JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

外食産業とデリバリー、テイクアウトサービス

新型コロナウィルスによるパンデミックの影響を大きく受けた業種の一つとして外食産業があります。アメリカにおけるフードサービスと飲食店の売上高の推移を表した次のグラフにあるとおり、それまで順調に成長してきましたが、2020年に大きく売り上げが下がってしまいました。ただ、その後再び成長路線にはいっています。その成長を支えた一つの要因に、デリバリーおよびテイクアウトサービスがあると考えられます。

以前のデリバリーといえば主にピザのデリバリーが有名で、各店舗でデリバリー要員を抱え、消費者の要望に応える形式が主流でした。が、注文、決済、デリバリー指示などをシステム化したDoorDashなどのデリバリーサービスにより、レストランはデリバリー要員を抱える必要なく、また消費者は今までデリバリーを行なっていなかったレストランも利用できるようになりました。これらのデリバリーサービスは、パンデミック前から徐々にサービスを拡大していましたが、ソーシャルディスタンスの徹底によるレストラン内での飲食が限定されたことと相まって、デリバリーサービスの利用者はレストランおよび消費者の双方で急増しました。アメリカでは、2020年3月にパンデミックによる各規制が始まりましたが、DoorDashの売り上げを見ますと、2019年第4四半期が2億9,800万ドル、2020年第1四半期が3億6,200万ドルであったのに対し、2020年第2四半期には6億7,500万ドルと大幅に増加し、その後も順調に成長しております。また、デリバリーサービスに加えて、オンラインで注文して店舗で受け取るテイクアウトサービスも、それらをシステム化したToast Takeoutなどにより急速にサービスが拡大され、人気のあるレストランでは1時間以上待つこともあります。

デリバリー、テイクアウトに加えて、ドライブスルーの3つのサービスが引き続きレストランビジネスの中核となり今後も成長が見込まれており、全米レストラン協会によると、今年のレストラン売上高は1兆1,000億ドルを超えると予想されています。今では、消費者の半数以上が、テイクアウトの注文がライフスタイルの不可欠な部分であると考えており、その傾向は若い世代で特に多いようです。消費者はテイクアウトを新たな視点で捉えており、毎月指定の回数の食事を提供するサブスクリプションや、あらかじめ少額の費用を払うことにより注文の都度割引を受けられるメンバー制などの新しいサービスもでてきております。また、注文するときにその日の特売品や割引を探したり、オフピーク時間に提供される割引を利用したり、価格が安ければ少し小さめのサイズのものを選んだりと、消費者は価格に対し敏感なことから、ソーシャルメディアプラットフォーム、テキストメッセージ、アプリなど、消費者と複数のタッチポイントにより割引情報などを提供するレストランも増えています。

ところで、レストラン側は消費者の需要を満たすために従業員を増やす必要があり、業界の今年の総雇用者数は1,570万人を超えるだろうと予測されています。が、まだまだ人手不足の状態のようで、人材雇用サイトを見ると、特に外食産業での募集を多く見かけます。2024年から2032年にかけて、業界では年間平均150,000人の雇用により、総人員レベルは2032年までに1,690万人に達すると予測されています。パンデミックにより縮小や閉店を余儀なくされたレストランも少なくありませんでしたが、テクノロジーの活用による新サービスにより、また拡大傾向にあるのは嬉しい限りです。

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。


 - JECCICA記事, お知らせ, その他, コラム, ニュース

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2024 All Rights Reserved.s