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2022年 年頭所感 雨宮雄一

新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。

2021年もCOVID-19の影響が残り、緊急事態宣言の長期化や無観客でのオリンピック開催など、本当に苦しい1年でした。
秋口からは徐々に生活も正常化しつつありますが、オミクロン株の広がりなど予断を許さない状況にあります。

デジタル技術の進化とコロナ禍が相まって、我々を取り巻く社会・経済環境、働き方やライフスタイルなどが劇的に変化しました。
コロナ禍前から緩やかに起きていた変化がこの1-2年で急加速した、という表現が正しいでしょう。
もはや、コロナ禍前の社会には戻らないことも見えて来ました。

EC業界に目を転じてみると、経産省の2020年度「電子商取引に関する市場調査」における「物販系分野のBtoC-EC市場」は、予想通り20%を超える成長率となりました。
コロナ禍でECに新規参入した方々が市場を押し上げたとともに、各EC販売者も売上が伸びるという相乗効果が起きた結果です。
2020年がバブル状態にあったことはデータからも裏付けられましたが、2021年は成長の鈍化を感じた方々も多かったのではないでしょうか。
もちろん、市場の成長基調は継続しているものの、コロナ禍前の成長率(年率10%未満)に戻っているように感じます。
2022年も同様の傾向が続くのではないかと考えています。

このような中で注目している動向を3つ挙げたいと思います。

1つ目は、飲食・サービス業の店舗DXとEC連携です。
コロナ禍で店舗型の飲食・サービス事業者は大打撃を受けました。
とにかく集客しようということで、飲食であればモバイルオーダー、スポーツジムや美容サロンなどであればオンラインカウンセリングなど、店舗あるいはスタッフを活用したDXの取り組みが進化しました。
さらに、一度集客した顧客をリピート化すべく、例えば飲食であればレトルトパックや調理器具、スポーツジムや美容サロンであればプロテインや化粧品などの商品をECで販売する、という流れです。
これら事業者の方々は生き残るために総力戦で知恵を絞っていますが、振り返ってみるとオムニチャネルやOMOが実現していた、という話が多いです。
事業者が必死になって顧客購買体験の最適化を考える、これに勝るものはありません。

2つ目は、メーカーや卸会社のEC進出です。
数年前よりD2CやメーカーECというキーワードで着目されてきましたが、コロナ禍で店舗向けの商物流が減少したメーカーや卸会社が、これも生き残りをかけてECに進出してきました。
かつては「流通さん(リアル店舗など)に申し訳ない」と言って仮にECに進出しても派手な動きは慎んでいましたが、今は割り切って力を入れている会社が多いです。
特に、B2SB(BtoスモールB=小規模事業者)を本店サイトやamazonビジネスを活用して展開しようという動きが目立ちます。
これが統計上でB2B-ECなのかB2C-ECなのか分かりにくいところがありますが、この流れの加速によりEC市場が一段と成長する可能性が大きいと考えています。

3つ目は、上の2つを支える部分でもありますが、ECサイトやアプリ構築の難易度が急激に下がっていることです。
ShopifyやBASE、Yappliなどノーコード系のプラットフォームは安価で手軽にECなどを始めることが出来ます。
これらノーコード系のプラットフォーム活用により、ECへの参入事業者が増えていることは間違いありません。
さらにこれらのプラットフォームに連なるアドオンアプリ群が拡張性も保証するので5年前とはまるで異なる環境です。
これからはリアル店舗における「ポップアップストア」のような、「ポップアップECストア」が続出するかも知れません。

これらの動向は全て、ECが大きく進化することを意味しています。
COVID-19はEC業界にとってはやはり追い風ということです。

以下は、毎年唱えている呪文ですが、、、

このような時代だからこそ、「基本を磨く」ことと「進化をする」ことに邁進しなければなりません。また、ショップを支えるサービス提供者側は、ショップの「本質的課題」を解決する一手を提案する必要があります。

JECCIAとしては、「基本」を大切にしながらも「進化」出来るEコマース人材を育成していくべく、引き続き努力していく所存です。

最後になりましたが、皆様方におかれましては、この一年が希望に満ちた躍進の年になりますよう心からお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

雨宮雄一プロフィール写真

専務理事 雨宮雄一

フォーセンス・パートナーズ(株)代表取締役
パートナー 公認会計士
元HMVジャパン代表取締役社長
元ローソンHMVエンタテイメント取締役
大手監査法人・外資系コンサルティングファームを経て2006年、経営コンサルティング会社 フォーセンス・パートナーズ設立。現場まで入り込み指導するハンズオン型サービスをモットーに、多数の大手流通企業の経営改革を支援。

2008年から3年間、HMVジャパン(現ローソンHMVエンタテイメント)の代表取締役社長を務め、同社の Eコマースシフトを主導。また、ローソンHMVエンタテイメントでは取締役としてEC・CRM・IT部門を統括。

ネットとリアルを融合させた大規模ECの運営に精通。加えて、EC事業のM&Aにも当事者・アドバイザーとして多数関与。EC領域では戦略から運営まで一貫してアドバイス出来る数少ないコンサルタント。

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