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「伝える」と「伝わる」のあいだにVol.35 AIへの驚嘆、そして負け犬の遠吠え

先日、JECCICAのセミナーでAIについての講演を聴いた。
「文字書きとってAIは敵ッ」くらいの雑な感覚でいた私なので、「ビジネスにいかに有益か」というテーマが前面に出ていたらおそらく聴かなかったと思う。でもスピーカーの方が「小学生の時に起業し教育周縁でAIを広める14歳」と「大病を患い言語を失ったがAIと対話することで言葉を取り戻した」というお二方だったので、大変おもしろく聴いたのであった。
低年齢・高年齢であろうが、病を得ようが障害があろうが、「社会をスムーズに生きられている大人」以外の人たちにとってAIが光明になったり相棒になったりする可能性を感じて、ものすごくワクワクした。
(詳細内容レポはここではしません、ごめんなさい)

コピーワークをし、サイトやLPをディレクションする私の仕事は「早晩AIに取って替わられる」とよく言われる。言われるが、私個人は「自分の言葉はAIにも作れる」とは全く思っていない。実際AIで試したことがあるが、案出しを広げるのには役立っても「ない言葉を作る」のは無理だった。
なので自負はあれど、クライアントがもし、きれいに整ったそれっぽい言葉でいいと思うなら、いくら私が「深謀遠慮します」と言っても依頼はされないだろう。そういう意味では恐ろしいなとは思っている。

そんな私が今回、AIをバリバリ使いこなしている方々のお話を聴いて印象的だったことを挙げてみる。

★むしろ対人スキルと同じ?(かも)
ひとつは「情緒」
お二人とも「AIは一発で完璧な何かは出てこない。何度も対話を深めることでブラッシュアップし、望むものに近づけていく」と言っていた。その過程でAIの出したものが悪くないと思えば「それいいね!」「ありがとう」とこまめに言ってあげる。違うなら「それは好きじゃない」など素直に伝える。そうするといいものになっていくとのこと。

デジタルとの対話にも情緒が関わってくるのが面白い。まず人間の方が「人らしさ」「体温」「気くばり」みたいなものを差し出し、それがAIに効いてくるのか。まさに人づきあいのようだ。

二つめは「言葉」
講演してくれたお二方とも目的が明確で、より「伝わる」ためにAIと試行錯誤する手間をいとわない人であった。
でもほとんどの人(AI初心者)は「上手なプロンプトの方法」、つまり「自分の目的や思いを明確に言語化し、伝わりやすい言葉にして投げる」のはなかなか難しいのではないだろうか。もちろん繰り返し使っていくうちに習得していくのだろうけど、「言外のもの」はどうするんだろう?と思ったりする。

人間らしい情緒や温かみを大切にすること、言葉にしづらいものをきちんと言葉にすること。諦めず丁寧に対話を繰り返すこと。AIに対してこれらが重要であるのはとても興味深いし、同時に「使いこなしが大変だな…」とも思う。

そしてこれはまさに私が仕事でやっていることだったりする。
私はオンラインではなく必ず生身のクライアントと対話するのだが、その時に彼らが発するキーワード以外に大事なものがある。雑談や立ち振る舞い、過去インタビューから感じ取れる「空気」のようなもの。その人が無意識のうちに発している「真意」や「主義」のようなもの。これはさすがにAIにはキャッチできまい。でも人間である私は、それを汲み取り、ヒントにすることができるのだ(マウント…?)。
言葉にしづらいもの。クライアント自身も気づいていない大事なもの。それを深掘りして汲んでいくことこそが人間の作るコピーワークやデザインの価値であろう。

★真逆のものが光を浴びる?(かも)
さらに、「AIで簡単にこんなものが作れます」の実演を見て「うおお!すご!」と驚きながら、稲妻のように脳裏に浮かんだことがある。これは全く根拠も論拠もないただの直感なのでおまけ程度に読んでほしい。

それは「アナログ回帰」
何もかもがAIでスマートにできるようになり、美しいものが瞬時に整うようになり、さらにこの先もっと普及してゆくならば、人は「AIができないもの」に愛着を持つ流れが生まれたりしないだろうか…?

手で文字を綴ること。絵を描くこと。紙の手ざわり。絵の具が乾いたあとの盛り上がりやうねり。不ぞろいの文字。美しくなさ。汚れがあるもの。法則性もなく、過去に似たものもないもの。うっかりはみ出したもの。スペクタクルも大きな劇的な展開もない、市井の誰かの一日を書いた日記。木を彫ること。土や砂。葉っぱ。抜け、落ち、まとまりのなさ、狂い。

そんなものが今より人々の関心や人気を集めるようになるかもしれない。そうなったら面白いのにな…と思うアナログ派の私である。

AIど素人が講演を聴きながらつれづれに書いたのでオチも結論もない。でももし「AIを使ってみたけどいまいちいいものが出ない」「うまいこと言語化できない」という企業の方がいらっしゃいましたらぜひご連絡を。いま一度、人間(私)による言葉づくりを試してみるのもいいかもしれません。

JECCICA客員講師

コピーライター 近藤あゆみ

Lamp 代表
博報堂コピーライターから(株)ネットプライス・クリエイティブディレクターを経てフリーに。企業のMMVやネーミング、サイトディレクションなど手がける。恋愛コラムやブログも人気を博す。


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