2022年 年頭所感 出⼝允博
2022年 あけましておめでとうございます
2年前、私は正月明けすぐに中国の上海に行き、戻ってきた翌日に香港を経由して深圳に行きました。上海に行く前の年末は、カンボジアのプノンペンやケップへ観光産業のための視察、帰ってきてすぐベトナムのハノイに日本の商品の売り込み営業に行ってました。
コロナ前までは毎月このようにアジアの国々との往来が、私にとっては当たり前でした。
しかしこの2年間、私は1回も日本から出ていません。もう海外出張のやり方すら、忘れてしまったのではないかと思うほどです。
この2年間で、モノの売り方も全く変わりました。一時は海外からの旅行客向けの免税店などでは、なかなか買わないであろう高額商品が飛ぶように売れていましたが、今や免税店には、殆ど来客が見られません。アジアの人たちは買い物で失敗したくないという思いが非常に強いので、ほとんどの人は店頭で実際に見て買うか、見た事があるモノしか買いません。
その代わりに今、非常に越境ECが盛り上がってます。特に中国のECプラットフォーム上で実施されるライブコマース。今までは大手のTaobaoやWeiboを使ってライブ配信し、T-Mall国際ややJD.comで販売する、という方法が主流でしたが、今やWeChatミニプログラムや小紅書、抖音(TikTok)などのSNSでも越境ECプラットフォームが構築され、今までより簡単にライブコマースが実施され始めてます。特にWeChatは、日本人のLINEの感覚以上に、中国人であればアカウントを持っていなければ生活に支障が出るレベルのものです。
こうしたITインフラを利用しての越境ECの伸び率は、コロナで外出できない反動もあって、ものすごい勢いで伸びています。
また東南アジアでは、LAZADAやShopeeなどが越境ECプラットフォームの提供を始め、今やLAZADAが対応する東南アジア6カ国の2025年の市場規模は1530億USドルと予想されています。
私は以前から、ネット通販は日本国内に向けてだけ売るという考え方から、商圏をもっと広げて「アジアに売る」と考え方を変えるべきだとお話してきました。不安がられてきた国と国との制度の違いなどの高い垣根はいずれ無くなり、もっと簡単に世界に向けて販売できるようになります。現に今、世界では既にあるFTAやEPAだけでなく、RCEPの発効、そして次にはTPPが発効されると、今までそびえ立っていた高い垣根が一気に低くなります。
経済産業省のレポートでは、世界の越境EC市場規模は2019年7,800億USドルだったものが、2026年には4兆8,200億USドルにまで成長すると予測されてます。
新型コロナは、また再び襲ってくるかもしれませんが、これからは海外向けビジネスであっても、コロナと共存する事を前提にビジネスモデルを組み立てていかなければなりません。
まだ成功事例の数は少ないですが、今スタートを切れば、きっと3年後や5年後、「あぁ、あの時にスタートしていて良かった」と思う日が必ず来ます。
私は越境ECのプロとして皆様のお役に立てるよう、これからも経験と実績を積み上げ、日々精進してまいります。
本年も、どうぞよろしくお願い致します。