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透明化法について知る(第5回)

透明化法 は、特定のECモール(amazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピング)を利用して商品を販売する事業者(以下「事業者」といいます。)とECモール提供者(アマゾン、楽天、ヤフー)との取引関係(出店契約など)を、より透明で公正なものにするために、ECモール提供者に一定の義務を課している法律です。
本コラムでは、読者の皆さまのビジネスに関係する透明化法について、わかりやすくQ&A形式で解説させていただきます。今回は、ECモールの透明性及び公正性についての評価について、よくある質問を交えてご説明します。
(過去のテーマ…第1回:透明化法について知るメリット・透明化法が規律している対象、第2回・第3回:ECモール提供者による情報開示、第4回:事業者との相互理解を促進するための体制整備)

Q ECモール(Amazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピング)の透明性及び公正性についての評価とは何ですか?

A 透明化法は、ECモール提供者(アマゾン、楽天、ヤフー)と事業者との間の取引関係を、より透明で公正なものにするために、ECモール提供者に対し、一定の情報を開示する義務や、事業者との相互理解を促進するための体制を整備する義務などを課しています。ECモール提供者は、それらの義務の履行状況等について、毎年度、経済産業大臣に対し、報告書を提出しなければなりません。そして、経済産業大臣は、報告書の内容等を踏まえ、ECモールの透明性及び公正性についての評価を行い、その結果を、報告書の概要とともに公表します。ECモール提供者は、評価の結果を踏まえ、ECモールの運営を改善する努力義務を負います。

独占禁止法に加えて透明化法が成立したからといって、事業者の懸念や不満がすべて解消するわけではありません。もちろん、優越的地位の濫用にあたる行為であれば、経済産業大臣による措置請求を受けて公正取引委員会が措置を講じることもあり得ます。他方、違法であるとはいえない課題について、どのように対処すべきかは、ECモール提供者の利益やビジネスモデルの尊重、創意工夫の促進、消費者保護の必要性などにも配慮して、継続的に検討する必要があります。そこで、透明化法に基づき毎年度実施される評価が重要な役割を果たすことになります。

Q ECモール(Amazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピング)の評価は、どのようなプロセスで実施されますか?

A 経済産業大臣によるECモールの評価は、有識者や利用事業者により構成されるモニタリング会合 における議論の結果を踏まえて行われます。筆者が携わった初年度(2021年度)の評価(2022年実施)について申し上げれば、まず、経済産業省が事務局となり、事業者から寄せられた声などを踏まえ、議論すべきトピック(課題) を抽出します。モニタリング会合では、当該課題について、ECモール提供者に対する質問を行ったり、双方向の議論ができるようヒアリングを行ったりして、ECモール提供者からも情報を収集します。これにより、モニタリング会合は、事業者側からの見え方だけではなく、ECモール提供者側から見た事実関係、考え方、関連する取組の状況などを理解することができます。また、それらの情報は、モニタリング会合の資料として可能な限り公表されています。

これにより、事業者とECモール提供者との相互理解を促進することも、モニタリング会合の重要な役割となっています。モニタリング会合は、これらの情報を踏まえ、課題の改善に向けて、ECモール提供者にどのような対応を期待するか議論し、意見をとりまとめます。そして、その意見を踏まえ、経済産業省において評価案が作成され、パブリックコメント手続を経て、評価が確定・公表されます。

2年目(2022年度)の評価(2023年実施)についても、基本的には同様のプロセスで評価が実施されています。また、2年目のモニタリング会合では、前年度の評価を踏まえたECモール提供者の取組についても確認されています。

Q 事業者の声は評価に反映されますか?どのように声を届けることができますか?

A 経済産業大臣による評価は、モニタリング会合の意見を踏まえて行われるところ、モニタリング会合で議論されるトピック(課題)を検討する際、事業者の声は重要な指標とされています。例えば、経済産業省が設置しているデジタルプラットフォーム取引相談窓口 に情報提供することで、問題が深刻である場合や同様の問題で困っている事業者が多くいる場合などには、モニタリング会合で議論され、評価に反映される可能性があります。また、別の方法としては、評価案に対するパブリックコメント手続の中で意見を表明することもできます。

1.特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上のに関する法律(2021年2月1日施行)を指します。
詳細は経済産業省のウェブページ(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digitalplatform/index.html)をご参照ください。

2.正式名称は「デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合」です。2023年度の構成員等はこちら(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_platform_monitoring/pdf/2023_001_01_00.pdf)をご参照ください。

3.初年度のモニタリング会合では、自社及び関係会社の優遇、アカウント停止措置の手続、返品、返金の取扱い、商品の表示順位の決定要素などについて議論されました。

4.モニタリング会合の資料はこちら(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_platform_monitoring/index.html)でご確認いただけます。

5.連絡先等については相談窓口のチラシ(https://www.online-mall.meti.go.jp/dl/flyer.pdf)をご参照ください。

JECCICA客員講師

弁護士 角田 美咲

長島・大野・常松法律事務所
2018年弁護士登録。企業のコンプライアンスや不祥事への対応を行っている。
経済産業省で透明化法の運用を担当(2021年4月~2022年12月)。


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