プログラミングなしでデータ加工
「データ編集スキルで効率的なEC運営」
「EC運営でデータ編集は必須スキル」を唱えて、10年以上になりますが、以前と異なりコンテンツ作りから受注処理、配送処理、広告管理など販売プロモーションまで全てのEC業務をこなすEC運営者は少なくなり、中には、「スタッフがやってくれるので私はわからないし、そんなスキルは必要ない。」と言う人もいます。しかし、店舗運営責任者や経営者として売上データなど経営データを解析する上でもデータ編集スキルは大いに役立ちます。
メーカーカタログなどからデータを整理またはメーカーからもらったデジタルデータファイルでECサイトを構築し、たくさんの商品をアップする。注文が入ったら注文データをダウンロードし受注管理ソフトで処理をする。商品を発送したら必要に応じて配送データをアップする。売上データを解析する。時にはお客さまのリストデータをメール配信サービスにアップしメールマガジンを配信する。などなど・・・
EC運営では、様々なシーンでデータ交換用のデータファイルを扱う機会が多くあります。データ交換用ファイルの代表的なものが「CSVファイル」と呼ばれるものですが「カンマ区切りファイル」などとも呼ばれます。
これらデータ交換用「CSVファイル」をデータ仕様(フォーマット)に従い編集するなど、データ仕様そのものを設計作成するスキルは、EC運営作業を飛躍的に効率化できますし、EC運営にとって必須スキルと言えます。
「CSVファイル」をインポートし、加工編集、エクスポートという具合にアプリケーションソフトを使う方法や処理工程を自動化するプログラミングする方法がありますが、それらツールやプログラミングのスキルを持たずしても簡単に処理する方法があります。
テキストエディタ「秀丸」を使った代表的なファイル「CSVファイル」の簡単な編集方法をご紹介します。データ編集のスキルを身につけて、EC運営やコンサルにお役立てください。
EC運営で主に使用するファイルは
テキストファイル(.txt)
タブ区切りテキストファイル(.tab)
カンマ区切りCSVファイル(.csv)
HTMLファイル(.html)
テキストファイル(.txt)は、最も基本的な文書ファイル形式です。文字データからのみ成り立つファイル形式です。文字入力の基本となるファイルである他、HTML言語、C言語やPerlなどのプログラムもテキストファイルで書くことが可能です。
テキストエディタ「秀丸」は、Windowsで動作するテキストエディタです。Windowsで標準のメモ帳で編集したファイル、プログラムのソースファイル編集や、メール編集、HTML編集などなど様々なテキストファイルを「秀丸」で編集することができます。また「秀丸」は、様々な機能を備えている便利なテキストエディタです。
「秀丸」は、ファイル内のワードを検索し、その検索ワードにマークする、ヒットした検索ワードにカーソルを移動する検索機能の他、特定のワードを別のワードに一括で置き換える置換機能があります。また自動処理操作を行うマクロ機能もあります。
「秀丸」のマクロ機能とは
「秀丸」上で動くプログラムのようなものです。一連の動作をひとまとめにする(改行を取るとか一括置換とか)同じ処理を繰り返すときなど便利な機能です。秀丸エディタの検索・置換・マクロ機能を使ってECで使用するデータファイルを簡単に加工編集することができます。
「秀丸」は多くの文字コードに対応
「秀丸」は、SHIFT-JIS、Unicode、EUC、JIS、UTF-8など数多くの文字コードをサポートしています。拡張子を変更して名前をつけることで、「タブ区切りファイル(.tab)」「カンマ区切りファイル(.csv)」「HTMLファイル(.html)」などのファイルとして保存できます。
「秀丸」を使った具体的なデータ編集の方法をご紹介します。
まず、これだけ覚えてください。
特殊な意味を持つ記号のことを メタキャラクタと呼びますが、次のメタキャラクタ「 \n 」の使い方を覚えてください。メタキャラクタ「 \n 」は「改行」を意味します。これを使うことで、多くのデータ編集が簡単にできます。テキストファイルで、
商品名
商品コード
商品名
と3行で書かれている場合、それぞれの行の最後にはメタキャラクタ「 \n 」がついていると思ってください。(テキストは見えませんが)メタキャラクタが見えるとすれば、以下のようになります。
商品名\n
商品コード\n
商品名
これを、 \n(改行) ⇒ , (カンマ)に置換すると、
商品名,商品コード,商品名
となり、これを拡張子(.csv)として名前をつけて保存すれば「カンマ区切りのCSVファイル」となります。モールの商品データ仕様の縦に並んだ項目をコピーし「秀丸」に貼り付け、前述の処理をすると簡単に商品データ仕様のサンプルが出来上がります。逆に , (カンマ) ⇒ \n(改行) に置換すると、項目を縦に並べることができます。
1000
2000
3000
これを、「 \n ⇒ 円\n 」に置換すると、
(改行有り)
1000円
2000円
3000円
となり、更に、「 \n ⇒ \n定価 」に置換すると、
定価1000円
定価2000円
定価3000円
のようになります。
実際の商品データを例に見てみましょう。多くの商品データ(item.csv)は、横に商品毎の商品情報が並び、商品数だけ行数があります。
商品A , 商品管理番号 , 商品名 , 販売価格
というような1商品データが、横列(項目)に1行で並ぶスタイルから
縦行(項目)に複数行に並ぶスタイルに変更する方法です。
カンマ区切りのcsvファイルで、商品データが横一行に並びます。
黄色のカンマ区切りの①カンマを「改行記号」の②「\n」に全置換し、横一行の商品データを縦複数行のデータに変換する。
画像の例は、横一行に並んでいる9個の項目(フィールド)データが、置換後、縦9行に1個づつ項目が並んでいます。
横一行から縦一列に置換
これらの置換作業は、データ仕ファイル仕様を効率的に解析するために役立ちます。
これらの置換方法を応用すると、ECで扱うデータファイルの様々な編集が可能です。「秀丸」の検索・置換・マクロ機能は簡単操作ですが、かなり高機能です。これらのデータ編集スキルを身につけることは、EC運営に必ず役立つものと思います。
「秀丸」は、テキストの置換作業だけでなく、プログラムのソースファイル編集や、メール編集、HTML編集など、様々な「テキスト」を使うシーンに、高機能かつ軽快に使ことができます。
シェアウェアのテキストエディタ「秀丸」のダウンロードはこちらでできます。
https://hide.maruo.co.jp/software/hidemaru.html
JECCICA特別講師 松橋 正一
EC得意分野/モールEC構築、amazon出品支援
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。