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PRオプション効果的活用のポイント

まちがっていませんか?その運用

Yahoo! ショッピングの広告メニューで際立つ「PRオプション」(特許権利者:ヤフー株式会社/特許番号:特許第06009485号/特許出願日:2014年3月19日)。月売上額が一定額に達している出店者など独自の基準でYahoo! ショッピングがセレクトし、2015年4月ごろからなんとなく運用が始まった広告ですが、PRオプションは「成果報酬で料率を支払うと、Yahoo! ショッピング検索結果の上位に上がりやすくなる」というサービスです。出店者が商品別または全商品に対して、0.1%刻みで1~30%の料率を設定でき、料率が高いほど検索順位が上がりやすくなります。スタート時は最大15%までの料率が、2016年9月に最大が30%までに変更されました。

思えば、出店料や手数料などを無料にする「eコマース革命」を孫正義氏が2013年10月7日大々的に発表しました。「eコマースはどうあるべきか?」 ⇒ 「これまでヤフーは間違っていた」 ⇒ そしてうちだした(まさに撃ち出した)「eコマース革命」、2つの施策「無料化と自由」です。この革命が今回のテーマ「PRオプション」をお話する上で重要な部分です。

ヤフーは、2013年10月に「eコマース革命」を打ち出してから3年間で、商品数を約3倍の2億7千点、出店者数は6.5倍の約51万4千店舗となり国内サイトで最多になりました。

「毎月の出店料無料」「売上ロイヤリティ(システム利用料無料)」で、国内サイトで最多の出店者数になったYahoo! ショッピング、現在の主なロイヤリティと言える「PRオプション」を見てみると、毎週月曜日に更新発表される「PRオプション」カテゴリ別平均料率は、以下(抜粋)の通り驚きの内容です。

「PRオプション」カテゴリ別平均料率
(2017/05/08~2017/05/14)

「PRオプション」は、成果報酬型広告でストアマッチなどのCPC広告とは異なり、売れたもののみ広告費が発生し、アクセスだけ増えてもその商品が売れなければ広告費はかかりません。
しかし、「成果報酬ですから」と安心していませんか?クリック型でもなく、成果報酬型の広告とは「全売上にかかる売上ロイヤリティ」のことです。

毎週発表されるカテゴリ別平均料率が8~18%という数字が目立ちますが、仮に10%として考えてみましょう。

月商200万円とすると、広告費は
2,000,000円×0.1=200,000円

それでは2013年を思い出してください。「eコマース革命」前の利用料です。
月額利用料 25,000円(税込)
売上ロイヤリティ1.7%~6.0%

前述の設定、月商200万円とすると、
25,000円+60,000円(3.0%)=85,000円
「eコマース革命」の無料化になる前より、現在はかなり大きな数字(広告費=売上ロイヤリティ)になっていることがわかります。

すべてのYahoo! ショッピング店舗が「PRオプション」を使えるわけではありません。月売上額が、ある程度の金額に達していない、運営歴が浅いと、ヤフーに「PRオプションの利用をしたい」と希望を出しても断られ利用できない場合があります。「選ばれしものだけが利用できるPRオプション」「選ばれたものが確実に検索順位上位になり売上が上がる」という情報が出店者の間で広がります。

そして毎週月曜日に「PRオプション」のカテゴリ別平均料率が更新発表!

出店者全てが利用できる訳でなく、「選ばれたもの」が「特別扱いされ売上アップ」といった利用したくなる広告の出現ですが、多くの出店者にその利用が定着した今般、「PRオプションをやめる、または料率を下げたら売上が落ちる」という恐怖感・不安感を持っている人も多いのではないでしょうか?

この状況、2013年10月7日に「eコマース革命」の発表のとき、予測できたでしょうか?冒頭にヤフーが特許を出願した期日2014年3月19日を記載しましたが、「eコマース革命」の発表からわずか5ヶ月で出願された特許「PRオプション」、道筋は出来ていたと思わざるを得ません。

「PRオプション、効果測定の方法がわからない」「有効活用するためにどうしたらわからない」そんな出店者のために、「PRオプション」について解説します。まず、「PRオプション」レポートから広告の概要、統計数字の見方を説明します。

Yahoo! ストアクリエイターPro のTop「ツールメニュー」-「統計情報」-「PRオプションレポート」を開き、期間指定をします。以下は出店者2017年3月1日~3月31日のデータ。

一ヶ月の期間中、全商品一律で6~7%の料率で「PRオプション」を利用し、
全売上:5,777,369円
広告費: 379,966円

■ PRオプションの掲載ページとは?

・Yahoo! ショッピング内検索(おすすめ順)
・ストア(確証はありませんが)
ストア名から探す、
カテゴリ指定(絞込)など
・Yahoo! トップページ
季節販促ページ、
おすすめ商品など・・・
・その他(Yahoo!メールなど)

PRオプションの掲載場所は、変更される場合があります。統計では検索、ストア、トップページ、その他と4分類。そしてPC、スマホ、アプリ別のセッション数とクリック数がわかります。広告効果につながるクリック数は、PC、スマホ、アプリともに「検索(おすすめ順)」が大半を占めているということがわかります。効果測定は、「検索(おすすめ順)」に的を絞っていいと判断されます。

先に記載した特許の概要からわかりやすく解釈すると、PRオプションは、「広告料率を商品価格に乗じた広告費と、CVR(コンバージョン率)またはCTR(クリック率)に基づいて商品に関する広告を配信する仕組み」と考えられます。

実際は、出品者の設定した料率(入札)に応じて、検索結果順位(おすすめ順)を、CPRならびにCVRに基づき上位へと押し上げる仕組みとしたものと思います。ここで注目しないといけないのは、以下の3点です。

・購入に繋がった要因が何であろうと料率を売上に乗じた広告費がかかる。
・表示順「売れている順」「安い順」「高い順」「レビュー件数の多い順」は広告のCPR対象外。
・広告にCVR(コンバージョン率)を向上させる要素はない。

これらを理解していると、「売上に繋がった有効な広告か?」「広告をかけなくても売れる無駄な広告か?」が見えてきます。

PRオプションレポートから期間を指定し、CSVファイルをダウンロードしてみましょう。

売り上げた商品別に、掲載ページ、デバイス毎のセッション数、クリック数、売上、広告費など全27項目の詳細なデータを見ることができます。指定した期間中に売り上げた全ての商品データが見られます。

PRオプションレポートダウンロードデータ(抜粋)

① 無駄と判定
32出店者ヒットし、最高値だがあすつくは 1出品者のみ

② 無駄と判定
24出店者ヒットするが、あすつくは 1出品者のみ。

③ 無駄と判定
6出店者ヒットし、最高値だがあすつくは 1出品者のみ。

④ 有効と判定
30出店者ヒットする中、優位点なくトップ表示。

⑤ 無駄と判定
有力キーワード検索で2出店者ヒットする中、広告なしでも売れる。

⑥ 有効と判定
24出店者ヒットする中、優位点なくトップ表示。

効果判定の考え方

広告「PRオプション」で最も売上に結びつき広告効果を発揮できるのが、検索(おすすめ順)ですが、購入者が検索表示順を「おすすめ順」ではなく、「売れている順」「安い順」「高い順」「レビュー件数の多い順」などに切り替えた後に当該商品をクリックし、コンバージョンに繋がった場合は、それらの表示順に「PRオプション」が立ち入ることはできませんので、「PRオプション」レポートのクリック数にカウントされません。このような場合でも設定している売上金額に対する料率で広告費がかかります。このようなケースでは、無駄な広告費を支払うことになりますが、購入者の動向により変化し、クリック数が少ないことだけで「無駄な広告」と判定するのは危険です。

A. 広告なしでも売れる商品の特異性

・型番商品やブランド商品で最安値を維持できる。
・型番商品やブランド商品であすつく商品
・販売実績が長くレビュー数が多い商品
・人気で頻繁にランクインする商品

B. 広告で売れそうな商品

・季節のイベント商品
・ギフト贈答商品
・トレンドなオリジナル商品

C. 一定期間ABテストをやってみないとわからない商品

広告「PRオプション」は、設定した料率を商品売上に乗じたロイヤリティが広告費となります。

PRオプション料率は、ストア内の全商品に一律で設定する「ストア全体への料率設定」と商品別に設定する「ストア全体への料率設定」があります。毎週月曜日更新発表されるカテゴリ別平均料率を参考に全商品一律で設定すると、高額な広告費になる場合があります。また、いっとき設定した後、検証せず放置、思わぬ事態を招く場合がありますので注意が必要です。

PRオプション特典とは?

「PRオプション」の利用状況によってYahoo! ショッピングが提供する出店者の運用サポートサービスです。 特典を利用するには、特典ごとに定められたPRオプション料率設定に加え、「PRオプション特典」への申し込み設定が必要です。

PRオプション料率はどっちが優先?

「ストア全体への料率設定」、「商品別の料率設定」両方に設定の場合、

「特典を利用する」を選択していない場合
常に商品別料率が優先

「特典を利用する」を選択の場合
料率が高い方を適用

無駄な広告をなくし効果的活用の手順

1.ストア全体への料率を一律設定

「設定」-「PRオプション料率設定」
特典にあわせた最低料率で設定する。

2.商品別の料率を設定

Yahoo! ストアクリエイターPro 「商品管理」にて
商品毎に料率を設定したcsvファイルをアップロードし一括設定する。

3.効果測定のためPRオプションレポートをダウンロード

Yahoo! ストアクリエイターPro のTop「ツールメニュー」-「統計情報」-
「PRオプションレポート」を開き、期間指定後、レポートをダウンロードする。

4.効果測定を行いデータ仕分け

売上、インプレッション数、クリック数などの変化をみて、「無駄」「有効」効果判定を行い、
「料率を下げるグループ」「料率を上げるグループ」に仕分けする。

5.データ仕分けから商品毎の料率書き替え

1)広告をかけなくても売れる力のある商品は料率を下げる。
2)あまり売れない商品の料率を思い切って上げる。
商品毎に料率の編集を行い、csvファイルをアップロードし料率を書き替える。

6.1~2週間の検証(効果測定)を定期的に行う

7.集客用セット商品登録

ランディングページとなり得るような高額セット商品を作成、
そのページから個別の関係商品にリンクする。

Yahoo! ショッピングの広告「PRオプション」、やらないと売上が落ちるのではと不安だが、広告効果もあるのか?ないのか?よくわからない!そんな出店者の声を耳にします。

「eコマース革命」前の数倍の広告費となっている出店者もおられます。しっかりと広告レポートを検証し、「PRオプション」の効果的活用が出来ること願っています。

松橋 正一プロフィール写真

JECCICA特別講師 松橋 正一

EC得意分野/モールEC構築、amazon出品支援 楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。 大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。

 


 

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