営業業績を伸ばし1997年にシステムを売却。2000年、EC立上げ初年度で月商1億円に急成長するも数年後に上場失敗。新たなECを3年で年商20億円に成長させ、2006年株式上場。同年に保有株を売却し海外視察の後、2011年「小よく”巨”を制す」を掲げ株式会社ISSUNを立上げ、WEB/ECの運営・制作・コンサルティングで、業界No.1に成長するクライアントを多数抱える。


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