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スーパーのセルフレジ

現代の消費者はスピーディーで簡単なショッピング体験を求めており、Costco、Safeway、
Whole Foods Marketなど大手小売店では、購入商品点数15個以下といったように少量の購入者のために何年も前からセルフレジが設置されています。通常のレジは数ヶ所から10ヶ所ほどあるのですが、全てのレジにレジスタッフがいることは少なく、そのことから数ヶ所だけ空いている有人レジはかなりの行列になることが多いです。一方、セルフレジもけっこう混むこともありますが、購入品数が少ないことから流れも早く、自分で商品をスキャンしてクレジットカードで決済するとしても、全体的時間節約にもつながります。セルフレジは、スタッフコストの削減、長い行列の解消、スムーズなショッピング体験、と店舗にとっても消費者にとってもWin-Winの関係のように見えます。

Walmartでは、いかに購入者の時間を節約するかという観点から、右イメージ(Walmartのサイトより抜粋)のようなセルフレジを導入しましたが、さらにレジ待ちの列を完全になくすという解決策を目指し、有料のWalmart+ メンバー向けに、複数の店舗で、モバイルアプリを利用した”スキャン&ゴー”技術の導入も始めました。これは、消費者が店内を歩きながらアプリで商品をスキャンし、買い物が終わったらアプリに表示されるQRコードをもとにセルフレジで支払いができるというものです。コンセプトは、Amazonが展開している”Amzon Go”とよく似ています。

ところが、Walmartのこの施策は消費者にあまり受け入れられなかったようで、セルフレジが原因かどうかは定かではありませんが、Walmartの顧客満足度は事実低迷したままだったようです。

アメリカの消費者が大手百貨店やディスカウントストアなど小売店舗で受けた製品やサービスの良し悪しを測る指標として、顧客満足度指数(ACSI)スコアというのがありますが、右の表にあるとおり、Walmartのスコアは有名な小売店の中でも常に下位のスコアとなっています。
(表はACSIのサイトのデータをもとに作成)

有名小売店 2024年 2025年
Trader Joe’s 84 84
Sam’s Club (Walmart) 83 83
Whole Foods (Amazon) 82 82
Costco 85 81
Target 82 80
Kroger 77 78
Albertsons Companies 78 76
Walmart 74 75

このような背景からWalmartでは、消費者にレジスタッフの仕事をしてもらうように説得することは難しく、特にレジスタッフをなくしても買い物の利便性が向上するわけではないとの判断から、レジスタッフを復活させることを決定したとのことです。これでACSI評価が少しでも上がれば、その判断は正しかったと言えるでしょう。ITの進歩により、人の活動が機械やAIに置き換わることが多い昨今、人対人のコミュニケーションも重要と感じます。

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。


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