JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

2022年 年頭所感 笹本克

あけましておめでとうございます。
新型コロナウィルスの影響で様々な業種で大きな変化が起こっている昨今、本当に難しい経営判断に迫られることも少なからずかと思います。
ECを含めたB to C=“個人消費“のフィールドでは、わかりやすい一つのテーマとして「非接触」の方向に目が向けられているかと思うのですが、多くの消費者が移動や接触を減らす方向に動いた結果、いわゆるウィンドショッピング「=衝動買いの機会」が大幅に減り、かつ、他人に”見せるための購買行動=体裁を整えるための購買行動“も大幅に減りました。体裁を整えるためのスーツや化粧品、あるいは儀礼的な社内へのお土産なども顕著な例になりますし、ある意味では体裁そのものを象徴する企業のオフィスなどもこの例に含まれるかと思います。
もう少し言えば他者から一定の信用を得るための”自慢“をする機会もその必要性も薄れているのではないでしょうか。例えばex.経営者としての高級なスーツ、立派な店構えやオフィスなどの”見せるための機能“にかけるお金も減少傾向にあるかと思います。

コロナ禍の期間を通じて笹本が感じている一番大きな変化は消費者の価値観の変化です。簡単に言えば、何にお金を使うか?がかなり変化してきたと思います。多くの人が日常の平穏こそが貴重であることに改めて気づき、「足るを知る」に至る状況になってきたのではないでしょうか。イベントや海外旅行、あるいは素敵なディナーなどの非日常に大きな制約が続いた結果、“日常”の大きな価値に気づき始めたともいえるでしょう。
これは“高付加価値”戦略でアッパーゾーンの消費者を対象としていた多くの販売者にとって、かなりの方向転換を強いられることを意味します。例えば割烹や料亭で使われる高級食材などを考えてみてください。この様な商材は十分な知識と経験を持った料理人が調理をしない限り、“高付加価値”そのものをダメにしてしまう恐れがある商品です。つまり高付加価値に反応できる買い手が限られると同時に、冠婚葬祭や特別な会食などの“非日常”において消費される商材でもあります。

これらの“日常”の枠を超えた高付加価値の商材は、多分にこの場が/この時が/この歓迎の気持ちが/「特別」であることを知らしめるための“見せるための機能”を期待されての消費に依存してきました。コロナ禍が続く限りは、見せるための機能に依存した高付加価値からの転換を余儀なくされる傾向にあるかと思います。
一方で、足るを知るという価値観の浸透(?)に伴って「共感」に基づく購買行動が広がりを見せている様に思えます。例えば食材ロスを減らすために賞味期限の早い商品の方を購入する行動や、人権問題がある地域からは原料を調達しない、売り上げが落ちた店を支援するための商品購入、災害地の支援として返礼品なしのふるさと納税に応募するなど、それぞれ少しづつではありますが広がりを見せていると思うのです。
この「共感」という“付加価値”が、見せるための機能を期待されての付加価値の代替となれる市場規模に値するかどうかはわからないのですが、商品自体の機能や原料、あるいはデザインや店構えなどの様々な付加価値のなかに、今後は何らかの「共感して頂けるメッセージや物語」を織り込んでいく必要があるのではないでしょうか。SNSなどのバズ「〇〇映え」なども“珍しい”“面白い”とともに“共感”の度合いが高まっている様に思えます。
幸運にも日本のECはリッチコンテンツ系との親和性が高く、スマホ画面のサイズ的な制約さえ乗り越えられればお客様に共感して頂けるメッセージを伝えることはそれほど難しいことではありません。ログなどのデータに現れない「お客様の空気感」を敏感に察知して、より一層の本年のECの発展を願うところです。

JECCICA客員講師

JECCICA特別講師 笹本 克

全国各地で有名ネットショップを輩出。自治体・関連団体にもEC関連の講演や講師を務め、DeNA、Yahoo!Japanショッピング事業部へのレクチャー、ドリームゲート起業講座の他、コンサルサイトの累計約600社、多業種でのコンサル実績も豊富。


 - JECCICA記事, お知らせ, その他, コラム, ニュース, 年頭所感

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2022 All Rights Reserved.s