Walmartの最近の動向
WalmartはAmazonとの競業において、さまざまな施策を計画、実施していることは今までも何度かご紹介しておりますが、現在計画中の一つとして、Amazon Primeと類似したメンバー制の
プログラムがあります。現在、Walmartは月額13ドル(もしくは年間98ドル)で食料品を無制限に配達する”Delivery Unlimitedサービス”を提供していますが、その拡張版として”Walmart+”と呼ばれる新しいプログラムを提供することを発表しております。
Walmart+は、Amazon Primeと同様、あらゆる種類の限定セールや割引へのアクセスに加え、
処方薬の特別割引や、特定のガソリンスタンドでのガソリン割引など、Amazonが提供していない特典も提供する予定でいます。さらに、Walmart店内での買物では、チェックアウトプロセス
の迅速化を目的とした新しいスキャン&ゴーチェックアウトサービスも利用できるようになるようです。また、Walmartにおける食料品部門の強さを生かし、はるかに安い価格の食料品を無
料で配達することによりAmazonとのより一層の差別化を図ろうとしており、また、まだ噂の段階ではありますが、Walmartにテキストで注文し、数時間以内に食料品を配達するサービスも検討しているようです。
こちらのAmazon Primeは、配送面での優遇に加え、映画、テレビ番組、Amazonオリジナルの映画などの無制限ストリーミングのPrime Videoや、200万曲以上の音楽へのアクセス可能なPrime Musicなど多くの特典もあり、メンバーになった1年後には93パーセントが継続支払いをしていることからメンバーの定着率はかなり高いと言えます。Walmartがこれらに対抗できるサービスの提供の可否が、Walmart+の成功につながるのではないかと思われます。
Walmartにおける次なる施策として、Eコマースマーケットプレイスにおける顧客の信頼を築くことがあり、そのため100万を超える企業で使用されているオールインワンのコマースプラット
フォームであるShopifyと提携し、Walmartマーケットプレイスを公開しています。Shopifyとの統合は、その品揃えからWalmartのEコマースを補完し、顧客に対しより幅広い品揃えを提供できます。今年中に1,200のShopifyセラーを追加する予定とのことです。
ところで、Walmartの真の強みは実店舗の存在であります。その実店舗では、以前ご紹介したマイクロフルフィルメントセンターや倉庫におけるピックアップロボットに加え、次のような新しい取り組みもされています。
店内における各アイテムの在庫状況や、商品が棚の正しい場所におかれているかどうかを確認するには、スタッフによる見回りチェックが必要ですが、Walmartでは下のイメージにあるよう
な棚の商品確認ができる自立走行のセルフスキャンロボットを導入し、これらの作業を行っています。アイテムの在庫がない場合は、ハンドヘルドデバイスを介して従業員に警告する仕組
みになっています。今まで全アイテムの在庫確認に2週間かかっていたようですが、このセルフスキャンロボットの導入により1日2回の確認が実現できるようになり、これにより在庫切れに
よる販売機会損失の防止や、在庫状況のスタッフへの問い合わせが減少できています。
現在350台が配置され、今年中に1,000台まで増強する予定とのことです。
Walmartでは、他にも床を掃除したり、トラックから商品をおろしたりするロボットなども導入しています。ちなみに、
Amazon傘下のWhole Foods Market店舗内では、オンライン注文の商品をピッキングしているスタッフを見かけますが、取り扱いアイテム数や店舗面積を考慮すると、
Whold Foods Marketは人手でも十分と言えそうです。
(Walmartのウェブサイトより抜粋)
JECCICA客員講師 渡辺泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。