JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

メタバースとEC

メタバースが次第に盛り上がりつつあります。Facebookが社名をMeta Platformsに変更したように、どうやらメタバースに向かっていろいろなものが動こうとしているように思えます。メタバースの話をすると、特に現在40歳台後半から50歳台の方々は、2000年代後半のセカンドライフを思い出す人が多いのではないでしょうか。当時いきなり盛り上がりを見せ、その後急に失速した記憶があります。しかしながら、今はスマホやタブレットの普及、テクノロジーの進化、どうぶつの森やポケモンGOが人気であること、VTuberが既に多く存在していること等など、その時とは時代が異なっており、メタバースの下地が整っているように思われます。コロナ禍で画面を通じたコミュニケーションに人々が慣れたという点もあるでしょう。ただ、個人的には一旦盛り上がった後にその反動で少し落ち着き、その間地道に利用者が増えて結果的にメタバースがすっかり定着化するという、いわゆるハイプ曲線の軌道を描くのではないかと思っています。時間はかかるかもしれませんが、いずれ定着化するのは間違いないでしょう。JECCICAはあくまでもECに関する組織ですので、メタバースにおけるEC(ここではMetaverse Commerce通称MCと呼ぶとしましょう)に関し、思いつく論点について書き連ねてみたいと思います。

販売チャネルの議論はいかに
私が真っ先に思うことは、メタバースの世界が本格的に到来した際の販売チャネルの概念についてです。MCはリアル、ECどちらなのかという疑問が一瞬頭をよぎるのですが、結論から言えばどうでもよいことかもしれません。ECが誕生して約四半世紀が経過し、解決が容易ではない永遠のテーマのように、OMOやオムニチャネルがどうこうとチャネルに関する議論は継続されています。しかしMCの登場はそういうことを超越して「販売チャネルはどうあるべきか」といった議論が次第に陳腐化するような気がしています。余談ですが同時にEC化率という指標も意味をなさなくなるでしょう。

販売側の方針や取り組みに関する二極化
とはいえ、実際には実店舗、既存ECに対し新たにMCが加わることになります。MCを実現するためにどれだけの準備コストと運営コスト、ならびに運営ノウハウが必要になるのか私はまだ分かっていないのですが、販売側としてMCに対するスタンスがポジティブ/ネガティブに分かれる気がします。コストが論点となるならば経営体力が前提になるでしょうが、どちらかというと感性の差が影響するのではないかと思います。大企業の役員会議室で年老いた白髪の重役の面々が「君、一体何者なんだねそのメタバースとかいうものは、まじめに取り組むべきかね?年寄にはようわからんよ」みたいな経営会議でのやりとりが容易に想像つきます。

新たなるネットワーク外部性
メタバース内でのMCを実施するためには、Amazon、楽天のようなプラットフォーマー型ECなのかDtoC型ECなのか、どちらが主流になるのか興味をそそられます。MCを実施するためのコストとノウハウのハードルが高ければ、前者が重宝される可能性が高いでしょう。そうすると、メタバース内でのプラットフォーマーの在り方や競争特性の議論に焦点があたります。プラットフォーマーの優劣を決定する重要な要素の一つはネットワーク外部性ですので、MCプラットフォーマーの優劣を決める新たなネットワーク外部性はどのようなものになるのか、とても強い興味を抱きます。

ユーザビリティとコンテンツ
インターネットサイトではWebユーザビリティがとても重要であることは言うまでもありません。しかしそれは基本的に2Dの世界です。3Dの世界で消費者にとってわかりやすいユーザビリティはどのようなものになるのでしょうか。同時に消費者に商品を理解してもらうためのコンテンツのスタイルはどうなるのでしょうか。ある程度利用が進むことによって、ユーザビリティ上の重要な要素やコンテンツのスタイルに関する新たな基準が産まれそうです。しかし、人間の脳の情報処理能力と理解に必要な時間は有限ですので、リッチであれば何でも良いというものではないと思います。新たな基準に関する議論が楽しみです。

接遇はどうなる?
コロナ禍で接客アプリに活用が増えていますが、MCにおいてはそれが当たり前の世界となるでしょう。あるいはアバターが接客することもあるでしょうか。実店舗ではよりよい接遇が消費者によるお店に対する心象を左右しますが、MCにおいてもメタバースならではの接遇の在り方が論じられるのではないかと勝手に想像しています。チャットボットベースのアバターがクレーム対応するとしたら、機械的でやや味気ないでしょう。航空会社の元キャビンアテンダントが接遇の講師をやったりしていますが、VTuber歴十数年といったベテランのVTuberが接遇の講師の主流であるといった時代になるかもしれません。

デバイスに関する新たな議論
ところで、メタバースが流行ると利用デバイスに変化は生じないでしょうか。私は老眼がきついため、普段でもスマホの利用に老眼鏡は欠かせません。メタバースになるとちょっとスマホではついていけないような気がします。一方ポケモンGOを今でも年配の方々がよく利用しているようですので、あまりデバイスに関する議論はないのかもしれませんが、メタバースの良さは画面の大きさと関連するのではという気がしています。iPhoneが誕生して相当な時間が経過しています。これを機に新たな利用デバイスの在り方が議論されてもよいのではと思います。

以上思うことを書いてみました。まだ書き足りないことがあるのですが、またの機会にお話しできれば幸いです。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 本谷 知彦

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役


 - Eコマース情報, JECCICA記事, お知らせ, その他, コラム, ニュース

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2022 All Rights Reserved.s