ニュージーランドのEC事情

異国のことを知ると、何か参考になることがあるかもしれません。ニュージーランドのEC事情について書きます。

●ニュージーランドの基本データ

南半球、オーストラリア大陸の東方にある島国。四季があり地震も多いという日本と似た点も多いです。面積は日本の4分の3程度、まあまあ広いです。しかし人口は490万人ほど、世界でも有数の人口密度の低い国です。人より羊のほうが多い、といわれます。産業としては農業が盛んで、日本は乳製品や肉を輸入しています（弊社はハチミツを輸入）。また日本は自動車や機械設備を輸出しています。

ECの市場規模としては、2018年は前年比10%の伸びで42億NZドル（約3150億円）。NZ Heraldによると、消費行動としては、28%がオンラインショッピング、15%が実店舗、57%が両方での買い物を好んでいます。金額としては大きくはありませんが、ECが浸透しているとはいえると思います。

人口数が少なく市場規模も小さいからか、ニュージーランドにはまだAmazonが進出していません。eBayは2001年に進出しましたが、ほとんど成果を上げられませんでした。

●ニュージーランドでネット通販といえばコレ

ニュージーランドでネット通販といえばコレ

Trade Me
https://www.trademe.co.nz/

1999年スタート、eBayやヤフオクのようなオークションサイトです。オンラインショッピングといえばTrade Me、くらいの圧倒的シェアです。会社としても上場しており、2018年度は売上高2.5億NZドル（約188億円）、従業員数は543名。会員数は460万アカウント。少ない？いえいえ、人口490万人ですから。

何でも売っています。アウトドアライフが充実しているのでヨットなんかも売っていますし、ピストルやライフルも売っています。狩猟が盛んで銃の保有率は高いですね。ただ、日本でも報道されたように3/15にモスク銃撃事件があり、法改正で半自動ライフル銃など殺傷力の高いものは販売されなくなりました。事件後3日間は販売されていましたが、Twitterなどで痛烈に批判されて法改正より早く3/18には削除されていました。

他の変わったところでは、不動産もかなり取り引きされています。戸建てもマンションも、売買もありますし賃貸もあります。ルームメイトの募集までやっています。また、求人もあります。フルタイムもアルバイトも。さすがにその辺りはオークションではありませんが。低い給料で入札した人が採用される、なんてイヤですよね。圧倒的シェアですから、オークションだけでなくポータルサイト的なところもあります。

ちなみに、マーケットプレイスもあり法人も出店しています。後述のMighty Apeもセラーとして出品しています

●Amazonに立ち向かう！つもりの総合オンラインショップ

Amazonに立ち向かう！つもりの総合オンラインショップ

Mighty Ape
https://www.mightyape.co.nz

ゲームなどおもちゃに強く、その分野ならニュージーランドで一番だと思います。特徴があるので取り上げました。Amazonもトイザらスも進出していない国なので、重宝しているユーザーも多いようです。

1999年、ゲームサイト”Game Zone”でスタート、最初はクリック＆モルタルでしたが、ネットに特化するようになっていきます。2008年、サイト名をMighty Apeに変えて商品幅も広げました。「強い類人猿」という意味ですが、なんで？ドンキーコングから付けたらしいです。2011年からは個人のマーケットプレイスも始め、中古品の売買もできるようになっています。サイト全体の売上は公表していないようですが、100億円くらいと思われます。

何かとAmazonっぽいところのあるサイトで、かなり意識しています。Amazonのプライム会員に当たるのは”Primate Members”。似ているけど、ちょっと違いますね。ちなみに、霊長類（すべての動物の最上位）という意味です。

価格ではTrade Meに勝てないと安さには早々に見切りをつけ、配送スピードを上げることに特化しました。できるだけ在庫を持って、翌日配送に加え、当日配送も始めています。2018年1月、それまでの5,500㎡から10,000㎡の配送センターに移転し、従業員120名以上。在庫は80万点以上。商品ジャンルは幅広いですが、食品は常温のみなど戦略的に絞っています。

Amazonが来たときにも負けないぞ！と、顧客サービスと仕入先をしっかり押さえることにも力を入れています。例えば欠品のお詫びでも、テンプレートでない、とても丁寧なメールがきます。会社の方針からカスタマーサービスには優秀な人材を配置していると思います。

Amazonは来るもの、との覚悟は強いみたいです。Amazonは、進出時に30%、軌道にのっても15%、価格が他社より安いといわれていますから脅威ですね。Mighty Apeは顧客の心をつかんでいるから Amazonに負けないという意見もありますが、しかし・・・、昔、楽天も同じようにいわれていたような。

がんばれ Mighty Ape！