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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol㉜ 「仮想空間と疑似体験」ができるアバターの魅力とユニークなビジネス

DXはテクノロジーで人間の夢を形にすること
コロナ禍で、私たちの暮らしや世の中が大きく変わりました。そんな中で、新たなビジネスが続々と誕生しています。中でもやはり「サイエンス&テクノロジー」関連事業は大きく成長し、ビジネスのキーワードは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と言われています。

ABS世代は、私も含めてアナログ人間が多く、デジタルと聞くだけで苦手意識を持ちがちですが、DXとは「人間の生活を幸せにするため、デジタル技術を活用して、既存の価値感や固定観念を覆すような革新的イノベーションを起こすこと」と言われています。シンプルにいえば、「人間の感性とテクノロジーが融合することで夢を形にする」ことでしょう。

「あつまれどうぶつの森」は人間の基本欲求を満たすDX
例えば「アバター(ネットワーク上の仮想空間の分身)」を使ったビジネスもその一つ。任天堂のゲームソフト「あつまれどうぶつの森」は世界的ヒット商品で、巣ごもり需要へのマッチもありますが、あの無人島で人間の基本欲求である「帰属欲求⇒承認欲求⇒自己実現欲求」が満たされるユートピアを創れる部分に、現実のストレス社会の「不の字(ニーズ)」が満たされているところが最大のヒット要因です。

ゲームとアバターの親和性は従来から認識されていましたが、コロナ禍ではさまざまな業種がアバタービジネスに参入しています。

加速するアバタービジネス
例えばファッションです。ラグジュアリーブランドの「グッチ(GUCCI)」は、2018年から提携しているアバター開発スタートアップベンチャー企業のジーニーズと契約を拡大して、ユーザーが「グッチ」のアプリ内でオリジナル3Dアバターを作成できるようになったことを発表しました。

これに伴い、同ブランドは3Dアバター用のアイテムを販売し、今はグッチ商品を購入できない若年層も、アバターを通じてブランドの世界観に触れることで、将来的な顧客育成を図ろうとしています。

また今はコロナ禍の影響によって実店舗の顧客サービスが提供しにくいので、デジタルの世界でユニークな買い物体験を提供しています。

意外な業種も参入しています。ANAホールディングスは、航空業界の大手寡占化の傾向、及びエアラインを実際に利用している人は、世界人口の僅か6%程度に過ぎないことをむしろ肯定的に捉え、行きたい場所に人が「仮想瞬間移動」するサービスを、「ANA AVATAR VISION」と名付けて、民間企業や自治体とアライアンスも組みながらスタートしました。

この試みのポイントは「感覚や意識を瞬間移動すること」にあります。例えば釣り具メーカーのシマノや、大分県の海上釣り堀の運営会社などと協働で開発中の「ANA AVATAR FISHING」は、釣り竿やリールに力触覚センサーを搭載。そうすることで釣り堀の竿に魚がかかると、魚の引きの強さを手元の竿やリールにフィードバックさせて、利用者は遠隔地にいながら、竿が持っていかれるリアルな感覚を体験出来るのです。

アバターを使ったライフシフト時代の提案企画
通常アバターは親しみやすいように、マンガ風のイラストや絵柄のキャラクター等が用いられることが多いのですが、必ずしも今の自分の姿を模したものが利用されるとは限りません。年齢や性別など自分と異なるアバターを選択し、その人物になりきって、「〇〇ごっこ」のようなコミュニケーションを楽しむ人々が多数います。

人生100年時代、50代を過ぎてから生きがいのある暮らしを行うため「セカンドライフプランニング」を設計しようとか、職場や自宅とは異なる心地よいコミュニティとして「サード・プレイス」を持とうとか、ライフスタイルの発信や提唱をよく目にします。

しかし年齢からくる経験値と表裏一体で、固定観念も形成されます。特に男性の場合は、「プライドや照れ」が、どうしても新たな行動の妨げになります。そもそも「ライフシフト」とか「人生100年時代」と掛け声を聞くだけで、考え方は分かったとしても、我々は「何を、どうすれば良いのか?」、具体的手法や手順など「人類に前例がない」ため分からないし、ライフシフト時代に人間が「ドキドキ・ワクワク・ハッピー」を形成するソリューションを図るようなモノ・コト自体が市場に存在しません。

そこでこうした「不の字(ニーズ)」を解決するため、仮想空間と疑似体験が可能なアバターを使うことで、ABS世代をはじめとする次世代シニア層に対して、新たな気づきを得るSNSを軸とした、様々なモノやコトをECで販売するユニークなビジネスを考えてみました。タイトルは「あつまれおとなの放課後!」です。

学生時代へと想いをタイムスリップする
学生時代に、放課後のクラブ活動や部室、サークル仲間との寄り道などは楽しいコミュニティでした。あの時の気持ちと気分を思い起して、仲間とワイワイ、ガヤガヤ楽しめる時間と空間を提供するSNSを展開します。

この「あつまれおとなの放課後!」は、あらゆるテーマ設定のもとに部室がある、まさに大人の部活動。同じ興味関心があるテーマのもとに自分のアバターが入り、コミュニティを形成します。そこで意見交換や情報交換を通じて、新たな自分を発見することが出来るのです。

面白さのキーワードは、先ほどお話ししたアバターを介しての「〇〇ごっこ」遊びです。今となってはリアルでいきなり出来ない、無邪気な行動を仮想空間で疑似体験し、童心に帰ることで、自分自身を再発見したり、やりたかったことを思い起こし、これからの人生のモチベーションアップ、「やる気スイッチ」が入るのです。

この仮想空間のドキドキ・ワクワク感は、セロトニンやオキシトシンといった「ハッピーホルモン」が分泌され、脳や細胞の活性化から老化の進行を遅らせることも期待出来そうです。

SNS上で「サード・プレイス」を発見させ「ECでソリューション」を図る
SNSは振り返ると、2004年に国内の先がけであった「mixi:ミクシィ」は、どこか牧歌的雰囲気が漂い、居心地が良かった印象がありました。ミクシィの中でさまざまなテーマのクラブ活動があり、私も参加したり自身で立ち上げたり、オフ会にも行きました。

ミクシィは最初友人の招待がないと入れなかったので、誰でも勝手には入れない安心感もあったような気がします。仕組みも簡単で、私も当時は「マイミク(ミクシィの友達)」とパソコンで対話して遊んでいました。

あのような、ほのぼのと緩い放課後のコミュニティを思わせ、使い方も簡単なオンラインの仮想空間に自分のアバターが入り、「サード・プレイス」を持つわけです。

こうした体験を経ることで、例えば復活ディスコも、いきなり行くのは抵抗があっても、「アバター」からオンラインスタートであれば照れもなくなり、いずれオフ会でリアルデビューも出来そうです。

また男性の場合は承認欲求が強くても内向的タイプは多く、特定テーマの楽しみや趣味の披露など積極的に投稿を行いますから、インフルエンサーとしてABS世代に向けたバズマーケティング(SNSの口コミ)も可能です。
そして「サード・プレイス」で新たな自分自身を発見した後のソリューションとして、「後半戦の人生をワクワクさせるモノやコト」をECに繋げて販売します。

人間の感性を生かしたDXを!
このようなアイデアが具現化出来るのも、テクノロジーの進化がなせる業です。私が昨今提唱している「人間の直感・感性・感情」がもっと生かせる時代に突入したといえます。
平成の約30年間は、あまりにも「論理(左脳)」優先でビジネスが行われ、世の中がつまらなくなってきたと個人的に痛感しています。

サイエンスとテクノロジーの進化は日進月歩です。昔では考えられなかったようなモノ・コトを通じた私たちの生活がDXで可能な時代になりました。

それを最大限に生かす主役は人間です。「あんなコトいいな、出来たらいいな!」の歌のフレーズと一緒で、人間の発想を形に変えてくれるDXは、「夢を形に叶えてくれる、ドラえもんのポケット」みたいに思える今日この頃です。

ABS世代
昭和30(1955)年から43(68)年生まれで現在51歳から65歳の、若者時代にバブルを謳歌した世代。

えとき
アバターを介して童心に戻れば、再び新たな大人のスタートが出来る!

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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