Amazon商品ファイル変換ツールってどんな感じ？

Amazonは、今年2016年の8月3日に「出品大学」の新しい講座「商品ファイル変換ツール」を公開しました。無料で学べるオンライン講座「Amazon出品大学」で、「商品ファイル変換ツール (概要編)と(実践編)」が追加されたのです。商品ファイル変換ツールを使うと、楽天市場とYahoo!ショッピングの商品csvファイルを、Amazonの「カテゴリー別在庫ファイル」に簡単に変換できるというのです。それがホントなら、Amazonの出品作業を効率化するツールとして活用できるのでありがたい話です。Amazonが公開した「商品ファイル変換ツール」、実用に耐え得るか？その変換（コンバート）精度を検証してみましょう。

まず、変換（コンバート）に必要なデータファイル、以下を用意しました。

【楽天市場の場合】

・dl-item.csv（商品登録用CSVファイル）
・dl-select.csv（項目選択肢登録用CSVファイル）

【Yahoo!ショッピングの場合】

・data.csv（商品登録用CSVファイル）
・quantity.csv（在庫登録用CSVファイル）

楽天市場とYahoo!ショッピングで用意するCSVファイルは異なりますが、いずれも商品データと在庫管理用バリエーションデータの2種類が必要なことがわかります。

利用する前にAmazonが言う注意書きがあります。

－ファイル変換に関する注意点－

※変換後のファイルの正確性については出品者様の責任にてご確認いただく必要があります。

－カテゴリー変換の仕組みと注意点－

1）各商品情報に、他のショッピングモールにおけるカテゴリー情報が含まれていた場合、その情報をもとにAmazon.co.jpのカテゴリー・ブラウズノード・商品タイプを選択します。

2）カテゴリー情報が含まれていないレコードは、（STEP 2.の）設定画面で指定した「デフォルトカテゴリー」の在庫ファイルに変換されます。この場合、アップロードしたファイル内に異なるカテゴリーの商品が含まれる場合も、一律でデフォルトカテゴリーの在庫ファイルに商品が振り分けられてしまうため、必要に応じて適切なカテゴリーの在庫ファイルに移してください。また、ブラウズノードや商品タイプは未入力となりますので、適切なブラウズノード・商品タイプを追記してください。

（これらの注意書きでテンションガタ下がりです）

オンライン講座「Amazon出品大学」の「商品ファイル変換ツール (実践編)」に基づいて変換ツールを使ってみます。

ツールの利用方法

商品ファイル変換ツールのアクセス方法

セラーセントラルの在庫＞アップロードによる一括商品登録
ページ右側にある「楽天またはYahoo! ショッピングのカタログファイルを変換する」（赤線枠）
リンクをクリックします。

次の画面、商品ファイル変換ツールのトップページから「開始する」をクリックします。

楽天またはYahoo!ショッピングの商品CSVファイルをアップロード

ショッピングモールの必要なファイルを「ファイルを選択」で選択しアップロードします。
1ファイルのアップロードできるファイルサイズは5MBまでです。

楽天市場の場合

通常商品登録用CSVファイル
項目選択肢登録用CSVファイル（アプロード任意）

Yahoo!ショッピングの場合

商品データベースファイル
在庫管理データベースファイル（アプロード任意）

楽天市場の場合

Yahoo!ショッピングの場合

ファイル変換時の設定

楽天またはYahoo!ショッピングそれぞれで、消費税の計算方法などファイル変換時に全商品に適用される設定を行います。

Yahoo!ショッピングの場合

バリエーションの設定

楽天またはYahoo!ショッピングのファイルがバリエーションを含む場合、各バリエーションをAmazon.co.jpのバリエーションに変換する設定をします。

ファイル変換時の設定

楽天またはYahoo!ショッピングそれぞれで、消費税の計算方法などファイル変換時に全商品に適用される設定を行います。

Amazon「商品ファイル変換ツール」を利用してみて

前述の変換ファイルのダウンロードを行うと、ZIP圧縮ファイルがダウンロードされ、アカウントで登録されているカテゴリーの在庫ファイル（エクセルファイル）が含まれています。在庫ファイルのシート「テンプレート」に、Amazonセラーセントラル管理画面でアップできる変換ファイル（エクセルファイル）があります。

Amazon「商品ファイル変換ツール」を利用してみて

変換されたデータを見てみました。

全レコード変換できた

sku
商品名（Amazon用に最適化されていない）
商品説明文（brタグ以外のHTMLタグ除去）
販売価格
商品説明箇条書き1（キャッチコピー）
商品メイン画像URL

ほとんどのレコード変換値なし

商品タイプ（foodなど）
推奨ブラウズノード

Amazonの在庫ファイルの「商品説明文」へのコンバートは、楽天市場やYahoo!ショッピングの商品説明文からbrタグ以外のHTMLタグが除去されているものの、基になる商品説明文が商品説明の記述とは限らないため、機械翻訳的な意味不明な変換データになっているものがあります。

・商品名はAmazon用に最適化されたものではない。
・商品画像はメイン画像1つのurlしかコンバートされない。
・商品説明箇条書き1は、商品内容（規格/容量など）が望ましいがキャッチコピーがそのまま。
・商品タイプ（foodなど）は、多くのレコードで変換されていない。
・推奨ブラウズノードは、多くのレコードで変換されていない。

確かに当ツールの注意書きに、

「各商品情報に、他のショッピングモールにおけるカテゴリー情報が含まれていた場合、その情報をもとにAmazon.co.jpのカテゴリー・ブラウズノード・商品タイプを選択します。」と前置きしていますが、カテゴリー・ブラウズノード・商品タイプのデータがコンバートされず、単にAmazon用に最適化されていない商品名、販売価格、商品説明箇条書き1、商品メイン画像URLの移行であれば、「変換ツール」とは言えません。変換できるファイルサイズが5MBまでというのも難点です。

最大の問題点は、この「商品ファイル変換ツール」が、Amazonカタログに掲載されていない新規商品登録に限定されるもので、事前にAmazonカタログ未掲載商品であることを確認しないといけないということです。結論として、残念ながら実用に耐え得る変換ツールとは言い難いものです。