かなりヤバい状況の水産業界
6月に稚内、旭川、網走、帯広、根室、室蘭、函館と北海道をぐるっと回ってきました。それぞれの町は短期滞在だったので印象レベルでの感じたことは次の3点です。
①地方都市は衰退しまくってる。
②こんなところまで?外国人観光客見かけました。
③北海道と言えば海鮮、でもその海鮮がヤバい
①の「地方都市は衰退しまくってる」は何も北海道だけの問題ではないし、今に始まったことではありません。私の実家の徳島県もどんどん人口が減って、帰省するたびに活力が無くなっていくのを感じてます。
北海道でも大都市、札幌、旭川、帯広、函館は観光客も押し寄せて活気を感じましたがその他の町では商店街はシャッター街になって活気は感じられませんでした。
②の「こんなところまで?外国人観光客見かけました。」いや、ホント、こんな不便なところの辺鄙なレストランに外国人?なのでびっくりします。
③の「北海道と言えば海鮮、でもその海鮮がヤバい」ですが、2024年、今年も異常な状態が続いています。
数年前から報道されてますが、鮭が獲れなくなって鮭の定置網にブリがいっぱい獲れてます。そもそもブリはやや南の魚です。ブリの養殖日本一は鹿児島県なのです。今はまだイクラが枯渇した感じはしないですが、このままでは数年後イクラがまさに海のダイヤになる日も近いかも知れません。
6月からウニ漁が解禁されるところが多いのですが、ウニもまったくの不漁です。特に北海道の西側がヤバいです。
積丹半島のムラサキウニの漁獲量は昨年比で49%減と半減しています。去年が豊漁だったのではなく去年も不漁と言われていました。
函館と言えばスルメイカ。夜煌々とライトで海を照らすイカ釣り漁船は函館の名物でもあります。しかしスルメイカの水揚げは2008年の8,924トンをピークに下がり続け、昨年は317トンと最盛期のたったの3.6%しか獲れてません。イカ釣り漁船は港に繋がれたままです。
水産物の異常はもう北から南まで書き切れないです。獲れていたところで獲れなくなっている、獲れるはずのないところで獲れてしまってる。
この異常が今年だけのイレギュラーと思いたい気持ちは理解できますが、異常な状況が既に5−10年続いており「今年だけの異常」ではなくなってきてます。
我々消費者は産地が変われど買えるところから買えば良いのですが、そこでずっと昔から生計を立ててきた生産者のみなさんはただ呆然と海を見つめるしかないような状況です。
私は農水産物の生産者様の経営支援・EC支援も行っておりますが、私に何ができるのか・・気候変動という大きなうねりの中で喪失感にさいなまれている今日この頃なのです。
JECCICA客員講師 斎藤 賢治
(株)クオカプランニング取締役会長
2001年お菓子パンの材料道具販売「cuoca」を立ち上げ、EC・リアル店舗・卸販売・レッスンスタジオとオムニチャネルを実践し最大32億円まで成長させる。食品の商品開発からプロモーションなどを得意とする。