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顧客接点に、売上アップのヒントがある──AIとLINEが変える「また買いたくなる」体験

1. 顧客接点は、コストではなく売上の入口である

これまで顧客接点は、どちらかと言えば「対応する場所」と見られてきました。問い合わせが来たら答える。クレームが来たら処理する。注文が入ったら受ける。つまり、事業の中心というより、事業の後ろ側にある仕事だと思われていたわけです。

しかし、デジタルの進化によって、その見え方が大きく変わり始めています。

先日、僕はチャネルトークが主催するイベント「CHANNELCON 26」で、AI時代のカスタマーサポートについて話を聞く機会がありました。また別の日には、LINEヤフーのイベントをきっかけに、飲食店を運営する國屋の禰宜田賢二氏へ話を伺いました。

一見すると、ECと飲食店。まったく異なる世界の話です。ところが、その二つを並べてみると、同じことを語っているように思えたのです。

顧客と接する瞬間には、売上を伸ばすヒントが眠っている。

2. AIが問い合わせを減らすほど、人は顧客を深く見られる

AIの導入というと、多くの企業は効率化を思い浮かべます。問い合わせ件数を減らす。対応時間を短くする。人の負担を軽くする。それ自体は間違いではありません。チャネルトークのAIエージェント「ALF」も、商品スペックや取引ステータス確認のような問い合わせを自動で処理し、スニダンでは月間数万件規模の問い合わせのうち、大きな割合を解決しています。

けれど、面白いのはその先です。スニーカーダンク(スニダン)は、AIによる自動化を単なる削減策として終わらせていません。むしろ、CSがプロダクト改善やロジスティクス、鑑定、管理画面の改善に踏み込む時間を生み出しています。

つまり、AIが処理を担うことで、人は「なぜこの問い合わせが生まれたのか」を考える側へ移れるわけです。

これは國屋のモバイルオーダーの話とも重なります。注文をスマホで完結できるようにするのは、店員を減らすためだけではありません。「すみません」と呼ばなくても注文できる状態を作り、その分、スタッフがお客様の表情や会話、記念日、好みに気づけるようにする。ここに本当の価値があります。

AIやデジタルは、人の仕事を奪うためにあるのではありません。人が人らしく顧客を見るための余白を作る。その余白にこそ、売上アップのヒントがあるのです。

3. 「忘れられる」を「思い出される」に変える仕組み

また、顧客接点を考える上で、リアル店舗の難しさは、体験がその場で終わってしまうことにありました。どれだけ美味しい料理を出しても、どれだけ丁寧に接客しても、お客様が店を出た瞬間から記憶は薄れていきます。

「楽しかった」「美味しかった」という感情は残っても、なぜ良かったのか、誰が作ったのか、どんな背景があったのかまでは忘れられやすいのです。

そこでLINEのような接点が意味を持ちます。

LINE公式アカウントやミニアプリ、モバイルオーダーは、来店後もお客様とつながり続けるための受け皿になります。後日、「あの時のお酒」や「季節の食材」「生産者の話」を届けられれば、一度の来店体験が、次の来店理由に変わります。

これはECやCSの世界でも同じです。問い合わせを受けて終わりではなく、その会話からお客様の背景を知る。

例えば、寝具を売るコアラ.JPも商品だけではなく、結婚や出産の話をきっかけに花束やおむつケーキを贈ると言われており、それは、まさに顧客接点を記憶に変えているからです。

売上は、ただ商品を見せれば上がるわけではありません。思い出される理由があるから、また選ばれる。顧客接点とは、その記憶を作り直す場所でもあるのです。

4. 顧客の声は、商品にも接客にも変わる

さらに、顧客接点が重要なのは、そこに商品開発や体験改善の種があるからです。

コアラの「コアラフトン OASIS」は、顧客の声から生まれた商品でした。収納しやすいものが欲しい。持ち運びしやすいものが欲しい。畳でも使いやすいものが欲しい。そうした声が、日本の暮らしに合った商品設計へつながっています。

スニダンの「預かり品一覧」も同じです。返送や再出品の判断がしづらいという声を、単なる問い合わせとして処理せず、データ化し、プロダクト改善へつなげました。ここではCSが、顧客の代理人として事業を動かしています。

國屋の場合は、顧客の声だけでなく、生産者の声も接点の中に含まれています。100社以上の生産者や業者と直接つながり、食材の背景を語る。

そのうえで、来店したお客様にどう伝えれば価値が届くのかを考える。ここでは飲食店そのものが、商品と人の物語を編集するメディアになっています。

つまり顧客接点は、単なる反応の場ではありません。商品を磨き、接客を磨き、事業の方向性を見直す場所です。売上アップのヒントは、会議室よりも現場の会話にあるのかもしれません。

CSも飲食店も、同じ方向へ向かっています。顧客接点を消すのではなく、磨く。対応を終わらせるのではなく、理解を始める。そう考えると、売上アップのヒントは、もっと広告を打つことだけではありません。目の前のお客様と、どうつながり続けるか。その設計にこそ、次の成長エンジンがあるのです。

今日はこの辺で。

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理事

石郷 学

(株)team145 代表取締役

ファンシー雑貨の業界紙ライター出身、ネット通販向け商材の問屋で企画営業や商品開発にも携わる。自らの企画の持ち味を生かし、ECのミカタ編集長を担う。2019年(株)team145を設立。

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石郷 学

(株)team145 代表取締役

ファンシー雑貨の業界紙ライター出身、ネット通販向け商材の問屋で企画営業や商品開発にも携わる。自らの企画の持ち味を生かし、ECのミカタ編集長を担う。2019年(株)team145を設立。

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