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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol㊽ 顧客のハートを射止める「カスタマージャーニーマップ」の作り方

顧客の「心理と行動」を促すプロモーションの道しるべ
前回のコラムで「カスタマージャーニー」のお話をしましたが、今回はこのフレームワームを使って、顧客の心理と行動を促すため、端的に言えばハートを射止めるプロモーション企画立案を行う道しるべとなる「カスタマージャーニーマップ」の作成方法をお話しします。

STEP①⇒ペルソナ作成とゴール設定
ターゲットをペルソナ(顧客像)で明確にします。この時の2つのポイントは「ニーズ(不の字)とKBF(買う時の意志決定要因)」です。詳細はコラム㊺をご覧下さい。
そしてゴールを決めます。「問い合わせ(見込み客収集)、購入(顧客獲得)、リピート購入(優良顧客獲得)」どれをゴールにするかによって、集める情報や施策は変わります。
今回は「インスタ映えする投稿がしたい(ニーズ)、最新スマホが欲しい20代前半の女性」に対する購入をゴールとして事例をお話しします。

STEP②⇒縦軸(項目)と横軸(ステージ)の取り方
縦軸で明確化する項目を決めます。項目は顧客の心理と行動を踏まえ、どのようなタッチポイント(顧客がモノやサービスと触れ合う場所)があるのか、そのタッチポイント毎にどのようなプロモーションを考えれば良いのかを基本として決められます。扱うモノやサービスにより多少の変化はありますが、概ね以下の項目が入っていれば十分です。
●行動→顧客が実際に取る行動です。
●タッチポイント→あらゆるメディアやWebサイト・SNS、リアル店舗など、顧客とモノやサービスの接点となるツール・場所です。
●心理→「へ~、こんなのが出たんだ!これが気に入った!」など、顧客の感情や思考などです。
●課題→それぞれの段階で「何を解決するのか?」を明確にします。
●施策→課題に応じて、どのようなプロモーションを行うのかを整理します。
次は横軸です。顧客がモノやサービスを知ってから購入するまでのプロセスを決めます。横軸のポイントは、顧客のタッチポイントが変わるタイミングで区切ることです。特にタッチポイントがオンラインとオフラインで変化する際は、行動や心理は大きく変化しますから、しっかり分けないと課題発見がしづらくなります。
こちらもモノやサービスにより多少の変化はありますが、今回のケースの場合は以下のように区切ると良いでしょう。
●きっかけ→どこでモノやサービスのことを知って、興味関心を抱いたかという段階です。
●調べる→モノやサービスに関して情報を集め、実際に購入するか否かを検討している段階です。
●実物確認→実際にモノやサービスに触れることで、購入の最終ジャッジをしている段階です。
●購入・拡散→購入する段階です。そして購入時の感情を投稿し拡散する段階まで含みます。

STEP③→行動とタッチポイントを設定する
縦軸と横軸に合わせてステージごとに項目の内容を埋めていきます。
先ずは「行動とタッチポイント」です。ペルソナをイメージしながら具体的な内容にするのがポイントです。
●きっかけ→SNSでインフルエンサーが使っていた、タレントのテレビCMで見たら気になった。
●タッチポイント→SNS、テレビ。
●調べる→ブランドサイトを見て、機能やデザインについて調べた。他ブランドとも見比べながら、比較検討した。
●タッチポイント→ブランドサイト、比較サイト。
●実物確認→ショップに行って、見て、触れて、店員に聞きながら試してみた。
●タッチポイント→ショップ、店員。
●購入・拡散→ショップで実際に購入した。その後写真を撮り自分のSNSに投稿した。
●タッチポイント→ショップ、インターネット

STEP④→心理を設定する
各ステージでユーザーがどのように考え、感情が動いたのかを記入していきます。
●きっかけ→「へ~、こんなのが出たんだ!」、「使いやすそうかな?」。
●調べる→どんな感じ?内容?幾らする?他と比べてどう?
●実物確認→イメージ通り!これカッコいい!
●購入・拡散→いい買い物ができた!とても使いやすい!早速写メ撮って投稿して自慢したい!

STEP⑤→ステージごとに課題と施策を整理
そして各ステージで、「顧客が不安・不満・不足を感じるであろう課題」を抽出し、課題解決する施策を整理します。課題は顧客の心理がネガティブに感じているところ、更にはこうありたいと思う理想を重視するといいでしょう。そして課題に対する解決策を考えます。課題解決策は、何を行えば最初に設定したゴールに近づくか精査しながら決めて行きます。

オン・オフ問わず顧客情報収集がポイント!
リアリティあるカスタマージャーニーマップを作成するには、何よりも情報収集が成功のポイントです。顧客はどのような心理を抱きながら行動し、どんなタッチポイントに触れているのか。オンライン&オフラインのデータ分析からの定量的情報、コールセンターやインタビュー、最近では顧客の自宅訪問など、「どのようなTPOで使用しているのか?」を見極める定性的情報から顧客情報を収集します。
また法人向け(BtoB)のモノやサービスの場合であれば、あらゆる問い合わせ情報や営業支援システム(SFA~Sales Force Automation)に蓄積された商談や受注情報、展示会やセミナーで収集したアンケート、顧客満足度調査、コールセンターの対応履歴などのデータが活用出来ます。
上記のようなフォーマルな情報以外にも、プライベートな場面で問題意識や好奇心を持ち、自分で体験したり周囲の対象となりそうな人々の話を聞いたりして、オンタイム・オフタイムを問わず「自分なりの仮説を絶えず持ち続けること」が大切です。
それを行い、顧客の「ニーズ(不の字や理想像)とKBF(買う時の意志決定要因)」を洞察しましょう。それが課題を解決する、顧客に伝えるコミュニケーションの源になります。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント

マーケティングコミュニケーションコンサルタント。「顧客視点でのマーケティング」を信条とし、生活者の価値提供を最重要視したマーケティングコミュニケーション領域の、コンサルティング&プランニングを手掛ける。


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