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お店でもECでも!総Web接客時代がくる?

 

株式会社パルコ・シティ 村石怜菜

muraishi

 

最近、“Web接客”という言葉をよく耳にします。2015年はWeb接客が本格化する、と言われています。本コラムでは今一度、商品・サービスを販売する際のWeb接客がどのようなものなのかを考えてみたいと思います。

 

omotenashi

 

ECサイトでのWeb接客は大きく2つ

Web接客といってもさまざまな手法があります。今回はECサイトでの場合を想定して、大きく2種類に分けて考えてみました。

 

まず、一つ目は“Web上でのおもてなし”という概念です。以下に例を挙げてみます。

 

1.ECサイトでのおもてなし例

“ECサイトでのおもてなし”とは、顧客がサイトに訪問されたときの不安や不満、使いにくさといったネガティブな要素を取り除き、買いやすい・買いたくなる環境を用意することだと言えるでしょう。

 

  • ECサイトのオウンドメディア化
    • サイズやスペックといった商品情報だけではなく、商品に対する売り手の想いや商品の背景にあるストーリーを掲載し、信頼感・愛着といった感情を抱いてもらう。
    • 事例やシーン別提案など、通常のECサイトよりも購入後のイメージが湧きやすい。売り手の顔やキャラクターも見え、リアル店舗で買い物しているかのような雰囲気を出せる。
  • 商品画像・動画コンテンツ
    • 商品画像の枚数を増やし、見栄えの良い写真を掲載する。
    • 写真や文章だけでは伝わりにくい素材感や使用方法を動画で伝え、購入前の不安を取り除く。
  • ユーザビリティ向上
    • PC、タブレット、スマートフォンでストレスなく閲覧できるようにWebデザインを対応する。

 

 

2.ECサイト上でのお声がけ・アクション例

2つ目は“Web(=ECサイト)上でのお声がけ・アクション”という考え方です。

 

  • チャットでのコミュニケーション
    • サイト訪問時にチャットツールが表示され、時間を置かずに顧客と会話をする。
  • クーポンのリアルタイム配信
    • 訪問中の顧客の属性や購買情報に合わせ、最適なクーポンを配信する。
  • 顧客に一人ひとりに合わせたページ表示
    • 購買情報や属性、会員・非会員といった会員情報に合わせ、顧客に最適化されたランクや新着情報、セール情報などを表示する。

 

“ECサイト上でのお声がけ・アクション”とは、“ECサイトでのおもてなし”と比べてみると、顧客に対して能動的に働きかけるリアル店舗での接客に近い形です。昨今のWeb接客と呼ばれているのは、後者の“ECサイト上でのお声がけ・アクション”を指している場合が多いのではないかと思います。

 

ECサイト上ではWeb接客が今後の要に

これまでECサイトでは、リアル店舗のように、訪問中の顧客に対して能動的に接客することは困難でした。しかし、CRMやチャットツール系のサービスが増え、費用も安価に、かつ容易に導入できるようになり、導入サイトも増えてきています。

今回は“おもてなし”と“お声がけ・アクション”というくくりで分類してみましたが、両者とも「顧客に快適なお買い物体験を提供したい」という気持ちのもとでの施策です。こちらの方が優先順位が高い、というのでなく、どちらも重要な考えだと思います。Web接客の重要性を認識し、取り組んでいきましょう。

 

リアルでのWeb接客

先ほどとは視点を変えて、今度はリアル店舗での接客について考えてみたいと思います。

 

昨今オムニチャネルという言葉が叫ばれていますが、この概念はWeb・EC担当者だけでなく、リアル店舗の販売員にも大きな変化をもたらしています。

 

オムニチャネルとは、「リアル店舗だろうが、ECサイトだろうが、どこで買おうとも顧客にシームレスなお買い物体験を提供する」という考えで、消費者の購買行動の変化に対応するために出来た概念です。

 

「オムニチャネル対応=企業担当者やEC・Web担当者が実行すること→だから現場は関係ない」と考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、リアル店舗の販売員の中でも、沢山のファンを持ち、売上が高い販売員は、消費者の変化を敏感に捉え、迅速に対応しているのです。

 

オムニ時代の売れる販売員とは

売れる販売員の接客スタイルは時代に合わせて変化しています。

ひと昔前までは、「カリスマ店員」という言葉がありました。都心の販売員が雑誌やテレビに取り上げられ、さらに有名になり、売上に寄与するという流れが主でした。一方、今売れる販売員とは、顧客の購買行動の変化にいち早く気付き、企業から与えられたプラットフォーム(DMやメルマガ、公式ブログ)以外に、WEARやTwitter、InstagramなどのSNSを活用し、自ら営業活動をしています。実際、地方の販売員のSNSアカウントに数千人というフォロワーがつき、顧客が増え、売上に寄与しているケースが増えています。

売れる販売員とは、リアル・Web問わずに、自然にオムニチャネルな接客を実践しているのです。このような流れで、「来店前の顧客にいかにリーチするか」を重視する小売・専門店も増え、販売員のWeb接客スキル向上についてのご相談をいただくことも増えてきました。今後、販売員の接客力をWeb上でも活用する流れは増すでしょう。

また、顧客にアプローチする接客以外にも、自社のWebサービスを把握し、顧客に説明・活用できる能力も重要です。なぜなら、企業としてオムニチャネル化(在庫や会員データベースの統合やシステム連携)を実現したとしても、顧客と触れ合う機会が多い現場の販売員が理解・活用できなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。私自身も、リアル店舗でアプリの会員証がうまく読み込めない、ECサイトから店頭受取りサービスを申し込んだのに、レジ横で待たせられた…といった経験があります。企業の価値向上のために作った仕組みが逆効果にならないように、教育を徹底しましょう。

 

“接客”という考え方をチャネル問わずシームレスに実現することが、オムニチャネル時代の顧客満足度向上の近道かもしれません。

 

 

株式会社パルコ・シティ 村石怜菜

muraishi

 

株式会社パルコ・シティ シニア・コンサルタント。

日本女子大学被服学科卒。大手専門店企業で接客販売・店舗運営を経験した後、Eコマース支援企業で数々のファッションブランドのECサイトの構築や運用に携わる。現在は、ファッション専門店や商業施設へのECコンサルティングを得意としている。また、クライアント企業のオムニチャネル戦略の計画・実行を支えている。

 

 

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