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聴覚から学ぶ視覚表現の理解

JECCICA客員講師 長山 衛

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僕は常々LPと音楽の相関性を提唱しておりますが、なかなか伝わっていないのは僕も自覚しています笑

ここではそれを少し論理的に記載して参りますね。

という事で今回は聴覚受容体からレスポンシブデザインを理解してみましょう。

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僕は現職の傍ら、サウンドマスタリングエンジニアとして活動しています。

ざっくり言うと、EC事業における「デザイナー」のようなものを音楽で行っています。

 

マスタリングエンジニアに問われる能力は多々あるのですが、 これまたざっくりと言うと、 リスナーの聴覚という受容体をいかにコントロールし、与えたい印象を伝えるように整形する能力とも言えます。

この「リスナーの聴覚」を「ユーザーの視覚」と置き換えれば、ECもほぼ同じです。

 

その相関性からECデザイナーにはマスタリングエンジニアをやって頂きたいところではありますがマニアックな世界なので、その概要とECの相関性だけでも伝えられたらなと思います。

それを理解する事で、日常に聞く音楽がECデザインの参考になり、多くの気づきが得られます。

 

 

音と言うものはdb(デジベル)という音量の単位で表します。

そして日常生活で聞く、人の声、車の音、いわゆるリアルの音はデジベルに限界値はありません。

数年前米軍が開発した聴覚兵器(数千万デジベルの音を受容すると人間は身動き取れず硬直します)があるとおり限界値は無いのですが、CDやレコード、その他メディアに収められる音には限界値があります。

0dbです。

-100db~0dbという形で下限に限界が無いという形になります。

つまりメディアに納められた音は0db以上は存在しません。

※波形データで音量ピークが0dbに近づくと「割れる」という現象が発生します。

 

 

90年代以前の音楽はデジベルの意識がエンジニアにあまりなく、「昔のCDを聞いてみたらやたら音が小さい」という現象が発生しました。

しかし90年代以降からエンジニアの間では「限りなく音が大きく聞こえるようにするのが美徳」とされました。

そうすることで人間の聴覚は受容体の限界まで音を浴び、リスナーはそれをインパクトとして感じるからです。

よって昔の音楽に比べ、近年の音楽は音が大きく感じるようになっています。

 

とはいっても前述の通りメディアに納められた音は0db以上の音は存在しないわけです。

つまり、サザンの歌も、僕の好きなメタルサウンドも、ほぼ音量のピークは0dbです。

「いやいや、メタルの方がうるさいじゃないですか」と思われるかもしれませんが、ここにマスタリングエンジニアの力量、ひいてはECデザインの相関性が出てきます。

 

まず音には「音圧」という概念があります。

人間は聴覚という受容体で得るものは、音量だけでは無いです。

音圧というものを受容します。

そして音圧が高い音を「この音は大きい」と感じます。

 

サザンもメタルも、ほぼピークは0dbですが メタルの方が音圧が高いから大きく聞こえる、というわけです。

言い方を変えれば メタルのマスタリングエンジニアは 「0dbという最大の箱(音量)の中に、音圧という要素を隙間なく詰め込みまくってインパクトを出す」という作業を行っています。

 

一方、サザンのマスタリングエンジニアはそこまで音圧を詰め込んで無いわけです。

この話を我々ECの世界、視覚受容体に置き換えれば

  • 0dbという限界値はモニターサイズ
  • サイトの幅pxが音圧

になります。

 

いかなるモニターサイズでも可変して、隙間なく要素を詰め込むレスポンシブデザインはメタルとも言えますね。

そういうと少々印象が良くないですが、真面目な話、限られたスペースに対して隙間なく表現する事はインパクトを与えます。

これは聴覚も視覚も、知覚受容構造からして理に適っています。

昨今、ウェブマスターツールから「モバイル ユーザビリティ上の問題が検出されました」というメッセージが送られた方もいらっしゃると思いますが、グーグルからのランク付け云々の前に、レスポンシブデザインはユーザーに印象を与える、という前提を理解し、適切にレイアウト移行を検討してみてください。

 

 

JECCICA客員講師 長山 衛

nagayama

過去12年で商品ページ作り込みを5,000ページ以上経験。そこから累計250億円以上の売り上げ樹立。ECデザイナーとして撮影からデザイン制作を前線で行う。

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