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最近、めっきり耳にしなくなったOMOについて

最近、めっきり耳にしなくなった「OMO(Online marges with Offline)」について書いてみる。耳にしなくったと言うことは、浸透し始めているからである。この手のキーワードは、浸透してくると語られなくなる。そう言えば、BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)も聞かなくなった(余談)。
では何故今さら、OMOについて書くのか?それは、浸透し始めた今だからこそ、OMOに真剣に取り組む必要があるからである。

OMOは、2017年9月頃に元GoogleチャイナのCEOの李開復(リ・カイフ)氏が提唱した言葉で、2017年12月に、ザ・エコノミスト誌に掲載されたことで拡まったとされている。ちなみに、我々がOMOについて、耳にするようになったのは、3年程遅れた2020年の後半から、2021年の初めの頃であったと記憶している。
当初OMOは、O2O、オムニチャネルとの違いについて、企業視点から顧客視点へ、購買行動から顧客体験へと、如何にもそれらしい言葉によって議論されていたが、どうもしっくり来なかった。結局やろうとしていることは、同じなのではないか?無理に言葉の定義を行う必要があるのか?
そんな中、当協会の代表理事である川連氏は、「OMO」の「OMO」は「おもてなし」の「OMO」であると提唱していた。当初は、笑いを取ろうとしていたのではないかと思っていたが、良くよく考えてみると、言い得て妙であることに気づき始めた。

さて、話を戻す。前出の李開復氏は、下記の4つの条件が満たされることで、オンラインとオフラインの境界線が曖昧になり融合して行くと述べている。
(1)スマートフォンおよびモバイルネットワークの普及により、いつでもどこでもデータが取得できる
(2)モバイル決済浸透率が上昇しどんな場所でも決済が可能になる
(3)様々なセンサー利用が拡がり、現実世界の行動がリアルタイムでデジタル化され活用される
(4)ロボットや人工知能が普及し、最終的には物流も自動化される

(3)(4)については、まだまだこれからであり李開復氏が語る完成形には至らないが、(1)(2)については、十分実現可能であり、OMOが浸透してきた要因であると考える。では、この(1)(2)をもとに、オンラインとオフラインが融合して行く流れを、おもてなしの心を持って見てみる。

飲食店が、ランチ時に店頭で弁当販売するのは、以前から行われていた。しかし、弁当のラインナップは、店舗の都合で作られているため、顧客は、2〜3種類の中から選択することになる。そこで、おもてなしの心をもって、電話で注文を受けるようにすると、多くのメニューから、好みのものを注文できるようになる。しかも、店頭で並ぶこともない。このオフライン施策となるテイクアウトは、新型コロナの影響によって急速に拡がった。
しかしこの施策は、ランチ時で電話が繋がらずにイライラしている顧客、電話で注文するのが面倒だと思っている顧客を顕在化させることになる。そこで、スマホで注文が出来るようにする。さらに、スマホで支払いまで済ませ、店頭では弁当を受け取るだけにする。非常に便利だ。しかしこの対応は、オンラインだけでも、オフラインだけでも実現出来ない。
このように顧客に対して、おもてなしの心をもって接するならば、オンラインとオフラインとは、融合せざるを得ない。すなわちOMOは、特別なことではなく、必然なのである。

それではこのOMOに、さらにおもてなし心をプラスしてみる。
例えば、スマホによるテイクアウト注文を行うと、支払い金額に応じてポイントが貯まり、このポイントを店舗でも使えるようにする。また、店舗で貯めたポイントをテイクアウト注文でも使えるようにする。これにより、顧客はテイクアウト利用と来店利用とを、その時々に応じて、お得に自由に選択できるようになる。

ひと頃、EC(オンライン)売上が増えると、店舗(オフライン)の売上が落ちるのではないかと懸念する企業が少なくなかった。しかし、蓋を開けてみると、顧客をオンラインとオフラインとで取り合う事はなく、さらに、双方を使い分けしている顧客の客単価が高くなることが分かってきた。つまりOMOは、顧客に対しては選択の自由を、企業に対しては利益をもたらすものなのである。

しかしながら、このOMOを実現するためには、それなりのIT投資を強いられる。そのため、導入したくても足踏みする企業が少なくなかったが、昨年あたりから、IT投資を抑えたOMOソリューションを提供する企業が名を連ね始めた。
筆者が関わることとなったソリューションは、店舗販促のためのスマホ向けアプリ機能と、ECサイトの構築・運用を行うためのカート機能とが標準連携しており、OMOを安価に導入することが可能となる。筆者が知るだけでも、既に10社以上が導入している。さらに今年に入り、引き合いが後を絶たない。間違いなくOMOは、実践フェーズへとシフトし始めている。おもてなしなくして、モノは売れない。OMOなくして、勝ちは無い。

松井 功

松井 功

1986年 株式会社日本ビジネスコンサルタント(現:日立シ
ステムズ)入社
1997年 独立。Web&ECソリューション事業会社設立
2006年 ECフルフィルメントサービス提供開始
国民的女性アイドルグループをはじめ、50以上のファンクラブ向け
ショップサイトの構築・運用を手掛ける
2015年 ビートレンド株式会社入社。
EC事業者さま向けにコマースCRM(ショップアプリ)導入を推進
2020年 betrend OMOソリューションの提供を開始


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