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2025年 年頭所感 本谷知彦

新年あけましておめでとうございます。
当協会に携わられている全ての方々に新年のご挨拶を申し上げます。

マーケットアナリストとして、先ずは2024年のEC市場規模について述べておきたいと思います。2023年は14兆6,760億円と経済産業省より発表されていますが、2024年のEC市場規模は前年比4%程度の増加に止まり、15.3兆円あたりではないかと私は予想しています。まだ十分な材料が整っていませんので、あくまでも予想値に過ぎませんが、消費のリアル回帰の影響を2024年も引きずっており、やはり思ったより伸びていないというのが現実ではないでしょうか。

では2025年のEC市場ですが、引き続き状況に大きな変動はなく、2024年比で数パーセント前半の伸びで落ち着くだろうと思っています。つまり10年前のように10%以上も市場規模が伸びるような状況はもはや期待できずといったところです。ただこれはあくまでも市場規模に関する予想の話です。EC市場規模はさておき、今年はEC業界においていくつかのテーマが大きくクローズアップされるのではないかと勝手ながら予想しています。

1点目は物流。「物流2024年問題」と言われてきましたが、その2024年が過ぎ去ったわけです。結局どうなっているのか最近はその状況が分かりづらくなっているように思えます。あらためて物流の状態がどうなのか気になるところです。2点目は「自社EC」。モールの勢いに押され続けていますが、モール側もやや厳しい状況であることもあり、モールの支配力が弱まってくるのではと見ます。自社ECにとってチャンス到来かもしれません。

3点目は「SNS」。2024年は選挙イヤーでしたが、国内では都知事選、兵庫県知事選、米国では大統領選挙においてSNSは注目されたことは既知の通りでしょう。SNSによる誤った情報の拡散が取り沙汰されたわけですが、これを選挙だけの話に留めるのは無理がありそうです。またSNSは誹謗中傷の温床ともなっており、社会問題化してもいます。ECにおいてSNSは切っても切り離せない存在ですが、そのSNSが社会的にネガティブなものとして捉えられ始めている気がしています。EC市場に影響がなければよいと思っていますが動向には注目です。

4点目は「マーケティング」。世の中正直に言ってブランドの洪水です。キャンペーンも溢れかえっています。ブランドスイッチが容易に起きる状態となっており、従来のマーケティング手法がもはや通用しづらくなっているように思えます。そのことにユーザー企業のみならず支援事業者もきちんと気付いているでしょうか。小手先のテクニックで乗り切れるほど甘くなく、2025年はマーケティングの大きな転換期に差し掛かっていると見ます。

以上4点挙げましたが、細かく上げるとその他にも気になるテーマはたくさんあります。私はEC市場の停滞は今後数年間続くと見ていますが、中長期的に見てみると働き手不足、社会生活の変化といった理由でEC市場には再度スイッチが入ると予想しています。それに向けて、業界関係者は課題を課題として認識し、それにどう対応するかが当面のカギではないでしょうか。微力ながらEC業界の発展に引き続き寄与したいと思っています。本年もよろしくお願い申し上げます。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 本谷 知彦

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役


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