JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

地方企業のネットショップ運営における戦略の立て方
~運営戦略策定の為の各分析方法について~

今や全国的に地方創生の一環として地方企業、地方団体が自らEC運営を行う事のメリットが再認識されている中、「ふるさと納税」ECサイトの成功事例により、今までECに携わることが無かった地方企業や地方団体がEC運営を自ら行っていくという意識が加速化しています。

日本全国の地方特産品はまだまだ埋もれている逸品が沢山存在します。その多くが、「地元だけで消費されてしまう商品」「実は凄く売れる商品」「お取りよせ商品として最適な逸品」「予約してでも買いたいと思える商品」等々、まだまだ潜在的な可能性を秘めた商品がまだまだ多く存在しています。

今回のコラムでは、EC運営の相談やセミナー講師などでで、地方に出向く回数が増え続けている中、地方企業様や団体様から最近特に多い相談の内容とその考え方についてお伝えしたいと思います。

頂く相談内容の多くは以下となります。

・地方創生の観点からECで○○県、○○市、○○村の物産購買を高めていくにはどうしたら良いか。
・地方でネット通販を実施するにあたり、サイトを盛り上げる又は成功させる為にはどうしたらよいのか。

最近特このような相談内容を多く受けるのですが、私が最初お聞きする事は、「ECを運営するにあたり、事前に各種分析をしっかりおこなっているか?」となります。

これはリアルの経営コンサルタントも使う基本的な分析手法なので、EC運営を始める前の企業、団体様も実業務などで何らかの形で分析をおこなった経験はあるかと思います。

ここでまずギャップが出るのですが、実業務であろうと、EC運営であろうと、自社及び自社商品(製品)においての分析においては大きくは変わらないという事です。 これからEC運営を行うにあたって、事前に綿密なECマーケティング視点での各種分析は必ず行う必要があると考えています。

自社の思い込みをはずす為や、バランスの良い分析結果を抽出する為にも最低5つの分析は行う必要があると考えています。

・SWOT分析
「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの軸から評価する手法
・3C分析
「Customer (市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」において、企業における環境変化の状況を「客観的」に把握するための手法
・4P分析 
売り手目線の強み弱みの比較
・4C分析
買い手目線の強み弱みの比較
・ファイブフォース分析
企業を取り巻く脅威を知り、業界の収益構造を明らかにするための分析
(※各種分析の詳細においては、検索で容易に情報収集可能です。)

それぞれに分析を行っていくと、自社にとって強い部分、弱い部分、そして実は思い込みであったという事実などを「見える化」させることが出来ます。 

このような各種分析を行い、 独自の強みを持つ商品が何であり、消費者に対してどのようなニーズがあり、また継続性のある商品が何であるか、競合がどのような展開を行っているか等を事前に認知、定める必要があります。

言い方を買えれば、これらの分析を持ってしてこれから運営を行っていく為には絶対必要となる「運営戦略の軸」「サイトコンセプト」の抽出、策定を行うための下準備とも言えます。

並行して、下記の立ち上げ(再構築)~運営開始までのフローについて順を追って加味しながら、EC運営に際しての事業計画書作りを行うことは必須であると考えます。
1、なぜEC展開を行うかの理由を明確にする
2、各種分析を通じ、本格的なEC展開を行うにあたり勝算はあるのかのジャッジを行う
3、勝てる商品のブラッシュアップ
4、運営戦略の策定(事業計画書作成)
5、収支計画の策定
6、運営スタイル(運営戦術)の計画、策定
7、運営人材(チーム、組織、ベンダー選定等)の選定及び環境構築
8、運営のシュミレーション
9、環境構築開始
10、運営開始

といった一連の流れにおいて、全て精度の高い準備が最低限必要であると考えます。

実際に精度の高い計画書が出来上がってくると、視野が一気に広がってくる事が実感できるでしょう。
初期の段階で、それなりに精度が高い仮説の抽出が可能となります。

例えばいくつかの事例を挙げますと・・・

・立ち上げ時、自社に最適な販売環境は自社サイトで、月商200万円まではレンタルカートのASPを使い、そこから先はオープンソースの自社サイトに切り替えが出来るよう準備をしていこう。

・商品画像撮影、商品説明文作成などは社内にノウハウが無いので、今から自前で勉強するよりも、コストパフォーマンスに優れた業者さんと最初から組んだほうが賢明だね。

・EC業界のトレンドや、自社に最適な販売戦術(テクニック)を習得する為には、事前に定めたセミナーや勉強会への参加は絶対に必要だね。ここの年間予算の確保はケチらずにいこう。

・EC運営を行っていく中で、購入ユーザーの動向がわかってきたら初めて商品開発を行おう。それまでは競合の動きも見ながら売れる商品の目利き力を養う必要があるね。

・広告依存型のECショップにならないために、自社内でコンテンツマーケティングの習得や運用を行いながら、第一期が終わる前には広告予算確保の準備を行い、導入費用のバランスを検討しよう。

・運営開始から16ヵ月後に月商500万円を達成する為には、12ヵ月後からは毎月新規購入客○○%、既存顧客数○○%の維持が最低限必要になってくるね。

といったように仮説レベルの計画を立てるだけでも、自らの力で様々なシュミレーションが可能となります。

まさしくこれがSPDLIサイクル  Strategy(戦略) → Plan(計画) → Do(実行) → Learning(学習) → Innovation(改革・新しく改める)の基本的な考え方であると言えます。

経営陣はSPDLIを重視し、現場ではPDCAをまわし、双方においてバランスの良い活用を行うことで精度の高いEC運営を目指していけると感じております。

小林厚士プロフィール写真

理事【小林厚士のプロフィール】

地方型Eコマース経営・運営総合的アドバイザー
主な経歴
1996年:建設業にてCADとの出会いによりPCへの可能性に目覚め転職を決意
1997〜99年11月:自作PC制作、販売、環境構築、法人向けトレーナー
サービスを展開
1999〜05年3月:ネット販売会社設立 2箇所の海外支店をハブに、最大7店舗のネットショップ運営展開を行う
2005年4月〜:アイズモーションウェブコンサルティング設立
2007年6月:株式会社アイズモーション設立
2013年:WEB・EC及び経営コンサルティング支援を行い現在に至る

・99年より楽天市場出店を期に、最大7チャネルのECサイトを運営
楽天店舗では02年楽天ショップオブザイヤースーパーオークション賞受賞
・長野県・新潟県・富山県・山梨県登録専門家(IT部門)
長野商工会議所経営革新支援アドバイザーセンター 登録専門家
経済産業省中小企業支援ネットワーク強化事業 認定専門家

物販で培ったマーケティングノウハウを活かし、経営視点かつ現場最優先の実践的なコンサルティングを得意とする。

 - JECCICA記事, コラム

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2017 All Rights Reserved.s