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スタッフは専門家であり、企業価値を底上げする礎である

人間的要素が強いからこそ・・・
昨今、ECは人間的要素が強くなりました。それで改めて気づくことは、人は何かしらの専門家になれるということ。企業はスタッフを通じて、今こそ、そういう人間的な側面に配慮し、専門性を育んでいくことで、企業価値を底上げしていけるでしょう。

少し前、僕は、ユナイテッドアローズの販売員、仲希望さんに直接、話を聞く機会がありました。彼女は「STAFF OF THE YEAR 2023」で8万人の頂点に立った人です。彼女にとって、ユナイテッドアローズで働くことが、人生観そのものに影響していると述べていて考えさせられました。最初のうちは、仕事に打ち込んでいたし、それで精一杯だったと言います。けれど、結婚をして、子供も生まれると、子供を預ける学校、先生との対話、家庭内での役目を果たす中で、ユナイテッドアローズで販売員をしているという仕事の要素が、顔を出すといいます。
打ち込む意味合いが、昔と比べて重みを持って感じられるというのです。

人生観となり、仕事の価値がさらに上がる
仕事があることで、その人の個性は引き立ち、今まで以上に打ち込むきっかけとなる。かくして、彼女の専門性はさらに極めることになります。

元々、ユナイテッドアローズでは、「ウォッチング」「アプローチ」「ヒヤリング」「プロポーザル」の4つの項目で教育を受けていて、そのそれぞれで、磨きがかかっていきます。些細なことだけど、お客様がどのくらいの速さで店内を歩いているかを見る。
その上で、お客様が大事にしていることが何かを会話から紐解きながら、その時の相手の都合に合わせて、その時間尺を考え、提案に繋げると言います。

こういう知見は、その人生観にも繋がる彼女自身の個性であり、それが店としての価値を高めて、顧客満足度へとつながっています。だから、結局、それがデジタルの文脈に移行しても、彼女は同じだというのです。そのサイトの中でも、極力、対話するように、ウェブに向き合うと言います。

勿論、ウェブではお客様が見えません。でもその分、数字が明らかにしてくれるので、そこで“対話”をするのです。おかげで、ウェブ上での彼女の提案経由での売上は伸びました。
店に立つと後ろ姿を気にする人が多いので、敢えて入れるようにしています。そんな具合に、無機質だったECサイトに体温が感じられるようになってきました。

アテニアの人と向き合う化粧品の事業モデル
他の企業でもそれと同じようなことが聞かれます。先日、僕はアテニアという化粧品会社の話を聞きました。
化粧品で自分たちなりの適正な価格を追求しました。でも、安かろう悪かろうではない。大手ブランドの化粧品級の品質を、事業の座組みを変えることで、安く追求できるのではないか。そこに新しいお客様のニーズがあるのではないかと考えました。

彼らは直販と通販のみに絞り、その分、開発コストに投資をしました。そして、第三者の調査機関に依頼し、ベンチマークをする化粧品ブランドの商品と同テーマで並べます。そして、厳しい消費者のブラインド調査を実施して、商品化してみたのです。
それで同等、もしくはそれ以上の評価をもらえたのだから、それをベースに販売員が丁寧に伝えて、継続利用を促すというわけです。
大手化粧品が莫大な広告費をかけて、問屋などを使い、多くの店舗に裾野を広げるのとは違う形。これが結果的に、ECとの相性が良かったのだと言います。

まわりまわって「スタッフ力」を伸ばすことに
アテニアは2019年にAmazonや楽天市場など、モール型のECに出店をしました。後発ながら、2023年の見込みで、2019年対比で7倍もの売上です。短期間で成果を出した理由は、それより前に、自社ECで売上高ではなく、「誰がどの商品を買って、満足し継続しているのか」を徹底的に追っていたからです。

自社ECでポリシーを貫く骨子を作っていたから、タッチポイントが変わろうと、実績を出せたわけです。そんなアテニアが自社ECの更なる飛躍を考えた時に、必要だと考えたのが、スタッフ力だと言います。

開発から製造、販売に至るまで自前でやっている分だけ、そのそれぞれに専門的なスタッフがいます。2021年から自社ECで、そのスタッフによって、コンテンツを作成するようにしていきました。

スタッフのコンテンツが売上を支える
スタッフにデジタルの知見はありません。最初こそ、取り組む人の数はわずか40%。でも、自然と勉強会などを通して、ベテラン社員にも広がっていき、今では全体の9割にも及びます。

ゆえにコンテンツ数は、年間1000件以上を数え、それだけあれば、売上にも直結する。コンテンツ経由で売り上げた金額は、4億6500万円にも及ぶわけです。
だから、思うのです。昨今、ECは、人間的要素が強くなったと。それを通して気づくことは、人は何かしらの専門家になれるはずであるということ。

ゆえに、企業はスタッフを通じて、そういう人間的な側面を育んでいくことが重要であり、下手すれば、そのスタッフの人生観にもなっているかもしれない。それだけの意識の高いスタッフの力は、そのまま企業価値を底上げし、売上を向上させていくことにつながります。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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