「Gemini in BigQuery」でGA4の分析を一歩先へ
Google AnalyticsがUAからGA4にアップデートされたことで、ウェブサイトのアクセス解析がより複雑になりました。
その一因として、GA4の「しきい値」や「サンプリング」によって、セッション数などの正確な数値がGA4上で把握しづらくなったことが挙げられます。データの期間やフィルタリングによって数値が変動するため、戸惑っているウェブ担当者も多いのではないでしょうか。
GA4のサンプリング例:1.4%のデータから結果を類推
この問題を解決するためには、BigQueryをGA4と連携させてデータ処理を行う必要がありますが、そのためにはSQLやPythonの知識が求められます。かつてのようにウェブ担当者が独自にアナリティクスを学び、解析を行うのは難しくなってしまいました。
しかし、Googleが今年4月に発表した「Gemini in BigQuery」では、BigQueryの画面上でChatGPTのように指示を出すだけで、必要なデータを出力するSQLを生成してくれるため、SQLの知識がなくてもBigQueryを使えるようになりました。
ただ、期待感をもって検証したところ、残念ながら完全にSQLの知識が不要になるわけではないようです。効果的に使いこなすにはある程度のコツと知識が必要であることがわかりました。
ざっくりとした指示では上手く出力できない
(例)
指示: 「2024年7月のGoogle広告経由のセッション数を出して」
結果: ×
セッション数が正しく出力されず、2024年7月全体のデータではなく、7月16日のデータのみが参照されました。
他にもいくつかのパターンを試しましたが、ゼロからざっくりと指示しても、正確なデータを得るのはまだ難しいようです。反面、指示の仕方を工夫することで有効に使える場面も見えてきましたので、少しでもGA4とBigQuery活用のハードルを下げるためにご紹介いたします。
活用方法2つ
1.サンプルSQLをカスタマイズする
「GA4 BigQuery SQL サンプル」などで検索すると、サイト分析に便利なSQLが公開されています。
例:GA4用のBigQuery クエリ集
(https://www.ga4.guide/related-service/big-query/query-writing/)
これらのサンプルとなるSQLを基に、以下のようにカスタマイズの指示を出すと便利です。
●「この環境に合わせてSQLを変更してください」
●「ページタイトルも出力できるようにSQLを修正してください」
この方法であれば、大きく結果がズレることは少ないです。ただ、結果が間違っていることもあるため、可能であれば検証を行ってください。
2.正確な出力を得るために指示を工夫する
以下のように、SQLが処理しやすい形で指示を出すと、比較的正確な出力が得られます。
●データの場所: test.analytics_000000000.events_202408*
●出力結果: ページタイトル、ページセッション数
●条件: セッションが google / cpc のもの
●並び順: ページセッション数の降順
ただ、「SQLが処理しやすい形」で指示を出すためにはSQLの知識が必要になってしまうため、「AIの力で分析を簡単に!」という理想からは少し離れてしまう気もします。
これからに期待
現状はまだまだ改善点が多い機能ですが、GA4とBigQueryを連携することでWEB解析の打ち手を増やすことができます。SQLの学習がハードルになっている場合は、一度試してみてはいかがでしょうか。
JECCICA客員講師 矢崎 宏一郎
(株)ISSUN チーフマネージャー
得意分野/WEB広告 EC販売支援
WEB広告のなかでもAI系広告を得意とし、事業規模に合わせた集客戦略でD2Cの売上を2年で10倍にするなどで、日本上位3%の代理店であるGoogle Premier Partner認定に貢献。