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「SNSエンゲージメント入門」最初の8ステップ

SNSから生まれるコンバージョンとは
もしあなたのSNSチームが、まだランディングページにリンクさせるだけの一本釣りのコンバージョン獲得に終始しているなら、数ヶ月後にはその顧客をライバルに奪われることになっているかもしれません。といっても、正体不明の「ブランディングですから」というコトバで投資対効果を煙に巻いたり、ステルスマーケティングまがいの「企業案件」といったソーシャルメディアのよくある怪しい話ではありません。

今回は、SNS起点でコンバージョンを発生させる「エンゲージメント・マーケティング」とも呼べる手法が、ここ数年で「チャレンジングな仮説」レベルから「実績豊富な安定的手法」へと変化してきたので、改めて本稿でもご紹介したいとおもいます。※本記事は2015年にご紹介した手法を、より現状(2020年8月)に即するように書き換えてご紹介しています。

エンゲージメント獲得の労力は報われるのか
エンゲージメントと聞くと、なにかつかみ所の無い正体不明なモノと思われがちですが、その実体は「いいね!」や投稿へのコメントなど、各SNSのレポートで数値化された明確な指標です。ただ一見するとコンバージョンとは無関係のようにみえますが、厳格な追跡調査(トラッキング分析)ツールなどを使えば、SNSエンゲージメントによってコンバージョンが発生していることが確認できます。ただし、その成果を生むにはやや時間と労力がかかります。いわゆる「重要だが緊急ではない」マーケティング領域のため、必然的に優先度は低くなりがちでしょう。

ではいったいどうすれば良いか?やみくもにハッシュタグを付けたり、見た目の「いいね!」やコメント数に一喜一憂するだけではコンバージョンは達成できません。SNS担当者を採用して運用したのに、一年前と変わりばえしない結果に運用自体を停止した、といった事例も耳にすることがあります。しかし、かつてSEOやブログがそうであったように、新しいウェブサービスや様式が登場して世の中の半数以上に浸透したとき、それまで前衛的だった取組が、安定したコンバージョン獲得法へと変貌します。

特に2020年8月時点で、インスタグラムは日本の20〜50代それぞれの年代で、30%〜40%が利用するメディアへと成長しています(※1)。つまり「若いユーザ層だけが使うSNS」から、ほとんどの年齢層でいわゆる「キャズム超え」を達成したわけです。一方で「インスタ映え」だけでは見向きもされなくなるなど、ユーザの意識も使われ方も大きく変化しています。もう一度SNSマーケティングの目標設計からみなおして、明確に数値化(KPI)し、成果に結びつく「エンゲージメント・マーケティング」でコンバージョン拡大を試みましょう。

※1:※株式会社 ISSUN 調べ:facebook広告マネージャの推定リーチ数(2020/08/20調査)と総務省統計局データ(2020/08/20更新分)より

ステップ1:正しいハッシュタグを選定する
ハッシュタグとは、#からはじまる文字列です。従来のSEO攻略とおなじくらい重要な「集客要素」です。インスタグラム上では、日本の利用者の4人に1人がハッシュタグを使って情報を検索しています(参考:facebook社調べ:「国内利用者のInstagram活用の現状」より)。これは世界平均より多く、日本でみられる特異な現象です。facebook社の調査によると、世界平均の約3倍にあたるようです。

では、日本でどのようなハッシュタグがどのくらいのユーザに利用されているのかは、インスタグラムアプリの検索窓に、#からはじまるハッシュタグを入力するだけで、その利用数が表示されるのでスグに確認できます。この「利用数」が多ければ多いほど、たくさんのユーザが頻繁に使っていることになります。人気のハッシュタグさえ付けて投稿しておけば、多くの人の目に触れそうですが、ことインスタグラムにおいては、これが大きな落とし穴となり、ことマーケティングの現場では大いなる惨劇すら生んでいるわけです。

インスタグラムでは、ハッシュタグが付いた投稿は、人気順(エンゲージメント順)、投稿順(最新)で並べ替えられます。

このため、非常に人気があるハッシュタグ、たとえば、利用数が50万を超えるようなハッシュタグには要注意です。というのは、多くの場合はほぼ秒単位で投稿されているため、もっとも発見されるのが簡単な「投稿順(最新)」の欄でユーザの目にとまっていられる時間がまさに「一瞬」で終わってしまいます。つまり、人気の高いハッシュタグを付けた投稿は、次から次へと生まれる別の新規投稿によって上書きされ「誰にも見られないまま埋もれてしまう」という結果となるのです。

逆に、投稿数が10万以下なら、発見してもらえる確率はグッとアップします。ただし、まだ生まれて間もない利用歴が浅いハッシュタグの場合は、50万以上のハッシュタグと同様、流量の勢いがあるためあなたの投稿がユーザの目にとまる確率も一気にダウンしてしまいます。逆に利用数が少なすぎるハッシュタグだと、ユーザの目にはとまりますが、集客も期待ができません。このため、実際に自分が投稿する時間帯のハッシュタグの結果画面をじっくりと眺めて目視確認することが重要です。一般的に、日本で利用者が増える時間帯は、午前8時台、12時台、20時台以降です。まずは、この時間帯のインスタグラムのハッシュタグ画面に貼り付いて、「ちょうど良い利用数のハッシュタグ」を見つけてゆくのです。

ステップ2:無計画なハッシュタグを捨てる
前述のステップ1の現象は理解しているのに、意味の無い無駄なハッシュタグを使い続けているブランドアカウントをみかけます。#猫 #love など、ハッシュタグ人気ランキングなどの上位タグを転用しただけでは、前述の通り、一瞬だけ表示されて終わりです。

逆にあまりにニッチすぎるマニアックなハッシュタグだと、1年経っても誰かに表示されることすらありません。もしこうした「無計画なハッシュタグ」を利用している場合は、問答無用で削除すべきでしょう。インスタグラムで使えるハッシュタグの数には「30」と上限が設けられています。2014年にインスタグラムが登場してから、弊社内のテストアカウントで幾度となく実験した限りでは「無計画なハッシュタグ」から大きな成果は得られない、というのが結論です。既に感覚まかせで選んだハッシュタグを運用している場合は、各ステップでご紹介する手順で削除すべき「無計画なハッシュタグ」を特定し、削除する必要があります。

ステップ3:ユーザ目線のハッシュタグを選定する
ステップ1で、ちょうど良い数のハッシュタグを見つけても、あなたの投稿を見て欲しいユーザが、そのハッシュタグで検索するのかどうかを、「ユーザ目線で再検証」してみましょう。

たとえば、米粉を使ったスイーツのブランドが、原料のお米の稲刈りシーンの写真を投稿して、#稲刈り #トラクター というハッシュタグを付けたところで、スイーツを探している生活者には発見してもらえません。ここでは、米粉スイーツ好きの生活者が、インスタグラムで何を求めているのか、どういうきっかけならファンになってもらえるのか、を考えて、「このハッシュタグで求めている生活者に自分の投稿が発見されるのか」と、一息ついて自問自答するのです。

そうすると発生する問題が「どんなキーワードを選べば良いのか分からなくなってきた」という問題です。解決策として、GoogleのキーワードツールやYahooのキーワードアドバイスツールの他、共起語ツール、キーワードサジェスト(提案)ツールなど、ネット上で無料でも使える、いわゆるPPC広告やSEOのプロの現場で使うツールを使って、「米粉スイーツ」を検索するユーザがどのようなキーワードを使っているのかを把握してみることが有効です。

ステップ4:ライバルアカウントのハッシュタグの調査
さらに精度を高めるために、ライバルやお手本としたいインスタグラムアカウントが、どんなハッシュタグを使っているかを目視確認してみましょう。方法は簡単で、インスタグラムのアプリから実際のライバルの投稿を確認すればわかります。このチェック作業は、1回行っただけでは不十分です。できれば月に1度はライバルアカウントの投稿を見直して、なにか変化が加わっていないかをチェックします。

成長しているインスタグラム・アカウントの担当者は、頻繁にハッシュタグを差し替えます。もしあなたが、ハッシュタグ術の入門者なら、先輩のタグ研究の成果をしっかり見て盗みましょう。

ステップ5:ハッシュタグ「30セット」を複数用意する
インスタグラムでは、1投稿あたり「最大で30個」のハッシュタグが追加できます。投稿毎に、ステップ1〜4の手順で、30の厳選したハッシュタグを選定しましょう。ただし、毎回同じハッシュタグを流用すると、インスタグラムのアルゴリズムによって「いいね!」やコメントなどの「エンゲージメント数」が伸びない傾向にあります。エンゲージメント数が伸びないと、その投稿は「多くの人に見てもらう価値がない」とインスタグラムに判断され、フォロワーのタイムラインにもあなたの投稿が掲載されにくくなってしまいます。

この解決策としては、あらかじめ投稿の内容ごと「ハッシュタグ30のセット」を複数パターン用意しておき、毎回同じハッシュタグのセットにならないよう、うまくローテーションで使い分けると効果的です。

ステップ6:ハッシュタグはどこに付けるべきか
お疲れさまでした。あとは、ハッシュタグを投稿に貼り付ければOKです。ただし1点、注意が必要です。インスタグラムの投稿一覧やハッシュタグの検索結果では、写真の下に表示される文字は、「投稿の最初の改行2行目まで」か「最初の1行が70文字以上ある場合は、アカウント名を含めて全角70文字分、約3行分まで」です。(2020/08/23時点)。

それ以上の投稿内容は「…続きを読む」となって隠れてしまい、「続きを読む」をユーザがタップしない限り読まれません。ただし、続きを読むで隠れていても、ハッシュタグは検索キーとして有効に働きます。投稿する文字については、写真の「見出し」として伝えたいことを「改行2行以内」に収めるか「改行しないで全角70文字分に収めて書く」かを意識して設計します。

これは自分個人が楽しむ投稿ではありません。事業に成果をもたらすための戦略的な投稿です、ここまで慎重に配慮して投稿を設計する必要があるのです。

特に重要なポイントは、できるだけ「続きを読む」をタップしてもらうように文章を設計するということです。「続きを読む」がタップされた投稿は、インスタグラムのアルゴリズムによってより価値の高い投稿と評価され、タイムライン上で他のユーザの投稿よりも優先的に表示され、多くのユーザに見られる傾向にあるからです。

こうしたインスタグラムの仕様を理解して、どの部分にハッシュタグを付けるかを吟味します。意図的にハッシュタグから書き始める場合もありますが、吟味されたサンプルパターンをご紹介すると、「見出し」となる書き出しのあとに、メインの本文を配置し、その後に、最大で30のハッシュタグを付与します。多くの成功しているインスタグラムアカウントではこうした設計がかなり緻密でユーザへの配慮も十分になされています。この点は、海外の投稿と比較すると、まだ競争があまり激しくない日本のビジネスアカウントでは出遅れている感がします。

このように、投稿自体も見やすさを維持しながら、ハッシュタグ検索結果にも投稿を表示させることが重要です。

逆に、投稿の貴重なスペースがハッシュタグで埋め尽くされ、可読性が下がってしまうとエンゲージメントを損なう傾向がありますので注意しましょう。

ステップ7:ツールを使って、効率化する。
ご紹介したステップ1〜6の作業は、スマホのインスタグラムアプリ上でも可能です。ただ、実際やってみると大変です。忍耐力というよりも時間がかかりすぎて他の作業ができなくなってしまいます。

もっと作業を効率化したい、時間が欲しい、という方のために本日ご紹介いたしますのがこちら「PCでインスタ作業できる有料ツール」です。

国内なら「HootSuite」や「DEGITAL PANDA」などがありますが、英語が苦にならないなら 「Later」がイチオシです。

安価で高機能、かつ使いやすく、facebookなど他のSNSにも対応しています。30日のお試し利用も可能です。Linkin.bioという機能を使えば、インスタグラムの商品タグを使わずに、プロフィールから投稿ごとのランディングページへリンクさせることも可能です。

Laterが優れているのは、コンテンツに適したハッシュタグを提案してくれたり、その選定基準となる利用数などもわかりやすいこと、予約投稿や複数投稿のための写真の一括アップロードの他、自社のハッシュタグで投稿してくれているユーザを簡単に検索できるので、ユーザ投稿を活用する「UGCマーケティング」にもチャレンジできます。

「Later」は、マニュアルだけは日本語で用意されていますので、安価に効率化してみたい、という方はぜひ活用されてみてください。
https://jp-help.later.com/

ステップ8:エンゲージメントの成果を計測する
こうして、今までなんとなく行っていた投稿を、少し戦略的に設計しなおすだけで、閲覧数は飛躍的に変化します。そして継続的に投稿を続けることでコンバージョンが発生することを確認できるでしょう。

計測のためにはやや高度なツールと知識が必要ですので詳しくは別の記事で扱いたいと思いますが、まずは簡単に集計とコンバージョンの連動性を確認する方法のひとつに、インスタグラムのショップ機能(インスタグラムショップナウ:Instagram ShopNow)を導入する方法があります。

インスタグラムの投稿に商品やサービスをリンクさせることができる機能です。詳しくは以下の記事で紹介していますので、参考にされてみてください。

【2020年】Instagramショップ機能(Instagram ShopNow)の導入方法
http://issun.cc/INST-SHOP

いかがでしたでしょうか。

一本釣りのコンバージョン至上主義のSNSチームから脱皮して、お客様との「ふれあい」を深めてコンバージョンを獲得する「SNSエンゲージメント入門」最初の6ステップをご紹介しました。

その他、何を投稿すれば良いのかなどの記事もすでにご紹介しているので参考にしていただきながら、2020年8月、既にキャズム超えしたインスタグラムでライバルに取り残されない実践活用を一日も早く開始していただければと思います。

JECCICA客員講師

株式会社ISSUN 代表取締役 宮松 利博

1992年から営業畑のかたわら、独学で顧客満足向上システムを開発。営業実績を3倍に伸ばし1997年に売却。その後、WEBコンサルタントとしてEC数社を支援し、楽天12部門で1位など獲得(2社は上場)。代表事例には、学校前のパン屋を拠点としたダイエット通販の開発・EC支援で、3年でマイナスから年商20億円に成長させた(現ライザップ)がある。同社株式上場と同時に保有株を売却し、海外視察の後、2011年「小よく”巨”を制す」を掲げ、株式会社ISSUN立上げ。業界No.1に成長するクライアントを多数抱える。JASEC 日本イーコマース学会理事なども務める。


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