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アパレルECが直面する課題

JECCICA理事・特別講師 松本 順士

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アパレルECは市場成長を遂げており、多くのアパレル企業が参⼊している。

ただ、サイト上に商品を置いておけば勝⼿に売れるといった単純なものではなく、ネット特有のノウハウが必要である。また、リアル店舗を有する企業にとっては、リアルとネットの棲み分けも重要である。

さらに、アパレルEC業界全体として、差別化が難しい、広告宣伝依存の集客、客層の拡大、検索の限界、買物体験を提供し難い、衝動買いを誘発し難し、という6つの課題に直面している(図表1) 以下、6つの課題と考えるが、こうした課題がクリアされれば、アパレルECは新たな成長ステージに突⼊し、市場成⻑のスピードが加速すると考える。

(図表1)アパレルECのステージごとの課題

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ファッションECの市場規模

経済産業省の「平成25年わが国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によるとBtoC-EC市場規模は前年比17.4%増の11兆1,660億円に到達し、EC化率も3.67%になります。

業種別内訳には⾐料・アクセサリー小売業の市場規模が前年比125.8%の2,200億円です。

この調査では、日本産業分類に基づいた14業種に分類して調査しているため、楽天やYahoo!、アマゾンなどの通信販売業などは総合小売業に分類されるため除かれています。

現在総合小売業を含め、ファッションEC市場のEC化率は3~4%に過ぎず、グローバルに見ても低水準にあるわけです。

 

情報の流れ

モバイルテクノロジーの進化、オムニチャネル、SNSが引き起こすECの消費市場を取り巻く競争環境は⼤きく変化をしています。

これまでアパレル企業は、主に実店舗において、地域の売上シェアをいかに伸ばすかを焦点にして競ってきました。

しかし、楽天市場、Amazon、ZOZOTOWN、といった総合モール、Facebook、twitter、LINEといったSNSのサービスがそれぞれの経済圏を構築・拡大しており、今後そうしたチャネルを超えた、お客様との関わり方も変わってきます。(図表2)

(図表2)情報の流れ

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ソーシャルコマースの勝ち組モデル

アパレル企業がソーシャルコマースに取り組む場合、自社ECサイトあるいはモールに加え、客層にあったユーザを多く抱えたソーシャルメディアが必要となる。自社でソーシャルメディアをーから制作するか、既存のソーシャルメディアと提携するかの判断が求められるが、スピードを重視するのであれば、Facebookやtwitterと連携させるのが現実的であろう。ソーシャルコマースでは、サイトにユーザを引き込み、彼らがコディネー⼘や⼝コミを発信し、友人などとのコミュニケーションを通じて商品を購入するとともに、新たなユーザを引き込むというポジティブ・スパイラルを上⼿く回すことが重要である。(図表3)

(図表3)ソーシャルコマースのポジティブ・スパイラル

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そのために必要な要素は、

  1. ショップや店員も含めたセンスのいいユーザをいち早く囲い込むこと
  2. 彼らのコーディネー卜や⼝コミを蓄積すること
  3. 発信したくなるような仕掛けをつくること

3点であると考える。

ネット上のプラットフォームは、ユーザとコンテンツが集まれば集まるほど利便性が⾼まるため、ユーザとコンテンツをいち早く持った企業が有利に事業展開できる。

従って、⼊り口として、アパレルメーカー、セレク卜ショップのプレス担当者や店員、モデルといったファッションリーダーにコーディネー卜を発信してもらうなどして、いち早くユーザとコンテンツの収集を⾏うべきであろう。

 

消費者の変化

消費者の価値観がますます多様化している中で変化が起きています。

ブランド価値の重視、楽天市場などのモールのイベント、安心、安全志向のさらなる⾼まり、人との触れ合いの大切さ、コミュニティや趣味。

こういった、「価値」を重視する消費者は商品やサービスそのものだけではなく、利用したときに得られる満足感や感動といった感覚的な価値までを求めてきている。

 

またスマホの普及により、ライフスタイルの変化を背景に、時間に関する商品者の意識も⼤きく変わってきています。

SNSやインターネットに触れる機会が増え、欲しい物の情報が簡単に仕入れることができるようになり、すぐに商品を⼿に⼊れられるという環境であり、購買⾏動の変化は、ECサイトのより⼀層の発展に繋がっていきました。

消費者は場所を関係なく買い物ができるため、いかに欲求を満たすサイトやサービスを提供できるかがポイントとなる。そうなると、商品画像や商品の情報が重要視されます。(図表4)

(図表4)購買⾏動の変化

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アパレルECの成功するためには

アパレル業界に限らず、インターネットやスマートフォンなどのデバイスの発展によって購買プラットフォームが変わってしまった業種はたくさんあります。

しかし何も変わっていないこともあります。

消費者はただ安いだけでは購入しない。

現在のECではお客様は購⼊するサイトを選びます。

ECサイトだけではなく、様々なところで接点を与えて、購買⾏動までをスムーズに行うか、ユーザーに対して⽇常と購買欲求を同化させるかが不可欠になります。

 

キュレーションにて直感的にお客様が欲しいという商品をあらかじめ見せること。

メールアドレスではなく新しいものへ。

Webからアプリへ。

アパレルECに関してますます多様化し、EC化率もさらに伸びて行くでしょう。

 

 

 

JECCICA理事・特別講師 松本 順士

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数々のECサイトを運営し、レディースアパレルブランド「GRL」を立ち上げ、4年で年商30億に成長させた実績をもつ。ECコンサルティング業務にて多くのクライアントを成功に導いている。

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