2022年 年頭所感 北村貴
みなさま、新年あけましておめでとうございます。
コロナ禍は予想以上に長引き、同時に社会変革も一気に進みました。EC業界には追い風が吹き、新しいスタイルへと進化しつつある中、次のマーケットをどう読んでいくのか?
マーケッターとして特にEC業界に関連する3つのポイントを選んで書かせていただきます。
① DB+エモーショナルコミュニケーション
インターネットは集約化を生み、メーカーでない限り差別化が厳しい中、改めてデータベースマーケティングに加え「人の心」をベースとしたエモーショナルマーケティングの強化が求められます。昨年末、北海道で200店舗を展開するドラッグストア「サツドラ」の富山浩樹社長に最新の店舗を案内していただく機会がありました。ドラッグストアは最も品ぞろえの同質化が進み、価格競争がし烈で、物量を制したものがマーケットを制する業界です。その証拠に広大な国土を有するアメリカでさえ2系列のチェーンストアに集約されているといいます。サツドラの店内は徹底したDBマーケティングで、行動心理学に基づいた通路幅、入口からの人の流れの導線づくり、マグネットケースの置き方、品ぞろえの考え方、効率の良いストック対応と、小売り業のノウハウ集積地でした。また「日常」を切り取り、利便性を追求した品ぞろえやオリジナル商品におけるコンセプトの立て方など、非常に緻密でドライに計算された利益追求の戦略をとる一方、EZOCAというカードをベースとした地域コミュニティ戦略がとられています。例えば地元サッカーチーム・コンサドーレとのコラボレーションではカード経由の売上の一定額がサッカーチームに落ちる仕組みになっています。このカードを使えば、サポーターは買い物をするだけで自然とチームをサポートすることができるようになっています。また売れ筋商品であるオリジナル炭酸水は、1本買うと1円が宇宙開発を行う大樹町のインターステラテクノロジスの開発資金に回されるようになっており、間接的に社会貢献をすることができるようになっています。
EC業界ではこれまでメールマガジンに始まり、店長によるコミュニケーション、スタッフによるコーディネイトテクニックなど多様なエモーショナル戦略がとられてきましたが、ますます店舗とマーケットに会ったこれらの戦略が重要になっていくでしょう。
② オムニチャンネルは、公式サイトのリニューアルタイミング
数年前からEC業界ではオムニチャンネルという言葉が浸透していると思いますが、一般ユーザーがリアルに行動に移し始めるタイミングがいよいよ到来したと思っています。この数年でプラットフォーマーは一気に増えました。例えば農業生産法人では、従来型のECショップは楽天市場、自社サイトでのEC、ポケットマルシェ、食べチョクと展開し、地元の産直市場、業務用のオーダーなど幅広いチャネルからの流入があります。更に今後はこれに加え、LINEギフト、メルカリなどでの販路も視野に入ります。現段階では、生産者という強みと商品力を活かすと、どこまでも触手を伸ばすことができ、チャネルを増やすごとに売上げは倍増していくものの顧客管理がしきれず、パンク状態に!コロナ禍で一気にこのような状態を迎えた企業、生産者は多いことと思います。ここからが管理システムやDBマーケティングのタイミングであると同時に、再考すべきは「公式サイト」です。先日行ったアンケートではオムニチャンネル時代だからこそ、ユーザーが最後の決め手とするのは「公式サイト」であるとの結果が出ています。複数のサイトで商品を見比べし、公式サイトに戻り、信頼できると確信して最終アクションにつながります。公式サイトリニューアル、タイミングは今です。
➂社会は、ミレニアム世代の価値観にシフトする
最後にもう1つ、とても重要なポイントをお伝えせねばなりません。2025年は団塊世代が75歳の後期高齢者に突入し、生産労働人口の半数以上がミレニアム世代以降になるという節目を迎えます。既にこの予兆はあちこちに表れており、「購買行動」や「購買心理」、「購買動機」などが大きく異なってくるでしょう。これらの世代感や行動心理にしっかり目を向けた戦略をとることが今後とても重要になってくるのは間違いありません。
以上3点、2022年の幕開けで特に大切と感じるポイントを挙げさせていただきました。
この続きや今後の気づきはnoteにて書かせていただく予定です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
JECCICA客員講師 北村 貴(きたむら たか)
株式会社グロッシー 代表取締役