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Amazon Login & Paymentについて

河野 貴伸

河野さん

 

2015年5月から日本でもサービスが開始されて1年が経過した、Amazon Login & Payment

日本国内でも様々な事業者、ECベンダーでの導入が進んでおり、「Amazonログイン&ペイメント」を見かける事が多くなったきた今、改めてこのサービスの仕組みと強みについて、纏めてみました。

 

「Amazon ログイン&ペイメント」とは

Amazon ログイン&ペイメントは、「Amazon.co.jp」のアカウントでログインすることができ、そのアカウントで登録している配送先住所やクレジットカード情報などを利用できる事により、今までの情報入力の手間が無くなり、スピーディーに注文を完了できる、という仕組みで、お客様側にとって非常に利便性の高いサービスです。
一方でこの「利便性」により、EC事業者側はお客様のカート離脱率の改善、CVRの向上といった恩恵を同時に受けることができ、双方によってメリットが高いサービスになります。

特に、近年のECシーンではスマートフォンの利用率が増大しており、スマートフォンでは余計に「入力の手間」が気になる中で、こういった「アカウント連携型」のサービスの必要性はどんどんと高まっており、ネイティブアプリでも「facebook」ログインなどが一般化したのと同じように広まっていくと思われます。

https://youtu.be/Csl6M66TK5M
 

「Amazon ログイン&ペイメント」の導入方法

現時点では、Amazonログイン&ペイメント導入パートナー対応プロバイダのカートを使用するか、カートのカスタマイズサービスを利用することで導入が可能です。
多くのEC事業者に利用されているオープンソースの「EC-CUBE」や「Magento」にも導入が可能で、それぞれ導入パートナーが存在します。
※上記導入パートナーには無いカートシステムや、スクラッチのシステムに導入した場合はAmazon Login & Paymentサイトの、「導入に関するお問い合わせ」からお問い合わせが可能です。
※現時点では開発に関する情報はセラーセントラル経由で提供される様です。

https://payments.amazon.co.jp/help

 

「Amazon ログイン&ペイメント」の真の強み

Amazonログイン&ペイメントの他にも大手モールのID決済サービスは日本国内に既に存在します。
特に導入の点だけでみると、Amazonログイン&ペイメント 自体は他ID決済サービスと比べると若干手間が多くかかるイメージがあります。(「楽天ID決済 LITE」は数行のコード追加だけで実装が可能)
また、大手モールのID決済サービスは「ポイント連携」という強みもあり、Amazonログイン&ペイメント単体ではそこまで大きなメリットは無いように思えます。
しかし、実はAmazonログイン&ペイメントは「利便性」だけではない大きな強みが、事業者サイドに存在します。

Amazon Login & Paymentについて

 

1.サイトの信頼性を大幅に向上できまる。

株式会社野村総合研究所の調査結果
ネットショッピングの定着と消費者向けビジネスの構造変化
~インターネット利用者調査に見る買い物行動と意識~
http://www.nri.com/Home/jp/news/2016/160421_1.aspx

「有名で信用力がある(怪しいサイトではない)」
1万円の商品 35%
1000円の商品 24.9%

上記調査結果の様に、ECが一般化した今でも、お客様が安心してお買い物を楽しむ重要なポイントとして「有名で信用力がある」は重要です。
しかし、ECサイト自体がコモディティ化した今、新規にスタートしたブランドや新規開業のショップ、スタートアップなどは「有名で信用力がある」という点はなかなか差別化し辛いポイントです。
我々Eコマースに専門的に携わる人間からするとあまり気にならないような部分でも、一般的なお客様は不安を覚えたり購入をためらってしまうシーンは多々あります。
そういった点において、「Amazonログイン&ペイメント」の導入はサイト自体の信頼性の向上に大きく繋がります。
ビジネスの初期において大きな課題となる、「お客様との信頼関係の構築」に「Amazonログイン&ペイメント」の信頼性の力を借りる事ができれば、事業者サイドには大きなメリットと言えるでしょう。

2.「Amazonログイン&ペイメント」経由で登録した購入情報や会員情報は、自社ECサイト上で通常通り管理でき、マーケティング活動に活用できる。

「Amazonログイン&ペイメント」経由で情報を呼び出し、会員登録や購入完了行う事は数クリックで完了
できますが、その際の登録情報は自社ECサイト上で引き続き管理可能です。(当然のことながら決済情報・カード情報などは一切残りません。)

単なるID決済では無く、「Amazon」からお客様を呼び込む事ようなイメージですね。
この部分で大きなメリットとして、単なる購入の敷居を下げるだけでなく、会員登録の敷居も下げてくれるという点が上げられます。
昨今のECでは、お客様とのコミュニケーションは非常に重要で、One to Oneマーケティングで顧客ロイヤリティをどのように上げていくかが至上命題とも言えますが、この「お客様とのコミュニケーション」にはお客様側からの情報提供が必要不可欠で有り、会員登録を行っていただく事は重要な意味を持ちます。一方でお客様側は「会員登録が面倒」と思われる方は非常に多く、少しでもこの点を改善し、会員登録を容易にすることに苦心するのですが、この「Amazonログイン&ペイメント」経由での会員登録はその問題を簡単に解決してしまいます。この点は他ID決済には無い、事業者サイドの最大のメリットです。

3.Amazonのセキュリティシステムが不正な取引を監視しているため、セキュリティコストの削減が可能

これはECサイトを運用している企業のサービスならではのものですが、「Amazonログイン&ペイメント」では不正な取引を監視しているため、水際での対応が可能です。
実際どのような監視が行われているかは非公開なのですが、過去のデータなどを分析して、自動でアラートを出してくれる仕組みの様で、EC運用者だけあって精度は高そうです。
不正利用のチャージバックなどで悩まれている事業者サイドには非常に大きなメリットがあると思われます。

以上の様に、「Amazonログイン&ペイメント」は今までのID決済サービスとは一線を画すメリットを持ち合わせていますが、一方で自社ECサイトに導入すべきかどうかは慎重に行うべきと言えます。

まず自社ECサイトのターゲットとするお客様にとって、本当に利便性が向上するのかどうか、また一般的な決済サービスと違い、より深いレベルでの顧客とのコミュニケーションを可能とする一方、そこで得た情報をどのように活用していくかを丁寧に考えていく必要があります。
また、導入後はAmazonログイン&ペイメントの仕組みを理解し、お客様からのお問い合わせに対しても正確に答えられるような対応力も重要になります。

様々な便利で有効なサービスが次々とリリースされ、お客様、事業者様双方にとってメリットのある状況が生み出されいますが、そんな今だからこそ、あらためて「自分たちにとって本当に必要か」どうかの判断をしっかりともってECサイトを運用していく事が重要です。

 

河野 貴伸

河野さん

EC-CUBE エバンジェリスト、株式会社フラクタ 代表取締役、株式会社フルブライト 代表取締役、株式会社Zokei 取締役CTO。Eコマースに関わる人材育成とブランディングに重点を置き、業界の発展とEC-CUBEの普及、デジタルイノベーションの推進支援をメインに全国でセミナー及び執筆活動中。

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