売上が上がる「ECサイトのためのスマホ対応マニュアル」③
JECCICA客員講師 宮松 利博
※本連載では、スマートフォンの略称を、Google Japan が正式採用している「スマホ」に統一しています。
スマホサイトの「売れる化」設計の準備:前編
連載第三回の本稿では、スマホサイトの「売れる化」設計の準備の前編、1)スマホ化で「売れる導線」を見つける、です。
1)スマホ化で「売れる導線」を見つける
よくある失敗例が、PCで売上に貢献していたグローバルナビやサイドナビのリンクが、スマホ化した途端にユーザから見えなくなってしまい、導線が無くなる点にあります。
例えば、ランディングページとして最もアクセスを集めているのが「トップページ」だとします。
その際、図2の様に、同じ1ページ内に、収益の導線のひとつである「会員登録」へのリンクが複数ある場合を想定してみましょう。
(図2)
同じページ内の、どの部分がクリックされたかは、GoogleAnalyticsではわかりにくいのが現状です。 「拡張リンクのアトリビューション機能」によって多少解決できますが、今回はより明確に判定できる方法をご紹介します。
解析用の識別子を設置する
方法は至って簡単。ページ内に同じURLが存在する場合、URLの最後に、以下のような文字列をつけて区分すればOKです。
ヘッダには、 ?grid=head
フッタには、 ?grid=footer
サイドメニューなら、 ?grid=sideMenu01
文章内なら、 ?grid=cont
文章内上部のバナーなら、 ?grid=cont_banner01
などです。
たとえば、 ヘッダの会社概要へのリンクURL
http://www.sample.com/company.html?grid=head
フッタの会社概要へのリンクURL
http://www.sample.com/company.html?grid=footer
メインの会社概要へのリンクURL
http://www.sample.com/company.html?grid=cont
サイドの会社概要へのリンクURL
http://www.sample.com/company.html?grid=sideMenu
のように追加します。
トップページから経由したことを解りやすくする
特にトップページについては、アクセス数も多いため頻繁にUIを入れ替えますので、それぞれトップページだけは特別扱いにして
ヘッダには、 ?grid=Top_head
フッタには、 ?grid=Top_footer
サイドメニューなら、 ?grid=Top_sideMenu01
などとすると、analyticsの分析もぐっとやりやすくなってきます。これにより、
- ページ内のどのリンクがもっともクリックされたか
- どのリンクが、コンバージョンにつながっているか
といった成果がanalyticsの、行動>サイトコンテンツ>すべてのページの「ページの価値」で簡単に得られるようになります。
ページの価値については次回詳しくご説明します。
phpなどと併用する場合の注意点
すでにご存じかと思いますが、URLの中に http://www.sample.com/company.php?sid=25223&cid=c236223 など、すでに?が使われている場合は、URL内には?は一度しか使えませんので注意して下さい。
この場合、以下のように対処する方法が一般的です。
?grid=sideMenu とせずに &grid=sideMenu として末尾に追加します。
例)
○ http://www.sample.com/company.php?sid=25223&cid=c236223&grid=head
× http://www.sample.com/company.php?sid=25223&cid=c236223?grid=head
ウェブマスターツールで重複コンテンツとしてカウントされないか
このような識別子を加えると、同じコンテンツに対して複数のURLが発生するため、重複コンテンツとしてgoogleからペナルティを受けるのではないか、と心配される方もいらっしゃいますが、ウェブマスターツール(サーチコンソール)が自動的に「解析用の識別子」として認識してくれるので、この処理によってSEO的に影響を受けた事は過去ありませんので安心して実装して下さい。
もし心配な方は、http://issun.cc/PRMT55 を参考に手動でウェブマスターツール上で作業も可能ですのでお試しに鳴られてみて下さい。
次回は、準備編の中編「スマホ化で力を入れるべきページを見つける」です。
ご期待下さい。
JECCICA客員講師 宮松 利博
1992年から営業畑のかたわら、独学で顧客満足向上システムを開発し1997年に売却。1998年に開発プロデュースしたモバイル端末向けアプリがヒット、1999年にアクセス解析ツールを開発し、2000年からEC数社を立ち上げ、年商20億円などの急成長で、2006年に株式上場。同時に保有株を売却、渡米しシリコンバレーなど海外の次世代eコマースの運営現場を研究しながら、スマホやソーシャルメディアによる新たなマーケティング手法を確立。2011年にウェブ制作・マーケティング会社、ISSUNを設立。先細りしつつある従来のマーケティング手法を改善しながら「心の通うオンラインマーケティング」で収益向上のコンサルティング事業を行っている。