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「伝える」と「伝わる」のあいだにVol.3 振り向かせる方法…本当にそれでいいの?

★そこかしこに「ニュルッ」の落とし穴
すみません。最初に謝っておきますが今回は初っぱなから「きらいなもの」の話をしてしまいます。
おそらく同じ思いの人も多いかと思うのですが、私あれが大きらいなんです。ネットでよく見かける「鼻の角栓ニュルッ」の広告。イラストだったり合成画像だったりパターンは色々ですが、イチゴの表面みたいなブツブツの毛穴に大量の角栓が詰まっていたり出ていたりするビジュアルのどアップ。目にした瞬間、何ともいえない不快感がわき上がります。それがドカーンと出てくると「これはダメなサイトだー!」と思っちゃう。本当はサイトのせいではないのだけど。(一応補足すると「そういう鼻に悩む人」に対する不快感などではなく「非現実的レベルにデフォルメ加工した画像を広告として派手に出す」ことに対しての思いです)

最近ではあれもいやですよね。ネットの記事を読んでいると上から下から真横から、記事を隠すようにニュルッと出てくる広告。遅れて動くもんだから誤って押してしまうし、×印が小さくて、消すはずがうっかりクリックしてしまうのも腹立たしい。ただ記事を読みたいだけなのに広告をよけたり消したりすることに結構な労力を奪われる。当然「この商品いいな♪」なんて思うはずもなく、代わりに「この広告主とサイト…許せん」という気持ちがわいてくる。これも実際にはどちらのせいでもないんでしょうけどね。

もちろんこれらの広告があるからこそ、私たちはコンテンツを無料で享受できているのは分かっています。好き嫌いを気楽に言い放てるのは無責任な立場にいるからだということも。
でも…広告を作る仕事、ネットでモノを売る仕事、両方やっている身としては「本当にそれなの?そういうことでいいの?」って問いかけたくなるのです。

★「振り向かせたい!」果ての闇
広告に限らず商品ページでも同じことです。ネットでは反応も結果もはっきりと数字に出ますから、どうしても「いかにPVを稼げるか」「いかにクリックしてもらうか」を追い求めてしまう。それがいつしか「いかにドキッとさせるか」「いかにセンセーショナルに派手にするか」の競い合いになる。その結果として生まれるのが、角栓ニュルッのような「無理やり振り向かせる表現」です。内容自体がいじれない場合には、ニュルッと広告枠のように「うっかり押させるトラップ」の方向にいく。
「画が不快」「位置が邪魔」だけではありません。例えばYouTubeで差しはさまれる「浮気夫に馬鹿にされた妻が商品を使って美しくなり…」のような動画広告。「今のあなたはヤバい。すぐ何とかしなければ嫌われる、損をする」と脅してくる。これらは男女年齢問わず、時に直截的に、時に優しく婉曲的に私たちを呪いにかけてゆきます。そのままでいるな。ありのままはダメ。何とかして変われ!と。

例えばマナーや法律違反などに対する「それはダメですよ」ならまだ分かります。でも商品やサービスの特性をアピールするために、誰かを騙したり貶めたり脅かしたりする必要って本当にあるのでしょうか。そういうのが商品や広告の本質…?違いますよね。
お客さまに何かを届けることの出発地点って、ちょっと青くさいけど「それを知ること使うことで悩みを解決したり、今より少しだけ幸せになったりして欲しい」ではないでしょうか。CTRやPVが伸びずに苦しんでいても、売上が厳しくても、その出発点だけはいつも忘れちゃいけないと思うのです。

★意中の人に、自分たちしかできないことを
ではどうしたらいいのか。愚直だけど、結局「アイデアを出しまくる」しかないと私は思うのです。意中の相手を振り向かせ、こちらに関心を持たせたいと思った時に、暗闇からワッと脅かしてみたりうまく言いくるめて連れ込んだりする人はいません(そんなことしたら嫌われます…でもネットだとやっちゃうんですよ)。
自分(商品やサービス)の魅力を押し付けがましくなく伝えるには、相手の心がふと惹きつけられるには、どうしたらいいのか。何か自分たちにしかできない、響く表現や方法はないだろうか。
小さなネット広告でもごく普通の商品ページでも、その入り口にこそ自分たちらしさや愛情を込めて知恵を絞るのが大事です。「とにかく数字をとる」「数を稼げればどんな方法でもいい」という姿勢の前にまず、「大切な誰かに大切なものをきちんと見てもらう」…そんな基本に立ち返ってみると、意外な活路が見つかるかもしれませんよ。

JECCICA客員講師

コピーライター 近藤あゆみ

Lamp 代表
博報堂コピーライターから(株)ネットプライス・クリエイティブディレクターを経てフリーに。企業のMMVやネーミング、サイトディレクションなど手がける。恋愛コラムやブログも人気を博す。


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