平均客単価だけでは本当の姿はわからない！

多くの店舗さんが「○○円以上のお買上げで送料無料！」の設定をされているのではないでしょうか。
R天が打ち出した無茶な施策「3,980円以上お買上げで送料無料」に、みなさん怒り心頭もしくは戦々恐々としていらっしゃいますね。
この記事が出る頃にはこのR天施策が実行に移されているか、はたまた撤回されているか決着していることでしょう。どういう結果になっているか。

R天の送料無料ゾーンの決定が世の中のスタンダードになる可能性が強く、R天に出店していない自社サイトの店舗様にも大きな影響を及ぼしそうです。
送料をどう設定するか、送料無料ゾーンをどこからにするか・・これはEC店舗のサービスレベルの根幹となりまた損益に大きく影響を与える、大きな問題ですね。

多くの方がサイトの分析にGoogleアナリティクス（以下GA)のコンバージョン＞eコマース＞概要をご覧になっていると思います。
概要に出てくる4大指標「収益」「コンバージョン率」「トランザクション」「平均注文額」をチェックされていると思います。
よくあるECの公式、売上＝アクセス×CVR×客単価ですし、そのそれぞれの指標をどれだけ上げていけるかに取り組まれていると思います。

しかしこの平均注文額＝平均客単価だけを見ていても本当のお客様やサイトのチカラは見えてきません。
一度「受注金額分布図」を作成してご覧になると、平均注文額（平均客単価）だけでは見落としていたサイトの形が見えてきます。
平均客単価と言われる数字と実際にお客様がお買い上げいただいている価格帯とには意外と隔たりがあるものです。
平均はあくまで平均であって、真の姿を見せてはくれません。

表-1はとある食品通販会社A社様で送料無料ゾーンを10,000円（税込）に設定されています。
表-2も食品通販会社B様で送料無料ゾーンを5,400円（税込）に設定されています。
横軸の受注金額は、送料や代引き手数料などの決済手数料を除いた純粋な商品売上金額です。

A社表-1
送料は地域別770円ｰ880円(+クール220円）
10,000円以上で送料無料
平均客単価5,431円
中心価格帯は4,200円-5,000円

平均客単価だけでは本当の姿はわからない

B社表-2
全国均一770円（+クール220円）
5,400円以上で送料無料
平均客単価5,773円
中心価格帯1,400-3,000円くらい

平均客単価だけでは本当の姿はわからない

A社は平均客単価5,431円ですが、グラフからはお買上げの中心価格帯が3,500円から5,500円くらいなのが見て取れます。
送料無料10,000円とはかなり隔たりがありますね。

B社は平均客単価5,773円ですが中心価格帯は1,400円から3,000円くらいに見えます。
送料無料が5,400円なので隔たりは小さく、3,800円から5,399円ゾーンのお客様をうまく送料無料の5,400円超に誘導できている感じがします。その結果、中心価格帯は低いものの平均客単価ははA社より高くなっています。

A社、B社の送料無料ゾーンが始まるところのグラフの立ち上がり方も特徴があります。
A社はお客様の「買いたい購入代金」と送料無料ゾーンに隔たりがあるせいで山が小さいです。
B社は5,400円の山がどーーーんとそびえ立っており、「もう少し買い足して送料無料にしちゃおう」という意識が働いている感じですね。

A社は送料無料ゾーンを8,000円くらいにすると6,500円-7,999円のお客様を8,000円超に引き上げることができて最終的に客単価も上がると予想されます。
送料無料ゾーンを高く設定されている店舗では、低くするのはキャンペーンなどと銘打って比較的簡単に実験することは可能ですが、送料無料ゾーンの低い店舗さんが高くするのはなかなか難しいところだと思います。

A社B社の事例からGAの平均客単価だけを見ていてもお客様がどのくらいの合計金額でお買い上げいただいているかという真の姿は見えてこないです。
送料無料ゾーンをどこにするかを決める際には、もちろん損益もとても大切な要素ですが一番大切なのは「お客様目線」に立ってお客様が思わず買いたくなるゾーンに設定することではないでしょうか。