2023年年頭所感鈴木準

私が今、メインに行っている仕事が、連載コラムでもご紹介しました、昭和30年代に生まれた次世代シニアである「ＡＢＳ（アクティブ・バブル・シニア）世代」に向けたマーケティングコンサルティングやプランニングです。
私がＡＢＳ世代に気が付いたのは、この10年くらいの間で盛り上がった復活ディスコに集まる同世代を見て、「この人達は、いつまでバブルな気分なんだろう？きっと１０年、２０年先も同じように、はしゃいでいるんだろうな！」という気づきからです。バブルな気分とは、「心ときめくワクワクする気分」です。
冷静にこの世代を分析すると、65歳以上という世の中でいう前期高齢者、いわゆるシニアに突入する世代です。そこで感じたのは、高度経済成長時代に生まれ育ち、70年代後半からの若者カルチャーの洗礼をうけ、バブルを体験した世代がシニアになる時代であること。そして「人生１００年時代」という提言が浸透し始めた時期でもあり、大きく世の中は変わる予感がありました。ＡＢＳ世代はこれまでのシニアにはない「楽しみ方や遊ぶ術」を知るプラス面がある一方で、社会保障制度をあてにこれまでのような老後や余生が得られない、「この先の生き方が描きにくい」マイナス面もある世代です。
そんな思いでこれからの仕事を模索する中、新型コロナウイルスのパンデミック以来３年が経過して世の中が大きく変化しました。私は新型コロナウイルスとは、人間がなかなか従来の常識を変えず現状維持に留まっているため、神様が与えた「強制終了とＯＳ再インストール」だと考えています。つまり社会を一旦リセットし、掛け声だけではない、本当の意味での人生１００年時代の社会を人間が考えて構築してみろ！という人類に与えられたテーマです。
私は新しい社会とは、性別・年齢・国籍を問わず同権で、生涯にわたり社会と関わり大切な人を笑顔にすることで対価を得る社会だと思います。特に子育てが終わり自分の時間が出来る50歳以上は、自分自身の強みを棚卸し、今の社会に自身の強みを照らして活かし、何かしらビジネスを考えれば年齢に関係なく対価を得ることが可能です。シニア３大不安は「健康・お金・孤立」と言われますが、仕事でこの３大不安は一気に解決するのです。
今回のコロナ禍、そして人生１００年時代に共通することは、今まで人類が経験していないため、先が読めない「不安」があること。しかし、私たちの先人はこのような現象を、歴史上何度も自分たちの考えで解決策を生み出し、より良い社会を構築してきました。
今、まさに世の中が強制終了されて、新しい社会を生み出すスタート地点に私たちは居ます。中でも「バブルの価値を生かすこと」とは、「面白い・楽しい・ワクワクする」ことを生み出す、おそらく今の日本に一番足りない根拠のない自信と創造力です。
それを生かし、「こんなモノやコトがあれば面白い！」とアイデアを出し合い、そのアイデアが、「テクノロジー」の進化で多くのことが解決出来る、そんなダイナミックな考えと行動が可能な面白い時代がやってきたのです。
「ピンチはチャンス」とは、まさに今の時代にピッタリ。戦後日本が一番元気だった頃の「気分」を蘇らせて、世の中を大きく変えていこうではありませんか！
今年一年が、皆様にとって「ワクワクする」良き一年となりますよう、心からお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。