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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol㊷ 「楽しい」と感じる商品・サービスを生み出せ!

ハッピーホルモンでポテンシャルを発揮するアスリート達
新型コロナウイルスの影響を受け、まだ感染拡大の渦中ではありましたが、1年遅れでTOKYO2020が無事に開催されました。自国開催ということもあってか日本選手団が史上最多のメダルを獲得し、興奮冷めやらない五輪でしたが、私は今回から新種目として加わったサーフィンやスケートボードにチャレンジするアスリートの姿を拝見して、本来の人間のあるべき姿を見る思いがしました。それは「楽しんで競技にチャレンジしていた」ことです。
特にスケートボード女子パークの金メダリスト、四十住さくら選手(19)と銀メダリスト、開心那選手(12)は、遊びの延長ではないかと感じるほど自然体で競技に臨み、その笑顔はまさに天真らんまんでした。

最近、女性誌で良く「ハッピーホルモン・幸福ホルモン」というキーワードが紹介されています。その正体とは、気分や感情をコントロールして心の安定とモチベーションを高め、そして細胞を活性化して老化の進行を遅らせる脳内ホルモン「セロトニン・オキシトシン・ドーパミン」のことです。つまり人間自らが「楽しむ」ことでモチベーションを自然に発生させると、ハッピーホルモンの一つ「ドーパミン」が分泌され、さらなるポテンシャルが発揮されます。

スティーブ・ジョブズは天才なのか?
最近ブレーンのクリエーターと行っている、音声だけのSNS、Clubhouseのトークライブで、「ジョブズに学ぶイノベイティブマインド」について、日本人とアメリカ在住の日本人の数名で語り合いました。
実は私は3年ほど前まで、マーケティングカレッジや研修で講師を務める際に、「スティーブ・ジョブズは発想の天才だ。だから私を含め多くの凡才は、一生懸命マーケティングを学んで秀才を目指そう!」と提言していました。しかし今は全面的にその考えを改めて次のように提言しています。
ジョブズは発想の天才ではなく、「それを実行した」ことが彼のすごいところ。いまや多くの人に普及したスマートフォンですが、その元祖であるiPhoneは、「こんなモノがあればワクワクするよね!」という彼のアイデアから生まれました。その発想自体はもちろん素晴らしいのですが、ジョブズがそれ以上に卓越していたところは、開発したアップル社のスタッフのマインドを熱量で高め、全社一丸となって発売まで突き進んだ「実行力」にあります。

日本がバブル崩壊で最も大きく失われた事とは?
私は、誰でもスティーブ・ジョブズのような発想は可能だと思っています。例えば私が子供の頃、まだおもちゃが潤沢にない時代は、公園で子供たちが集まり、楽しく話をしていると自然発生的に「○○ごっこ遊び」をやっていました。皆で楽しみながらアイデアを出し合うという点では、子供たちもジョブズとアップル社も同じだと思うのです。
平成のバブル崩壊後、私たちはその反省の上で、ビジネスの成功確率を高めるため、数値的根拠をもとに論理的に物事を組み立てるため、マーケティングやロジカルシンキングを学び、それを実践してきました。しかし、バブル崩壊後の30年間で日本のビジネスにおけるダイナミズムは、どんどん失われていると感じます。
事実、世界企業の時価総額ランキングで、平成元年のベスト10の中には上位5位までトップのNTTを筆頭に日本企業が並び、10社中の7社が日本企業で独占されて、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界に言わしめたのです。ところが直近の今年6月のランキングで日本企業のトップはトヨタ自動車であり、37位でやっと顔を出すといった状況です。

人間には「楽しさ」と、それを引き出す「リーダーシップ」が必要!
こうした低迷の最大の理由は、仕事に対して人間の直感や五感を生かした「楽しさ」がないからだと思います。やはり人間は「楽しい・面白い」と感じるモノやコトがやりたい。そして、そこから生まれた発想を生かしたビジネスや商品・サービスが同じ人間に支持されるのだと思います。
冒頭のスケートボード競技も、努力と根性で苦しい汗を流すこれまでのアスリートの行動とは真逆。自分が楽しいと思っているから練習は苦ではなく、楽しい気持ちのまま競技で良い結果を残し、見る人も感動させる。アスリートも見る側も、ワクワクする「ハッピーホルモン」が湧き出るのです。
日本のビジネスパーソンも、これからはもっと感情や感性といった右脳領域を生かし、「こんなモノやサービスがあればワクワクする」と感じるアイデアを出し合いましょう。夢物語のような発想を可能にするのが、日進月歩であるテクノロジーです。そして現場の上司や経営陣も「責任は俺が取るから思い切ってチャレンジしてみろ」と鼓舞し、リーダーシップを発揮するのです。この熱量こそがAIにはない人間の魅力。
こうした考えや行動、これこそがバブル期の財産だった「クリエイティビティ」そのものです。令和の時代にそれを復活させるには、ジョブズのような「真のリーダーシップ」が不可欠だと思います。それが「夢を形にする」結果となり、再び日本企業そして日本人が輝く、大きな成功要因だと感じる今日この頃です。

エジソンのようなイノベーションや発明には「楽しさ」が必要

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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