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食品メーカーだけではない!東京五輪前にECショップも食品表示法対応必須

このJECCICA会報誌コラムがお手元に届くころには、東京オリンピック開催まで「480日」をきっているものと思います。刻々と近づく東京オリンピックの開催、楽しみですが開催前に「加工食品と添加物」の販売をしているECショップは準備が必要です。必要な準備を怠ると、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰則」という悲惨な結果を招くかも知れません。食品の表示に関して、2015年4月に新食品表示法が施行され、5年の猶予期間を経て東京オリンピック前の2020年4月に新表示に完全移行、つまりそれまでに新食品表示法を遵守する対応をしないといけません。

「えっ!何のこと? ウチはメーカー商品を卸問屋から仕入れているから対応の必要ない!」と、お考えではありませんか?

食品加工品や食品添加物を取り扱っているECショップ、リアル店舗、自社製造の食品会社は、関係法令をよく確認して2020年4月前に対応してください。そしてECコンサルタントの仕事に従事するもの、ECコンサルタントを目指すものはなおさら確認しておかないといけない情報です。まず「食品表示法」についておさらいです。従来食品表示について定めていた法律は、「JAS法」と「食品衛生法」と「健康増進法」の3つありました。
この3つの法律を分かりやすいものにしようと、3つまとめたものが新しい「食品表示法」です。

【従来の食品表示法は】
名称/期限表示/製造者/保存方法の他
「JAS法」:原材料名/内容量/原料原産地名など
「食品衛生法」:アレルギー/添加物など
「健康増進法」:栄養成分の量及び熱量など
各法で定める項目の表示でした。

【新しい食品表示法は】
・名称
・原材料名
・アレルギー
・添加物
・原料原産地名
・内容量
・期限
・保存方法
・食品関連事業者
・製造所など
・栄養成分の量及び熱量など

更にこれら食品表示基準を定めた法律「食品表示法」は平成27年4月1日に改訂施行され、食品表示基準への移行経過措置期限として2020年3月31日(令和2年3月31日)までと定めています。

急ぎ対応すべき点や注意すべき点を確認するため、新しい食品表示法の変更点を列記説明します。
① 加工食品と生鮮食品の区分
② 製造所固有記号の表示
③ 食品添加物アレルギーの表示
④ 栄養成分表示の義務化
⑤ 栄養強調表示に係る規則
⑥ 栄養機能食品に係る規則
⑦ 原材料名表示等に係る規則
⑧ 添加物の表示に係る規則
⑨ 通知等に規定されていた表示規則
⑩ 表示レイアウトの改善
⑪ 機能性表示制度の創設
⑫ 原料原産地表示制度の創設

新しい食品表示法へと規則が変わり、上記の変更点に必要に応じ対応しないといけませんが、特に気がかりなのは、「②製造所固有記号の表示」と「③食品添加物アレルギーの表示」「④ 栄養成分表示の義務化」です。ルールを理解していれば比較的対応が容易な「② 製造所固有記号の表示」と「③食品添加物アレルギーの表示」ですが、まず、「② 製造所固有記号の表示」の変更について考えてみましょう。

販売業者が表示に責任を持つものとして製造者の製造所在地の異なる製品を販売する場合、製品を製造する工場が1つの場合でも製造所固有記号での表示が認められていましたが、新しい食品表示法では、原則として、「同一製品」を「2つ以上の工場」で製造する商品のみ利用可能です。

製造所固有記号の表示

消費者庁に「製造所固有記号の届出」を行うこと及び届け出た固有記号を表示に記載することをもって、「販売者」で表示する事が認められています。新基準に基づいた固有記号を使用する場合は、次のいずれかの事項を商品に表示する必要があります。

・製造所所在地等の情報を求められたときに回答する者の連絡先
・製造所所在地等を表示したウェブサイトのアドレス 等
・当該商品の製造を行っている全ての製造所所在地 等
※新ルール対象については、業務用食品は除きます。

ここで問題は、ネット販売などで数多くの販売業者が独自の仕入れルートを開発し営業している、中には、仕入れルートを知られたくない場合もあり、掲載にはショップ独自の注意と判断が必要となります。

次に、「③食品添加物アレルギーの表示」についてですが、添加物については、「添加物」と添加物以外の「原材料(食品)」とを明確に区分して表示する方法として、別記様式の原材料名欄の次に「添加物」の事項名で欄を設けて記載する方法の他、原材料名欄を2つに分けて原材料と添加物を記載するなどの方法があります。

添加物については

アレルゲンについては、
「卵、乳、小麦、落花生、そば、えび、かに」は特定原材料として、表示が義務付けられています。原則として、それぞれの原材料の後にカッコ書きする方法(個別表示)で特定原材料を記載します。但し、表示面積に限りがあり、個別に記載が出来ない場合は、例外として原材料と添加物の直後にまとめてカッコ書きする方法(一括表示)が可能です。

新しい食品表示法でECショップにとって最もやっかいなのが、
④ 栄養成分表示の義務化」です。ECコンサルタントに於いてもしっかり理解しておいていただきたい部分です。

消費者に販売される容器包装に入れられた全ての加工食品と添加物(業務用加工食品は除く)に、栄養成分表示が義務化されることになりました。新しい「食品表示法」が更に、平成27年4月1日に改訂施行され、食品表示基準への移行経過措置期限は、加工食品と添加物を2020年3月31日(令和2年3月31日)までとし、食品表示基準違反、命令違反等については罰則が規定されています。表示事項を表示せず又は遵守事項を遵守しなかった場合 ⇒ 〔指示〕 ⇒ 〔命令〕 ⇒ 1年以下の懲役又は100万円以下の罰則(食品表示法第20条)

表示が義務化された内容は、
1.栄養成分表示が義務化された栄養成分
熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量で表示。
ナトリウム塩を添加していない食品のみ、任意でナトリウム量が併記できる。

栄養成分表示食品単位当たり

1)ナトリウム塩を添加している場合
熱量kcal / たんぱく質g / 脂質g / 炭水化物g / 食塩相当量g

2)ナトリウム塩を添加していない場合
熱量kcal / たんぱく質g / 脂質g / 炭水化物g / ナトリウム㎎ / (食塩相当量g)
(ナトリウム量の次に食塩相当量を括弧書きで表示)

・食品の単位は、100g、100ml、1食分、1包装、その他の1単位の量を表示。
・栄養成分及び熱量の順は変更不可。
・栄養成分の量及び熱量であって一定の値を「 0 」とするものについては、当該栄養成分又は熱量である旨の文字を冠して一括して表示できます。
・枠を表示することが困難な場合は、枠を省略可能。

<栄養表示例>

添加物については

2.表示の数値の設定方法

表示する成分数値の設定は以下の方法で行うことができます。

① 「分析値」:消費者庁が定めた分析方法によって分析した値

② 「計算値」:日本食品標準成分表などの公的データベース等から原材料の栄養成分値を入手して、その商品の栄養成分を算出した値

③ 「参照値」:公的なデータベース等を基に類似した食品から栄養成分値を類推した値

①「分析値」は、消費者庁が定める成分分析方法を実施できる分析センターなどに商品現物の分析を依頼し、その分析結果を表示するものです。1件(商品)12,000円~15,000円の分析料がかかりますので、仮に100商品の分析依頼となると、120万円~150万円の費用がかかることになります。メーカー商品など仕入販売の場合、商品パッケージ表示の栄養成分数値を引用できますので、問題ありませんが、自社製造などオリジナル商品の場合、高額な費用となる場合があります。

②「計算値」は、以下日本食品標準成分表から原材料の栄養成分値を計算するものですが、商品の原材料レシピから日本食品標準成分表を用い計算する市販ソフトがあり、①「分析値」よりかなり安価なコストで済みます。

文部科学省 日本食品標準成分表
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/index.htm

<食品栄養成分計算ソフト>
添加物については栄養成分計算君(PC版)

3.栄養成分表示の省略対象食品
以下に該当する食品は表示を省略できます。
・容器包装の表示面積がおおむね30c㎡以下である食品。
・酒類。
・栄養の供給源としての寄与の程度が小さい食品。
・極短期間で原材料(その配合割合も含む)が変更される食品。
・小規模事業者※2が販売するもの。
※2 小規模事業者とは
・課税売上高が1,000万円以下の事業者
・中小企業基本法に規定する小規模企業者(常時使用従業員数20人、サービス業ついては5人以下)

4.栄養成分表示の留意点
「表示場所」:容器包装を開かないでも容易に見える場所に読みやすく表示
「表示方法」:販売される当該食品の100g(100ml)又は1包装当たりの含有量を表示
「表示単位」:栄養成分は、決められた単位で表示
「文字の大きさ」:原則8ポイント以上の活字で記載。※3
※3 容器包装又は包装の表示面積がおおむね150c㎡以下の場合等は5.5ポイント以上の活字でも良い

5.最小表示の位(位を下げる場合はその下の位を四捨五入)
今回の食品表示法に関するコラムは、食品加工品及び添加物を取り扱う「食品&飲料」ジャンルのECショップの関係者には、理解を深めていただきたい内容ですが、ECコンサルタントにとっては必須の情報と考えておいていただきたいと思います。

法令細則は、消費者庁ホームページより一部引用しております。
消費者庁ホームページ
http://www.caa.go.jp/foods/

文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/

JECCICA特別講師

JECCICA特別講師 松橋 正一

楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。


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