【ECコンサルタントによる「勝手にECサイト分析」】33 ジャパンEコマースコンサルタント協会 松本順士理事〈ナイキジャパン「NIKEiD」〉/ソーシャルと相性のいい「カスタマイズ」
靴やバッグ、ファッションアイテム、パソコン、自転車、車などカスタマイズができるECが増えてきている。
今回紹介する「NIKEiD」とは、「NIKE」の靴のカスタマイズ専門店だ。
最新のNIKEのシューズを自分にぴったりのデザインにカスタマイズできる。
自分の思い通りにカラーやパーツや文字入れが可能となっている。
アメリカのEコマースではカスタマイズを実際に導入している企業は10%にも上るというデータもある。
カスタマイズのサービスを提供するメリットとしては、顧客のエンゲージメントを高めたり、商品の購入額単価を上げる、他店との差別化する効果が大きいことが挙げられる。
カスタマイズをする心理状態として、お客さまは「自分だけ」という優越感、愛着を感じ、商品に付加価値を感じる。
そのため、同じものでも少し多めに金額を払ってもよいという心理が働くものだ。
サイトデザインはPC、スマホともに靴が見やすいように並んでいる。
肝心のカスタマイズに関してはカスタムしたい靴を選び、カスタムしたい部分をクリック、または選択をするだけ。これで自分だけの靴を作ることができる。
商品画像は360度で見ることができ、虫眼鏡機能もついているため、靴の細部まで見ることができる。全く無駄のないサイトだ。
カスタマイズした靴をソーシャルメディアへのカスタマイズシェア機能は非常に良い。
有名なカスタマイズサイトといえば、「Zazzle(ザズル)iPhoneケース」から、オリジナルTシャツ、シューズ、バッグ、名刺、カップ、スノーボードなどなどを自分でデザインして買うこともできれば、他の人がデザインしたものを購入することもできる。
売れるECサイトとは何か?─最近のEコマースは価格競争ばかり。
一度値下げをしてしまうと、戻すことは難しくなる。
カスタマイズは商品に付加価値を与え、商品の購入額単価を上げることができる。
買いたいという欲望を満たす消費欲求拡大の時代から、友達や知り合いからの承認を重んじる人間関係欲求拡大の時代へ移行していることから、サイトの仕組み販売方法を考える時代に来ていると私は思う。
まさにフェイスブックやLINEの急速な発展はそれを象徴するものだ。
※記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。
JECCICA理事・特別講師 松本 順士
数々のECサイトを運営し、レディースアパレルブランド「GRL」を立ち上げ、4年で年商30億に成長させた実績をもつ。ECコンサルティング業務にて多くのクライアントを成功に導いている。