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ネットショップの教科書81 我慢の3連休より楽しい3連休 「今こそ、Shopping is Entertainment」

このJECCICA会報誌が届く12月半ばには、新型コロナウイルス感染拡大の「第3波」が到来し、年末年始をどう過ごそうかと悩んでいる方が多いことと思います。このコラムを書いているのは11月の勤労感謝の日の3連休(締め切り過ぎていますが、すいません。)テレビや新聞で、政府、東京都がグループでの会食など外出自粛要請を呼びかけているころです。

「この3連休の対応が重要。外出自粛、我慢の3連休を!」

3連休、外出することなく家でじっとしていてください。と言うことでしょうが、家ごもり即ち「我慢する」ということになるのか、合点がいきません。ビデオ鑑賞、読書、趣味の家庭菜園、DIY、そしてネットでのお買い物・・・

連休でお休みなら、やりたいことをやれば楽しい休日を過ごせると思います。

「この3連休の対応が重要。外出自粛するなら楽しい3連休を!」

の方がいいと思います。このコロナ禍で、家ごもり、旅行にも行けず外出しお買い物にも行けない。現状は、EC事業の多くが大きな売上増ですが、単にユーザーの皆さまが外出してお買い物に行けないからネット注文が増えているだけです。ネットでのお買い物が楽しいから利用が増えているわけではありません。

あることから、インターネット通販初期のころを思い出しました。

仕事仲間のAさんに携帯電話で電話したときのことでした。呼び出し音は鳴るものの、どなたも出る様子はありません。留守電になりましたが、無言のまま電話を切りました。

すると、折り返しだろうか?電話がかかってきて、「Aです。お電話いただいたようですが、どちらさまでしょうか?」と、確かに私が電話した人の姓と同じですが、私が電話した人とは別人のAさんだったのです。

「しまった。連絡帳、間違って牽いて間違い電話をかけてしまった!」

繋がったのは、15年以上も連絡が取れずにいたECグループの仲間でした。1997年に楽天市場が始動した時、三木谷さん自身が出店をお願いに行った楽天市場1号店「伊勢志摩海鮮市場」の店長さんであり、オーナーさんです。現在は4万近くの出店数と言われる楽天市場の開設当初は10店舗前後と聞きます。Aさんの店舗運営、特に利用者にネットでのお買い物を楽しませる手法には驚いたものでした。

楽天スーパーオークションがスタートして間もなく、Aさんは「活かきセット1円から25分間オークション」つまり、スタート入札価格1円、出品数20~50セットと複数大量、入札時間25分と入札がスタート氏、25分間に入札数が出品数を上回らない場合、数千円の活かきセットが1円で落札されることになります。損失を負う危険性があると共に、入札者に「1円で落札出来るかも知れない」と期待感を持たせ多くの入札が入り、落札価格を押し上げる可能性があります。

思えば23年前、楽天市場が開設したころ「インターネットは究極の対面販売」と、ネット通販の可能性をアピールし、「生たまごもネットで売れる」と出店者数を拡大してきました。

「Shopping is Entertainment」

確かに、ネット通販が普及した初期のころには、ECサイト上でエンターテイメント性の高いイベント(企画)が前述のAさんの存在のように、数多くあったような気がします。Aさんの「1円大量オークション」は、しっかりとメルマガ読者の確保と丁寧な開催のお知らせで、25分と油断しているとなかなか落札できません。Aさんは、徐々に入札時間を縮め25分から20分、15分と落札を難しくし、ユーザーを刺激、オークションをゲーム性の高いものとしていきます。

Aさんの「1円大量オークション」をヒントに、筆者が酔った勢いで開催したとんでもないオークションがあります。

OLYMPUSコンパクトデジタルカメラ(デジタルカメラ普及したばかりで6万円台のメーカー希望価格だったと思います。このデジタルカメラを、こともあろうに1円から30台オークションで出品してしまいました・・・

OLYMPUSコンパクトデジタルカメラ
1円からオークション
出品数:30個

オークション期間:7day

結果は、当時の楽天市場のオークション入札数ギネスだったようです。
そして落札価格は、最低落札価格(30個目)5万円台の利益確保できる結果でした。
モールでの販売は、

・通常購入
・オークション
・共同購入
・定期購入
・頒布会

などが有り、これらをメルマガで案内するためにメルマガ購読会員をプレゼント企画などで集める。これらの販促手法はネット通販が普及し始めたころの主流でした。多くの出店者が集うモールもECサイト構築の自由度が高く、出店者同士チームとなり、入札数、落札金額、共同購入数、プレゼント応募数など店舗をまたいで集計値・統計値をそれぞれの店舗に掲載することが可能でした。

これらの仕組みでタイムリーに集計結果を掲載することでチームの協調・競争力を高めエンターテイメント性のあるイベントとしてユーザーの皆さまに楽しんでいただくことが出来ます。

次の例は、出店舗が一斉に共同購入を開催し、

お客さまが共同購入で購入の際、コメント欄に記入いただいた「願いごと」が天の川の天帝に通じると、各共同購入ページの企画画像にある短冊に表示される仕掛けです。

「現在の全店舗共同購入販売数の合計」と「現在の販売数20個以上の店舗数」を各共同購入ページに表示し、

参加店舗の販売数20個以上の店舗が増えていくにつれて天の川画像に橋ができていき販売数20個以上のお店が10店舗になれば完成、めでたく織姫・彦星が出会う楽しい企画です。

次の企画例は、楽しさ満載、お得度満点、
ユニークな13店舗参加の日本横断オークションラリーです。

みんなで入札すれば、お得になるオークションで、13店舗を効率よく巡回するために、巡回ルートを作成して案内しています。ルートは東から西へ(東京から鹿児島へ)です。各オークションページからはプレゼントクイズページへ行けるようになっていて、各プレゼントクイズページからは、次の店舗のオークションページへいけるようになっており、オークションに参加しながら、全店舗のプレゼントに応募できる。オークションに参加しない方は、プレゼント応募だけでも可能という楽しい企画です。

例)
  1.A店 オークションページ
         ↓
  2.A店 プレゼントクイズページ
         ↓
  3.B店 オークションページ
         ↓
  4.B店 プレゼントクイズページ
         ↓
  5.C店 オークションページ
         ↓
  6.C店 プレゼントクイズページ
         ↓
  1.A店 オークションページに戻る

どういう企画かと言うと、

入札数が増えれば価格が下がるという、オークションを13店舗で 一斉に開催します。そして、参加商品の入札総数に応じて価格が下がっていきます。 つまり、多くの方が入札していただければ頂くほど、お得なオークション、入札数が増えれば増えるほど、販売価格が下がるとてもお得なしくみです。いわば、インターネット上の共同購入です。

企画の面白さは、この価格の低下を各商品への入札数ではなく、参加商品全ての 合計数に応じて行うことにあり、それらの仕組みをモール側ではなく店舗のグループ(仲間)で作り上げ機能していることです。

楽天市場が開設したころ「Shopping is Entertainment」と唱えていたのは、モールシステム側だけで機能していただけではなく、店舗側のアイディアと知恵の「協働」で動いていたのです。

・メルマガ会員を募るためにコストをかけてプレゼント企画を行う。
・難しいクイズを出して正解者の中から抽選でプレゼントする。

最終目的は似ていますが、応募までの手順とユーザーと店舗側の達成感・満足感が違います。

仕組みは簡単です。

1)まず、クイズのページを作り、
2)解答をパスワードにしたページにリンクし、
3)そのページで次のクイズを作り2)より繰り返し、
4)最終ページを全問正解者として賞賛、プレゼント応募へ誘導します。

ネット通販が普及し始めた初期の頃は、間違いなく「Shopping is Entertainment」として楽しめました。2020年の今、ネット通販を楽しんでいますか?スマホでいつでもどこでもお買い物ができる。
確かに利便性良くなりました。

以前は、お買い物に来られたお客さまに、出来るだけ楽しんでいただけるようコンテンツに工夫が必要でした。今では、私自身でも「在庫は?仕様は?いつ届く?価格は?」でお買い物し他の情報はいりません。

楽天市場が毎年年始に発表する「Shop of the Year」、売上金額の高い店舗が受賞の優位に働いているのは明らかです。それは現在のユーザーが求めているものであり否定するつもりもありません。

2000年12月初旬にお客さまを引率し沖縄県ケラマに行っておりました。楽天市場に出店し1年半となったころです。楽天市場の法務より電話をいただきました。

「Shop of the Year 2000 総合3位受賞です。おめでとうございます。」

あまりの驚きに「受賞理由は何ですか?」とたずねたところ、

・「Shop of the Year」のShopと店長の投票数が多い
・投票者のコメントがほとんど長文で、真のファンが多い

という理由でした。ちなみに当時の月商は500万円程度で、現在の受賞店舗では考えられない数字です。ECサイト上でエンターテイメント性の高いイベント(企画)が少なくなったのは事実であり、これらは、店舗側がそのように導いたものではなく、現在のネット通販では重要視されないものとなった結果ではないかと思います。

それでも、ネットショッピング、単にお買い物ができる(利便性)だけではなく、楽しいショッピングが出来るよう、コロナ禍で家ごもりの多い今こそ、「Shopping is Entertainment」を見つめ直してみたい。

JECCICA客員講師

JECCICA特別講師 松橋 正一

EC得意分野/モールEC構築、amazon出品支援
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。


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