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リユース・革靴業界から考える、時代の変化への対応

バックキャスティングの菅原です。
長雨続く2019年の夏で、野菜や果物が心配ですが、EC業界でもジャンルによっては長雨が続いています。私の支援先で、リユース(中古品の買い取り・販売)・革靴の事業社さんがおりまして、業界が大きく変わりつつあり苦戦しています。今回は二つ業界の現状や動向から、今後の生き残りを考えてみます。

メルカリの登場で大きく変わったリユース業界
メルカリの登場でCtoC業界は大きく成長し、リユース商品の販売がとても行いやすくなりました。メルカリの発表では、2014年の7月に日商1億だったのが(この時点ですごい流通量)、2017年時点で日商10億円を突破しました。

リユース・革靴業界から考える、時代の変化への対応

2013年7月2日のサービス開始から約1年後となる2014年7月10日に初めて1日の流通額が1億円を突破し、それから約2年半後の2017年2月1日には1日の流通額が10億円を突破するなど、短期間で10倍の成長を遂げました。

フリマアプリ「メルカリ」、サービス開始から5年で累計流通額が1兆円を突破

当然、既存のリユース事業社に影響が出ています。下記はリユース御三家の直近の株価です。

リユース・革靴業界から考える、時代の変化への対応
リユース・革靴業界から考える、時代の変化への対応
リユース・革靴業界から考える、時代の変化への対応

ブックオフの株価が上がった要因はわかりませんが、三社ともメルカリの登場で大きな影響を受け、既存の売り方・買い方だけでは厳しい状態です。中小零細のリユース事業社にいたっては、倒産・業務縮小しているところもあります。また、一昔前の消費者は「古着」「中古」に対しての心理的ハードルが高かったですが、メルカリの登場で、「リユース店舗に持ち込むよりも自分で販売した方が高く売れる」「リユース商品への心理的ハードルが下がったので、好きな商品を安く買える」などの意識の変化で、前述のように、市場の変化に表れています。

革靴業界の変化
リユース業界とは異なり、革靴業界は残念ながら規模自体が縮小しています。経済産業省の『工業統計(品目編)』を見ると、革靴業界が縮小しているのがわかります。

リユース・革靴業界から考える、時代の変化への対応

https://newspicks.com/media/embed/wiki/charts/AJLRHCXASSSTYP

レディースもメンズも、最近ではスニーカーを履く機会が増えています。レディースの場合は「#KuToo」運動も起こり、ビジネスシーンでパンプスを履く習慣をなくす運動も起こっています。
News Up #KuTooって知ってますか? | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/k10011853271000.html

メンズでは、クールビズ以降カジュアルな服装で出勤することが増えたことも革靴離れに影響しているでしょう。革靴は、長い時間着用すると足が疲れてくるため、スニーカーが主流になるのは、時代の流れかもしれません。

下記は、Googleトレンドで「革靴 通販」「パンプス 通販」の動向です。パンプスについては2014年を境にして下降傾向にあることが検索からも受け取れます。

リユース・革靴業界から考える、時代の変化への対応

また、革靴に限らず、革製品業界全体に言えることは、「職人さん」の高齢化・不足も大きく影響しています。ECで売るには在庫の確保が必要だが、作りすぎによる余剰在庫リスクは避けたい、しかし、そもそも作り手が高齢化していて…と、悩みが尽きません。
さらに、レディース向け製品の場合、流行り廃りのサイクルが早いことも悩みの原因になっています。

革靴だけでなくアパレル業界全体的に「カジュアル化」「低価格化」が進み、中小零細の企業では業績が悪くなっている事業社が増えていて、とても危険な状態です。

時代の変化にどう対応すればよいのか?
リユース業界も革靴業界も、消費者のモノへの考え方や文化が大きく変化しています。消費者の意識を中小零細企業が変えることは、とても難しいことです。時代の変化についていくために「自分たちも変化する」「新しいことへチャレンジする」ことが出来ている事業社は生き残っていますが、それが出来ないと悲しい結末を迎えてしまいます。私のグループコンサルティングの受講生でも1社閉業してしまった事業社がいました。今後、資本力のある事業社やメーカーのEC事業社がどんどん市場をとっていくはずです。中小零細企業が出来る施策として、「高い技術力」「専門性」「ホスピタリティ」があります。リユースの事例のうちゲオホールディングスは、従来の「幅広い商品の買取り・販売」から中古スマホの買い取りやメンテナンスの経験を活かし「中古スマホ」ジャンルの強化を行って、業績が復活しつつあります。

10年先まで健全なEC事業を営むために、業界や消費者の変化を先読みしつつ、中小零細企業が出来る施策を見つけて積極的に行って欲しいと、切に願っております。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 菅原 渉

株式会社バックキャスティング 代表取締役
1999年よりEC業界へ。運営~支援まで多方面で経験を積む。コンサルティング活動と並行して中小機構販路開拓支援アドバイザーとして動画やセミナーで講師も行う。自社の強みの明確化~成約率の向上~成果を得意とし、最高記録は月間CVR18%


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