Amazon 越境販売について
JECCICA特別講師 松橋 正一
国内消費市場が縮小することが懸念されている中、「越境EC市場」が注目されています。
「Amazon.comに出品して米国で販売したい」という声をよく聞くようになりました。
「越境EC」を手軽にスタートさせるにはAmazonが手軽と考えるのも不思議ではありません。
海外に向けて、Amazonで販売するには大きく分けて二通りの方法があります。
⑴ amazon.co.jpに出品して海外から注文を受ける。
⑵ amazon.comなどAmazonグローバルセリングに出品する。
amazon.co.jpに出品している出品者なら簡単に海外からの注文を受けられます。
しかし、amazon.co.jpで注文する購入者は、海外に在住し日本語サイトを理解できる日本人や日本で暮らした経験のある人などに限られています。
広く「made in Japan」を求める方々に購入の機会を与えることはできません。
一方、amazon.comなどに出品する場合、乗り越えなければならない「言語の壁」があります。
その他、自ら出品者が現地法人や管理事業所を設立するのであれば問題ありませんが、返品の場合の返品先を確保するなど米国に所在する代行業者に依頼しないといけないケースもあります。
しかし、amazon.comを閲覧し、「made in Japan」を求める市場規模の大きさは魅力的です。
「amazon.co.jpで海外注文を受ける」、「amazon.comに出品する」二つの方法について、その特徴と方法を具体的に説明します。
amazon.co.jpで海外注文を受ける
海外から注文を受けるのは簡単に設定できます。
amazon.co.jpで「フルフィルメント by Amazon」利用での海外向け配送はできません。
通常、日本国内の「配送対応地域および配送所要日数と配送料」を設定しておき、「10,000円以上送料無料」のように配送料は購入金額制とすることが多いですが、EMS利用などの海外配送ではサイズや重量で大きく運賃が異なり、複数商品や複数個数の注文では、採算の合わないものになってしまいます。
と言って国内配送は購入金額制、海外配送は個数従量制という訳にはいきません。
それらの問題を解消するには、配送料上書きファイルで国外配送料を追加課金する方法があります。
<配送設定>
〔設定〕-〔配送設定〕で〔配送対応地域および配送所要日数〕を選択し配送料を設定します。海外発送を有効にすると、出品しているすべての商品が海外発送の対象となりますので、必ず以下の配送料の上書きファイルで商品(sku)ごとに海外発送の設定を行います。
<配送料上書きファイルの設定>
各sku別に配送可能地域を設定できます。国内13地域の他、海外8地域が設定可能です。
- アジア・オセアニア(標準):Std JP Asia SS
- アジア・オセアニア(エクスプレス便):Exp JP Asia SS
- 北米(標準):Std JP NA SS
- 北米(エクスプレス便):Exp JP NA SS
- ヨーロッパ(標準):Std JP Euro SS
- ヨーロッパ(エクスプレス便):Exp JP Euro SS
- それ以外の国(標準):Std JP ROW SS
- それ以外の国(エクスプレス便):Exp JP ROW SS
各地域毎に、海外配送対象外とする場合は、配送不可設定「true」を入力。次に各商品(sku)毎に配送料に日本円で入力し、変更タイプに、
- 現在の配送料設定をこの料金に置き換える「Exclusive」
- 現在の配送料設定に、この料金を上乗せされる「Additive」
を入力します。
この「配送料上書きファイル」をアップロードすることで商品別に国外配送料を追加課金することができます。
購入者に表示される出品者プロフィールには以下を必ず英語と日本語で記載しなくてはなりません。
- 配送料:関税、消費税を含んだ価格になっているかどうか。
- 配送ポリシー:配送設定には、関税の取り扱いについても情報を追加。
- 特定商取引法の内容を記載。
後は、海外から注文が入ったら、海外の注文者に直接EMSなどで商品をお届けするだけです。
amazon.comに出品する
米国向けamazon.com に出品するには、Amazonグローバルセリングに申し込み、amazon.co.jp アカウント状況を審査してもらいます。
amazon.co.jp アカウント状況によっては、amazon.com の出品を断わられる場合があります。
<Amazonグローバルセリングサポート内容>
- amazon.comでの正しい販売方法のご案内(出品規約・スタイルガイドの理解)
- amazon.comの各種機能の活用方法の紹介
- 米国販売の成功事例の紹介など
- 販売開始後の売上拡大のための情報提供
<Amazonグローバルセリングサポートの条件>
- amazon.com でまだ販売をスタートしていない出品者
- amazon.comの大口出品アカウント(月額ご利用料: $39.99)新規登録
- 初回出品商品として、まずは40種類以上の商品を準備できる出品者 (オリジナル商品出品の場合、少数出品可能)
<申し込み問い合わせフォーム>
jp2us-banner@amazon.co.jp
件名:米国amazon.com販売希望
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- amazon.co.jpでの出品者名:
- 担当者名前:
- 電話番号:
- メールアドレス:
- ご質問 / ご相談内容:
- 電話連絡の希望日時(複数候補、月曜~金曜の9時~18時):
- 販売開始希望日:
- 販売希望商品カテゴリー:
- 販売できる商品数:
——————————————–
無事に審査に通り、amazon.com アカウントを取得した場合、amazon.com セラーセントラルログイン情報でログインできますが、amazon.co.jp セラーセントラル管理画面とレイアウトが似ていますので、英語が苦手な方でも容易に出品に関する設定ができると思います。
<直接のお問い合わせ先>
アマゾンジャパン株式会社 Amazon Global Selling
〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-8-1 ARCO TOWER
Tel: 03-6367-2249 E-mail: erisuzu@amazon.co.jp
次に、amazon.com アカウント取得後の出品商品の流れを説明します。
<日本から注文者までの商品の流れ>
- 出品者が日本から直接、注文者に配送。
- 出品者が日本から直接、US Amazon FBA FCに納品、注文者にFBA配送。
- USに返品先倉庫を持つ代行業者が、日本から直接、注文者に配送。
- USに返品先倉庫を持つ代行業者が、日本からUS Amazon FBA FCに納品。
- 出品者が日本から直接、USの代行業者に送り注文者に配送。
- 出品者が日本から直接、USの代行業者に送りUS Amazon FBA FCに納品。
※ 1)、2)はUS内の返品先を指定する必要があります。
※ それぞれ方法によって出品者の手間と代行サービス料金が異なります。
参考までに、代行サービス会社を紹介しますが、代行サービス会社との契約、お取引に関するトラブルは自らの責任でご対応ください。
筆者は責任を負えませんので予めご了承ください。
アラウンド・ザ・ワールド株式会社
http://www.ashmart.com/
〔日本本社所在地〕
〒104-0041 東京都中央区新富1-15-3 新富ミハマビル8階
Tel: 03-5542-0411
〔連絡先電話番号〕 Tel: 03-6868-5993
「越境EC」ハードルが高く感じるかも知れませんが、意外と案ずるより産むが易しではないでしょうか?
是非、思い切って前進してみてください。
JECCICA NEWS Vol.35 掲載
JECCICA特別講師 松橋 正一
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。