2024年 年頭所感 宮松利博
新年を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。旧年中は格別のご厚情に預かり、心より御礼申し上げます。
早速ですが、「それは自分が本当にやりたいことか?」かつてスティーブ・ジョブスはそう唱えました。ところが、厳しいリソースでの目標達成には避けられないムダも多く理想ばかり言ってられません。
そんな2023年のビジネスマンに衝撃を与えたのが「コードインタープリタ」の登場ではないでしょうか。ChatGPTの公式プラグインで、最新の名称は、Advanced data analysisです。例えば日々の分析業務、いつもならGoogleアナリティクスからダウンロードした数万行のデータを目の前に傾向値を読みとり、課題と対策を立て社内外へ指示書を作成する。ときにはパワポで伝わりやすいレイアウトに整形もする。ところが自分の1日を振り返った時、イメージ通りのグラフにするまで手間がかかっていたり「この作業、自分がやりたい事なのか?」と嘆きたくなる事しばしばでした。
ところがコードインタープリタなら「これらのデータから課題を3つ見つけて、パワポに対策表とグラフをまとめて。」と指示するだけです。また、zoom会議中にひらめいた追加資料をその場でコードインタープリタにササッと作成させるなど、いわば自分のデジタルクローンを手に入れたも同然の快適さ。問題は、簡単に誰でも使えない、という点で特にセキュリティ周りは面倒です。そこに「エクセルをお使いなら、どなたでも簡単、安全に使えますよ」と2023年11月に鳴物入りで世に放たれたのがマイクロソフトの「オフィス365コパイロット」です。まだどの企業でもすぐに使える状態にはありませんが、2024年は「オフィス365コパイロット」により、多くのECの現場で時短・品質向上、笑顔増殖、と明るいオフィスが期待できることでしょう。
と、そんな近未来を体験してしまうと、自分のコピー、デジタルクローンに働かせられないか、と欲が出てきます。私が専務理事を務める日本イーコマース学会でも、各研究チームが実験結果を報告しており、特に2023年は「デジタルクローンによる能力拡張」とうキーワードは刺激的でした。例えば、メタバース上の自分のアバターは自分が眠っていても半自動的にメタバース内で活動します。このアバター(デジタルクローン)にメタバース内でフランス留学してもらい、得られたスキルや記憶をアバター主の脳に記憶としてインストールする「ブレインマシーンインターフェース(BMI)」という手法を用いれば、能力の拡張が可能となる、といったSF映画のようなお話です。
既にその研究所では一部は実現可能となっているのことで、デジタルクローン、すでにもう準備をしておいて遅くない段階にあります。まず簡単に体感できるおすすめの準備方法は「自分の声のコピーを作っておく」です。コエステーションというアプリなら、1時間ほど学習させることで、色々なシーンに使えるほぼ自分のデジタル音声が完成するので、ご興味のある方はぜひデジタルクローン時代を体感されてみてください。
急速なAIの進化により、ハハハまさか・・・の世界が徐々に私たちの現実を変えて行こうとしています。まずはその善し悪しなどはさて置き、体験することで自分達のビジネスならどう活用できるのか、2024年も積極的にトライしてまいる所存です。
JECCICA客員講師 宮松 利博
得意分野/Eコマースの立ち上げ・販売拡大
1998年に公開したフリーウェアがヒット。その知見で開発した商品が大手ECコンテストで12部門受賞、3年で年商20億円に(現ライザップ)。上場と同時に保有株を売却し、ECコンサルティング会社を立ちあげ、業界No.1クライアントを多数抱える。日本イーコマース学会専務理事。
RIZAPグループ社創業時の商品開発とマーケティングを手がけ3年で年商20億円に成長、上場と同時に保有株を売却し、Webコンサルティング株式会社ISSUNを設立。日本イーコマース学会を立ち上げ、産官学連携にも取り組む。