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感性を商品に落とし込む事が店に必要な理由

感性の可視化は難しい
感性を形にして、商品に落とし込む。口にするのは簡単ですが、案外それが難しい。商品は感性とロジックのバランスがとても重要だと思います。

まず、フリューという会社の商品開発について触れたいと思います。彼らは「ミュー コンタクト」というECサイトを運営していて、カラコンを扱っています。そもそも後発組でしたが、ネットの強みを活かして存在感を発揮するに至りました。カラコンというと、コスプレ?などという奇抜なイメージが付き纏います。しかし彼らはそのターゲットを敢えて25歳以上に設定。時短アイテムとして提案して、ブレイクしました。アイメイクをして目を大きく見せるのであれば、黒目のカラコンをつければいいと。

普段カラコンをつけない層まで浸透
それは普段、カラコンをつけない層にまで浸透しました。またECの強みである、ちいさな価値観を見逃さず、適量生産してマネタイズした事も勝因です。彼らはその商品において女性の感性を取り込むのが非常に上手で、仕組み化できています。

さて、今まで25歳以上を対象としていたものを、満を持して18歳から24歳までの層に展開することになったといいます。商品名は「アプデ」。18歳から24歳までの層はカラコンではレッドオーシャンです。しかし未知数だった25歳以上の展開が成功した事で、会社内でしっかり組織化されて、遂に先行企業に太刀打ちできる素地ができたわけです。まず、その層に影響力を持つ藤田ニコルさんをプロデューサーに起用すると、彼女のイメージに即したカラコン制作を始めます。ところがその「イメージに即した」というところで感性を形にすることの難しさに、多くの企業が直面します。

言語化が難しい女性の感性
語弊を恐れず言えば、女性は比較的、言語化が難しい。
藤田ニコルさんのイメージについてターゲットの女性に聞くと「透明感」と説明します。ですが、その中身については「うるうる」などの擬音で説明します。表現が曖昧でことの解決には至りません。でもフリューはその点、そこを乗り越えられる力がある。

それはなぜでしょう。彼らのプリクラ事業にヒントがあります。プリクラは9割以上がフリューで、そうはいいながら後発でした。ただトップに上り詰めたのはグループインタビュー。年100回はこなしていて、感性の可視化は仕組み化されています。

その「うるうる」を解き明かすために、どうするのでしょう。具体的に存在するものは何?そう女性に問いかけます。するとタピオカ、ガラス玉などの例が上がってきます。それを徹底してデザイナーと検証するといいます。大抵のカラコンメーカーは商品企画担当者にその世代の女子を起用して、その子に任せるといいます。ただそれは博打的で、仕組み化できているとは言えません。その点、フリューは上記の通り、仕組み化ができているのが強みです。つまり、「人は何を見ると、それを透明感と認識するのか」を突き止めるのです。

この部分が青いとか、影がかかっているとか。要は、感性はきちんとロジックとして解き明かす事ができる。だから、透明感のあるカラコンの発売にこぎつけ、ヒットを掴みました。仕組みだから応用が効きますし、それゆえ実績を積み上げられます。

何をキャッチに人を惹きつける?
続いて、他にはない独創的な視点で切り開くプランドゥという会社があります。代表取締役 山中雅嗣さんは、感性とロジックのバランスが大事と説いています。彼らはメーカーであり、生協などの通販で実力を発揮してきました。僕が感心したのは「お魚天国バイオキューブ」という商品。水槽の中に入れると、水が綺麗になるという商品です。実は、商品説明のアイキャッチに「納豆菌」を謳っていて、魚を飼っている人にとっては少なからず、関心を抱くワードなのです。

納豆菌をこの商品に使っているのは事実です。しかし実際に水槽を綺麗にしてくれるのは、このバイオキューブの素材にあるのです。「多孔質」と呼ばれるもので、多数の小さな穴が空いている構造のことを言います。水の中に入れると、この小さな穴にバクテリアが生息するので、それが網のような役目を果たし、水を濾過して通すほど綺麗になっていく。

好奇心を引かなければ商品すら手に取られない
でも山中さん曰く「多孔質」をいきなり言ったところで、人は理解が追いつかない。だからアイキャッチとして「納豆菌」を持ち出し、人の感性に訴えかけた後、実は機能しているのは商品構造のロジックなのですと。これは生協のチラシや冊子で与えられる枠で鍛えられたと。それを見て一瞬で、それを引き込む絵は何で、言葉は何かを考えるようになったと。

だからこんなことを言います。例えばコーヒーのGeorgiaのロゴを見て「じょーじあ」と読んでいる人はいなくて、瞬間的にコーヒーだと変換される。だから水槽を持っている人にとっての『Georgia』はなんだろうと考えたら『納豆菌』だと。

トレンドはそのまま、取り入れるのではありません。それをどういう変換をして、自分たちなりのカラーに落とし込んで、お客様を惹きつけ、喜ばせる要因にできるか。そこが肝で、これからECも生産性の観点で、自社で製造する企業が増えてくるでしょうから、大事な視点です。

今日はこの辺で。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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