ライブストリームショッピング

ヨーロッパを中心に19ヶ国で販売展開しているスウェーデンのアパレルブランドのLindexは、 2020年の第1四半期からヨーロッパで広く流行し始めた新型コロナウィルスの影響で、約500の店舗を閉店せざるをえませんでした。売上減少の打開策としてEコマースへのシフトを試みますが、それまでのEコマースからの売上は全体の10パーセント程度しかなく、何らかの対策を施す必要がありました。その中で注目したのが、以前から検討していたライブストリームによるショッピングイベントの実行でした。高品質のファッションショーと視聴者との交流が、ライブストリームショッピングを成功させる鍵であると考え、ライブストリーミングベンダーの Bambuserと提携し、Lindex.comおよびソーシャルメディアのページでライブストリームの配信を検討、2020年5月に最初のライブストリームを実施しました。そこでは、視聴者の8パーセント以上が商品をカートに入れるという結果を得られ、その後、月に1~2回のペースでライブストリームを行なっています。今年5月に行われたライブストリームによるショッピングイベントでは、マーチャントの春コレクションの披露を行い、平均視聴率の2倍の視聴者が集まり、ライブストリームを見ていた消費者100人あたり55点の商品がカートに追加され、これまでで最も成功したイベントとなったそうです。

ライブストリームショッピングは、テレビショッピングと似たイメージですが、オンラインのライブ視聴者に対して商品の紹介や実演を行うと同時に、オンラインビデオやチャットなどを通じて視聴者と直接対話することもでき、実店舗とよく似たショッピング体験が可能です。中国ではすでに10億ドル規模の市場規模となっており、E コマースの次なる潮流とも言われています。Amazonでも24時間ライブ視聴が可能なAmazon Liveを提供しています。

ライブストリームショッピングには、”1対多”および”1対1″のバージョンがあります。1対多のライブストリームは、有名人やインフルエンサーを通じて、オンラインの大勢の視聴者に商品の紹介を行い、販売を行います。一方の1対1のライブストリームは、リアルタイムで特定の顧客に対してよりパーソナルなアプローチをとることができ、プロダクトの専門家などと個々の顧客との間のプライベートな対話が可能で、顧客はその場で質問をして、すぐに詳細で安心できる回答を得ることもできます。例えば、ライブストリームに出演しているモデルの身長を尋ねることにより、消費者は自分の服のサイズを判断することができます。

冒頭でご紹介しましたBambuserは、インタラクティブなライブビデオストリーミングに特化したグローバルなスタートアップSaaS企業で、主要製品のLive Video Shoppingは、世界最大級のブランドや小売業の顧客エンゲージメントと売り上げを促進するクラウドベースのソフトウェアソリューションズです。2007年以来、ライブストリーミング技術の最前線にいるBambuserは、2019年にLive Video Shoppingを立ち上げ、現在ではデジタルプラットフォーム上で顧客とより深いつながりを求める企業に選ばれるプラットフォームとなっており、2021年第1四半期には3,000件のライブストリームを実現しました。ライブストリームは、ブランドのウェブサイト上でネイティブにホストされており、ブランドの消費者との会話、データ、チェックアウトなどを管理することにより、顧客とさらなるエンゲージメント向上につなげることが可能です。