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ECショップの栄枯盛衰を目の当たりにしているこの頃

毎年のことながら、しかし今年はとりわけ「観測史上初」「過去最多記録」などの文字で暑さや台風の威力が更新されていますが、それでもめげずに頑張って生きていかなければならないのは人間の業というものでしょうか。

などと悟りを開いたような書き方で始めたのには、ここ最近、ECショップの栄枯盛衰を目の当たりにしているからです。
私共では、各ECカートサービスや独自ECショップから配信されるメールを届きやすくするためのお手伝いをしているのですが、利用されるお客様の顔ぶれが2022年秋冬から2023年8月にかけて大きく変化してきている事実に少し驚いています。

いままで、私共のサービスをショップ様が解約されるときの理由としては、「売り上げが伸びており、大規模カートに乗り換えることになった」という話がほとんどであったため、めでたいことだと船出を祝う気持ち(でも本当は寂しい気持ち)で解約手続きを行っていました。

しかしながら2022年末ごろから「1年やってみたけど、なんかイマイチなのでECは閉店する」という理由を耳にすることが増えてきたのです。たぶん業界全体でみれば珍しい話ではないでしょうが、私共の周りでは「ECショップを閉めるのは、始めるのより大変だ」という通説みたいなものがあって、一時的に経営が困難でも続けて改善策をとる方が多かったのでかなり驚きました。

振り返ってみると、2021・2022年はECショップ開業に関する相談がとても多く、内容としてはほぼ個人のかたで、扱う商材も1種類のみ!という潔いショップすらありました。背景としては皆様もご想像の通り、既存路面店を経営しているがコロナの影響で来客もないし店員も確保できないのでECへ販路を伸ばすことにした、というものがほとんどでした。

それまでもECへの興味はあったけれど、専門的な知識もないし、始めるのはお金がかかるらしいし、、、という壁を、コロナが一気に「背に腹はかえられない」という勢いをつけてくれたために、知識がないのは変わらないけど始めるぞ!とぶち破って開始されている感じでしょうか。とくに、無料ないし廉価に始められるカートやEC向けのサービスやCMSが一般に広まったことも大きかったとも思います。

そういった方が陥りやすいトラブルとして昔からよくあるのは、路面店とECでの商品在庫管理(各店舗に在庫があり、それをPOSで管理している場合等)トラブルで、各集計バッチ処理が回るタイミングを気にせずEC側でセールを開始してしまい、在庫数が合わなくなる等のあるある話でしたが、それらは次回以降のケーススタディとしてよい教材となるものだったと思います。

一方、2023年以降にご相談いただくトラブルは「商品が売れなくなった」という直截的な内容が主となりました。これはとても特徴的で、マスクや抗原検査キットを主として、2021年以降に始められたショップに多い話です。2023年以降サイト訪問数が激減している、または、定期購入登録者数が2021年の開業当時は一気に最大1,000アドレスちかくまで昇ったのにもかかわらず2023年5月にはほぼ一桁になったというショップもありました。

しかしながらコロナを機に開業したショップがみな苦戦しているかといえばそうではなく、自転車、キャンプ関連のショップでは2023年以降も売り上げを伸ばし、過去最高益になっているという報告も聞きます。マスク専門店として始めたショップでも、同じ仕入れルートで扱うDIY関連商品を取り扱うなどして元のカラーとは異なる方向性に進み、会員数を保っているという話も聞きます。

容易に始められるようになったECショップだからこそ、潮流を見てクローズの選択肢をあっさりと選ぶというショップも増えているのだと思いますが、自分のカラーを変えてでも一度つかんだ顧客を満足させ続けたいというショップもあり、今後ますます各ショップのビジネス指向性が顕著に出てくると思われ、とても興味深いところです。

この夏、暑さ関連商品に特化したECショップも開業されているようですので、まずはそれらの行き先を応援したいと思います。


JECCICA客員講師 酒井 愛子


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